NGT48卒業!荻野由佳「唯一の複数センター抜擢」は誰よりもファンを大切にしたから

拡大画像を見る

なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
NGT48荻野由佳 後編

 荻野が所属しているNGT48は地域活性化をコンセプトの中核に添えつつ、地方自体や地元企業との関わりあいのなかで、強みを見出してきたグループである。これに関してはSTU48やHKT48も同様の志向であると言えるだろう。

 そのなかでNGT48は1stシングル『青春時計』から6thシングル『Awesome』までセンターを入れ替えながら、それすらも強みとして活動してきた。荻野はこのなかで唯一2作品においてセンターを務めた存在であり、そこには「選抜総選挙」とともにNGT48にとって重要なポジションを担っていたことを意味している。

 そして、グループ内での立ち位置が選抜総選挙の結果に与えるケースは多いが、荻野は選抜総選挙の躍進が高く評価され、その結果を受けて自身の所属するNGT48でセンターを任されるという珍しいパターンがここでは起こっていることも興味深い。

 選抜総選挙での躍進に2度のセンター抜擢と荻野は紛れもなくNGT48の顔にふさわしい存在になったわけだが、その両者を決定的に導いた要因のひとつとしてあるのは「ファンを大切にしてきた」というアイドルの基本を徹底的に行ってきた努力の賜物だと言えるだろう。

 2017年のインタビューで荻野は自分とファンとの関係性についてこのように語っている。

「周りのメンバーと比べて、私には一番って言えるポイントがないと思っています。だから、ファンの方との距離の近さでは一番になろうと決めました。NGT48ではりかちゃんが”握手会の女王”と言われているけど、負けないくらいになろうって。(中略)

 ずっと全力なので、喉をからしちゃったり、終わった途端に立てなくなるぐらいぐったりしてしまいますが、これが私の武器なので変える気はありません」(参考:『日経エンタテインメント! NGT48 Special』)

 ファンとの距離の近いアイドルというAKB48の原点を改めて目指した荻野は、ファンに楽しんでもらうために握手会で自分の持ち場を装飾したり、直筆で500人分の手紙を書いたり、手作りのキーホルダーや扇子をファンに配ったりと、NGT48というグループの規模を考えても、ここまで献身的にファンを大切にしてきたメンバーはいないだろう。

 結果的にこうした地道ではあるが、ファンが喜んでくれるおもてなしの心をもって実践してきたからこそ、2017年・2018年の「選抜総選挙」での躍進があるのだし、その後の『世界はどこまで青空なのか?』や『世界の人へ』といったNGT48のセンターとして、楽曲の中心を任されてきたことにもつながっている。メディアでも大きく取り上げられる「選抜総選挙」で注目を浴び、デビューしたばかりのグループをアイドルファンに広く知らしめた彼女の功績は極めて大きい。

 また、荻野はセンターであることに対して、副キャプテンという立場を意識した発言を多く繰り返しており、例えば『音楽ナタリー』におけるインタビューで彼女は「でも私がセンターであるということより、里英さんの卒業後、そしてドラフト研究生と2期研究生が参加した初めてのシングルであることのほうが大事だと感じていて。

 (中略)「世界はどこまで青空なのか?」のときはセンターとしてどう曲を表現したらいいかを考えていたんですけど、「世界の人へ」は「みんな一緒に幸せになろう」と歌っている曲なのでみんなで気持ちを1つにしてがんばりたいです。「チーム全体を見て!」というオーラを出せるセンターでありたいですね」と意気込みを語っていた。

 こうした発言から感じられるのは「グループとしてどうあるべきか」という視点をもってセンターポジションに立っているということである。センターというポジションに必要以上に囚われるケースも多いなかで、少なくとも荻野は俯瞰的に考えられるセンターだった。この荻野の姿勢がグループのあり方に多大な影響を与えたことは言うまでもないだろう。

 NGT48としては2019年の初めにグループを揺るがす大きな事件が起こり前途多難を極めたが、ようやく明るい兆しが見えてきた。そんな中7月23日に開催された『6thシングルリリース記念特別公演』にて卒業を発表した荻野。

 公式サイトに掲載されたコメントには「この約2年半くらいの期間、自分の思うような活動をすることができず、気持ちが追い込まれることもあり、事務所のスタッフさんや家族にもたくさん迷惑をかけてしまいました」と近年の活動を振り返っていたが、NGT48とファンを誰よりも大切にしてきた彼女だからこそ、この2年半の活動は悔しかったに違いない。

 2020年に開催された『NGT48選抜メンバーコンサート~TDC選抜、合宿にて決定。初めての経験~』で涙ぐみながら挨拶をしていた荻野の姿はそのことを象徴しているようでもあった。

 今後はソロで活動することも明かしており、2021年10月5日にはファースト写真集の発売も予定されている。NGT48の顔としての荻野の卒業によってNGT48は否が応でも新たなフェーズへと進まざるを得なくなるだろう。荻野がグループに残した功績が次世代メンバーへと繋がるものであってほしい。

(文=川崎龍也)

関連リンク

  • 8/25 17:00
  • 日刊大衆

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます