赤楚衛二、「カノキレ」で発揮される潜在的魅力に迫る

「樋口くん幸せになってー」。

「Sexy Zone」中島健人と小芝風花のW主演で人気韓国ドラマをドラマ化した「彼女はキレイだった」が、放送の度に話題を呼んでいる。第1話から3週連続でTwitterの世界トレンド1位入りを果たし、特に俳優・赤楚衛二(あかそ えいじ)が演じる樋口拓也は「樋口くん」や「赤楚くん」といったワードがトレンドを賑わせることもしばしば。

原作ドラマと同様、ファッション誌編集部の陽気なムードメーカーで、佐藤愛(小芝さん)をめぐり長谷部宗介(中島さん)と愛の親友・梨沙(佐久間由衣)との四角関係の一角を担い、存在感を見せる樋口くんこと赤楚さん。昨年出演したドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」の大ヒットで、国内だけでなくアジア圏からも熱い視線を送られる、その魅力に改めて注目した。

陽気で優しく、距離感近すぎな「カノキレ」樋口拓也

赤楚さんがブレイクするきっかけになった、“チェリまほ”と呼ばれる人気コミックのドラマ化「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は、2020年10月期テレビ東京・木ドラ25枠で放送され、同年12月度ギャラクシー賞月間賞を受賞、TSUTAYAプレミアム/TSUTAYA TV見放題作品(配信開始から7日間の作品単位での合計視聴数)で歴代最高視聴数を記録するなど、大きな注目を集めた。中華圏最大のソーシャルメディア・WEIBO(微博)による「WEIBO Account Festival in Tokyo 2020」では話題俳優賞を受賞し、国境を越えたファンを獲得している。

演じたのは、女性経験なしで30歳を迎えたことにより“触れた人の心が読める魔法”を手に入れた、冴えない30歳のサラリーマン・安達清。何もかも完璧な同期・黒沢優一(町田啓太)に触れたことで、自分に対する彼の恋心を知ってから人生が180度変わっていく姿を好演した。

同作では常に自信なさげで猫背気味だったこともあってか、「彼女はキレイだった」(以下「カノキレ」)での明るく爽やかな笑顔で「ザ・モスト」編集部を盛り上げ、さりげない優しさを佐藤愛に(だけではなく、みんなに!)注ぐ“陽キャ”ぶりはまるで別人のよう。

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入社初日、通勤途中の愛とぶつかったことで出会い、その通勤ファッションが“ローファー+白ソックス”だったことから、まるでマイケル・ジャクソンみたいと勝手に気に入り、愛を「ジャクソン」と呼び始めるのは原作ドラマと同じ。何事にも一生懸命な“佐藤愛”という個性を丸ごと受け止め、大変身した姿も「かわいい」けれど、激しいくせっ毛時代の彼女も「かわいかったのに」と正直に話してくれる。やけに勘が鋭くて、周囲をよく見ており、愛と宗介との関係、梨沙が愛に隠している秘密、そして宗介の愛への気持ちにもいち早く気づいてしまう。

第3話では「(宗介に)いまのジャクソンまで取られたくないな~」から「結婚しよう」とプロポーズするも、愛には大笑いされ「王子様みたいじゃなかった?」とお茶目にごまかすシーンも…。ところが第5話なると、宗介に対し、いつもの笑顔をフッと一瞬で消して「俺、彼女のこと好きなんで」と牽制、編集部には愛の存在が必要と進言する。そして第6話では、焼きもちから「もっとジャクソンの中に俺がいればいいのに…」とついに直接告白するも、愛には真面目に受け取ってもらえない。その後、雨の中で愛を抱きしめる宗介の姿を目にして、悲痛な表情でその場を離れてしまった樋口には心配する声が多く挙がった。

そんな樋口こと赤楚さんには、原作ドラマで同じ立場のキム・シニョク役を演じた「SUPER JUNIOR」チェ・シウォンからTwitterを通じてエールが届いており、「日本のジャクソンに想いが届くように樋口拓也、頑張ります!!」と赤楚さんは返答。そんな赤楚さんの普段のSNSの投稿や番組のインスタライブなどから察するに、やはりどこかシウォンとも通じる親しみやすさと“陽キャ”感が覗く。

そして原作の韓国ドラマを知る方なら、これから樋口にまつわる“秘密”が明かされていくことも承知だろう。彼の恋路だけでなく、どこかつかみどころのないキャラクターはますます注目を集めることになりそうだ。

四角関係、それぞれの思いが交錯する第7話 8月24日(火)放送

昔も今も、宗介(中島さん)が好きという自分の気持ちに気づいた愛(小芝さん)は、すべてを打ち明けようと宗介の元へ急ぐが、そこには梨沙(佐久間由衣)の姿が。物陰から2人の様子を見ていた愛は、梨沙がいまだに愛のフリを続け、ひそかに宗介と会っていたことを知りショックを受ける。

一方の宗介は、愛を思う気持ちが日に日に強くなり、その思いを伝えようとするが、愛は思わず宗介を避けてしまう。そんな2人の様子を見た樋口は、もはや自分の恋が実ることはないのだと、ある決意をするが…。

数日後、宗介は編集長とともに、レストランチェーンの役員と会食を楽しんでいた。その席で、手渡された広報誌に目を通していた宗介は、あるページに見覚えのある顔を見つけ、顔色を変える。編集部では、部員たちが体調を崩した樋口のことを心配していた。愛がホテルで火災に巻き込まれた日、樋口もまた、雨が降りしきるなか愛を心配して駆けつけ、ずぶぬれになり風邪を引いていたのだ。そのことを初めて知った愛は…。

「仮面ライダー」出身、芸歴は意外と長い!?

