岡野陽一の台頭でクズ芸人が新世代突入? 借金、ギャンブル、遅刻……クズの“美学”とテレビ的需要
お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!
ドランク鈴木&とろサーモン久保田にあって今の“クズ芸人”にないもの
タカ この数年、バラエティで「クズ芸人」の括りをよく見かけるようになったと思いません?
ユージ 増えましたね。大きいところだと今年の4月に『ダウンタウンDX』(読売テレビ/4月29日放送)でクズ芸人企画をやっていたほか、『チャンスの時間』(Abema)で「クズかわいい芸人」企画を何度かやったり、そのほかトーク番組でも該当芸人が出演すると「クズ」というワードが出てきます。よく出ているのは空気階段・鈴木もぐら、ピン芸人の岡野陽一ですよね。ギャンブルと借金でクズの2巨塔になってます。YouTubeでパチンコ番組、その名も『くずパチ』までやっていて。
タカ 遅刻などの生活態度面を取り上げられるのがラランド・ニシダやオズワルド・伊藤あたりですかね。クズ芸人って、括りとして打ち出されるようになったのは最近だけど、以前から単体で言われている人はいたじゃないですか。ドランクドラゴン・鈴木拓とかとろサーモン・久保田とか。でも鈴木拓って、今でいうところのクズとはちょっと違いませんか?
ユージ 今のクズ芸人には「借金」「ギャンブル」「遅刻」とかジャンルがなんとなくあるけど、鈴木拓は向上心が見られないとか性格が悪いという面でクズとされていましたね。
タカ 『逃走中』(フジテレビ系/2012年10月7日放送)で自首して賞金を獲得したことがありましたよね。あれで炎上してクズキャラの印象を強めましたけど、クズというより正直すぎるだけというか。時代によってクズのあり方は変わってきていると思います。
ユージ 現在のクズキャラブームは、それこそ「クズかわいい」じゃないですけど憎めなさを含んでいるのに対して、鈴木拓や久保田は“嫌われ”の要素が強い。
タカ 久保田はそういう自分を”ギリギリな格好良さがある”ととらえていそうなところがあるじゃないですか。それこそ有害な男らしさというか。クズという概念自体、そこにかかわってくるんですけど。
ユージ 2018年の「M-1」後のインスタ配信事件で久保田は、笑えるラインを超えちゃったなぁと思います。「露悪的で面白い」から「言ってはいけないことの区別がついていない」になってしまった。
タカ もともとクズ需要はホモソーシャル的なものだと思うんです。クズ的な部分を公言することが「男らしい」と見られる、あるいは男性から共感されやすい部分がある。
ユージ あぁ、「俺の友人は破天荒」自慢的なものですね。そういう意味でも、テレビでこんなに盛んに「クズ」を取り上げてることへの違和感はあるんですよ。個々の芸人は好きですが。
タカ テレビとしては括れればいいんでしょう。第7世代、6.5世代、若手女芸人、それらと同じように消費している。なんでもパッケージできればそれでよくて、次なる目新しいものが出てきたらそっちに流れていく。
ユージ テレビ側のその理屈と狙いはよくわかるんですけど、「クズ」ってそんなカジュアルに使っていいのか? と思うんです。そしてそれを視聴者としてカジュアルに楽しんでいていいのか。
タカ 番組をつくる側と観る側は昔のフォーマットで捉えるからはやっているのかもしれないですね。でもクズ芸人で括られている側の内実はもうそこから離れていってると思います。今、クズ芸人と呼ばれている人たちはそれぞれの美学があると思うんですよ。借金やギャンブルはするけど人は傷つけない、というような。
ユージ 岡野の「クズの掟」じゃないですか。「その一:人を殺めない、その二:遺伝子を残さない」。
タカ それ、すごいですね(笑)。
ユージ 『空気階段の踊り場』(TBSラジオ/2018年9月28日放送)で言っていました。もぐらが第一子出産の立ち会いのために欠席して、そのピンチヒッターだったから「子を成すなんてあいつはクズの掟を犯している!」というようなくだりだったんですけど。
タカ それがボケであっても、深みがありますね。社会のマジョリティが当たり前のように思っていることが自分にできなくて、それによって世の中へのうらみつらみが増すことってあるじゃないですか。そうじゃなくて掟をつくることで自分を保つ方向にいってる。
ユージ 岡野が台頭してきたことで、クズの括りが成立するようになったと思っています。
タカ もぐらという存在も後押ししているでしょうね。もぐらってやっぱりポップでキャッチーなんですよ。自分ではそう思ってないんでしょうけど。
ユージ 一貫して、社会的に苦労してきた人の目線を持ってますしね。
タカ 優しい感じがある。そのあたりは2人とよく共演しているザ・マミィの酒井もそうかな。最近のクズ芸人ってあんまりミソジニーがないですよね。そう考えると、優男でクズっていう相席スタート・山添はちょっと特殊かもしれません。それでも女性を傷つけている感じはしないけど。
ユージ 傷つけてはいなくとも、色事としての女性に関しては対等な存在として見てないのでは?
タカ これはなんとなくになっちゃいますけど、山添からは甘えを感じるんですよ。それが対等に見てない感じなのかもしれないですが。
ユージ あぁ、甘えはたしかに。
タカ 相方のケイちゃんも手玉にとってる雰囲気があるし。そういう共依存ぽさが似合ってるコンビだと思う。
ユージ 同じく女性関係のクズ芸人枠だったさらば青春の光・東ブクロが今やその方面でまた笑えない感じになってるので、山添も気をつけてほしいです。
タカ それと、今さらクズキャラとしてテレビで取り上げられることもないけど、霜降り明星の粗品もギャンブルと借金はすごいですよね。
ユージ パチンコや競馬、ボートレースが好きで、SNSやYouTubeではたびたび借金話をネタにしています。
タカ 岡野やもぐらは自分の価値観でクズであるけど、粗品に関しては“抵抗”としての振る舞いを感じます。第7世代は比較的新しい価値観を見せるところに需要があるけれど、その枠組みに入れられることに対して昔帰りすることで抵抗しているというか。
ユージ 岡野やもぐらは第7世代なんて言葉が生まれる前からずっとこうですからね。粗品ももともとギャンブル好きなんでしょうが、売れて賭ける額が大きくなったこともあって、自身のクズさを強調する身振りに受け取れてしまう。
タカ 昔、萩本欽一が「人生ではいいことも悪いことも同じくらいあるから、ギャンブルで負けておけば、それ以外のこと(笑いや芸事)はうまくいく」みたいなことを言ってたのを思い出しました。粗品は弱さを見せられないがゆえに、自分を保つ方法としてギャンブルに張り込んでるのかな、と。
ユージ 粗品のそういう面は「横山やすし師匠のようだ」と評されることがたまにあるんですけど、本人としてはお酒はそんなに飲まないことからあんまりピンとこなかったようで、ラジオで「Wヤングの軍治師匠に憧れてる」と言ってました。ギャンブルと事業の失敗で多額の借金を抱えて自死された昭和の漫才師ですね。
タカ いわゆる破滅型といわれるような、昔の芸人への憧れは公言してるんですね。そこはほかのクズ芸人と一線を画してる。岡野やもぐらから「芸人たるもの」みたいな意識は感じないじゃないですか。
ユージ 岡野からは、「侮っていい人間が目の前に現れたとき、君はどうする?」という問いかけを感じます。「踏んでもいい人間、岡野陽一です!」「ギリギリ人間の形を保ってるだけの肉」って、「腰が低い」の域を超えて侮らせに来てるじゃないですか。
タカ 岡野はずっとそういうネタをやってますよね。コンビ時代に「キングオブコント」決勝で披露した「おじさんをつくるおじさん」もそういうところがあった。ああいうネタをやるには自分がどうあるかが切り離せないから、一貫して自分の“思想”があることが見て取れます。お金持ちの彼女と、今後どうなっていくんでしょうねぇ。
ユージ 1階ロミオとタワマンジュリエットですね(『空気階段の踊り場』アフタートーク(20年11月14日回)。
タカ 引き裂かれるんだ(笑)。でも真面目にとらえると、今まで思想でクズをやってきたからこそ揺るがされるんですよね。自分が経済的に恵まれていいんだろうかと。
ユージ 富める岡野は岡野でいられるのか、と。どこまでいっても変わらなさそうですが。
トリトン
8/28 2:34
、
☆NoB☆Dirty words pollute the soul☆
8/27 22:33
借金は信用があるから出来るともいう。でも、明日返すから○万円貸してくれなんて言う奴は本当にクズ、返ってきた試しがない。だからそんな奴には貸すと言わないで、返さなくていいと言う。その代わり縁も切る。
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8/27 19:41
ギャンブル借金はクズか?勝手な事いうな、私借金あるしギャンブルと言われているパチスロもやる。借金は長年払い続けてあと60万です、家建てた時の借金。パチスロの儲け月約30万が無けれは毎月の支払いや食費他を給料から使わないといけないし勿体ない。パチスロ無かったら多分1000位しか貯金無かっただろうし。ハッキリ言って依存性ですパチスロで得る金で生活するために。給料は大概貯金してラッキー今のところは