赤楚さんは1994年3月1日生まれ、愛知県出身。19歳のとき、本名の赤楚衛として「サマンサタバサ」モデルオーディンション2013でグランプリを獲得する。小栗旬や綾野剛、近年は田中圭や間宮祥太朗、坂口健太郎といったブレイク俳優を多数輩出する「トライストーン・ エンタテイメント」に所属しており、2015年7月期の「表参道高校合唱部」でドラマデビュー。映画『ヒロイン失格』(2015)にも参加したほか『通学シリーズ 通学電車/通学途中』(2015)、『きょうのキラ君』(2017)といった青春映画にも端役で出演してきた。その一方、「黒子のバスケ THE ENCOUNTER」および「OVER-DRIVE」では桜井良役を務め、「露出狂」「民衆の敵」と舞台での経験も積んでいる。

「仮面ライダービルド」制作発表

Amazon Prime Video「仮面ライダーアマゾンズSeason2」に続き、起用された「仮面ライダービルド」(2017~18)で万丈龍我/仮面ライダークローズ役で注目を集めはじめる。プロテインバーを愛する元格闘家で、ちょっぴり抜けているところがある万丈は、「獣になれない私たち」や朝ドラ「なつぞら」、「24 JAPAN」などで一足先にブレイクした犬飼貴丈演じる天才物理学者・桐生戦兎/仮面ライダービルドとは全く対照的な役どころだった。

その後、坂口健太郎主演「イノセンス~冤罪弁護士~」では、うっかりミスが事件解決の糸口に繋がることもあった法律事務所のパラリーガルに。木曜ドラマF「わたし旦那をシェアしてた」とドラマ特区「ねぇ先生、知らないの?」(いずれも2019)と立て続けに深夜ドラマ枠で活躍を見せ、ドラマ&映画の実写版「映像研には手を出すな!」(2020)では映像研にロボットアニメの制作を依頼する“ロボット研究部”の小林役を演じるなどして、着実に足場を固め「チェリまほ」へと繋げていった。

映画『映像研には手を出すな!』

彼の人気ぶりを業界も注目し始め、ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」では大人気バンドのボーカル役でイケ散らかし、「監察医 朝顔」Season2では独居老人から料理のお裾分けをもらう隣人役で「ずっと見る側だった月9」に初出演、話題作のゲスト出演でもしっかりと印象を残していく。

さらに「カノキレ」に続いて、10月スタートのフジテレビ新木曜劇場「SUPER RICH」にも出演が決定。人生においてお金に困ったことは一度もない、江口のりこ演じる主人公が衝撃的に出会う、ひと回り年下の専門学生・春野優役に抜擢、「チェリまほ」の町田啓太とも再共演する。「今までに取り組んだことのない題材と役柄で、新しい挑戦ができることが楽しみ」と前向きなコメントを寄せている赤楚さん。「世にも奇妙な物語‘21秋の特別編」(放送日未定)のエピソード主演も決定しており、「チェリまほ」から1年たった10月期、さらなる飛躍に期待がかかる。

笑顔ほぼ封印!貴重なエプロン姿も

「わたし旦那をシェアしてた」

小池栄子、りょう、岡本玲が演じる3人のシングルマザーが、事実婚していた夫(平山浩行)が殺害されたことで彼を“シェア”していたと知ることになるミステリー。赤楚さんが演じたのは、彼女たちが子どもと暮らすシングルマザー専用シェアハウスで雑用係を始めるフリーターの青年・松田秀明。

シェアハウスでは洗濯や炊事をこなすが、実はその殺人事件に関わっていたキーパーソン。小池さんら3人に夏木マリ、渡辺真起子ら強者俳優との共演はきっと糧になったはず。キャリアの中で最もシリアスな作品の1つといえ、涙を見せたり、激昂したり…「安達」とも「樋口くん」とも異なる役柄を熱演。

格別のキラッキラを堪能したいなら

「ねぇ先生、知らないの?」

馬場ふみかとW主演した、人気漫画家とカリスマ美容師の“ヒーリング”ラブストーリー。原稿を上げることを何よりも優先してきた漫画家・華が、美容師の理一と出会い、自分を磨くヒントをもらいながら惹かれ合っていく。今作に「仕事と私、どっちが大事なの?」といったステレオタイプな構図はない。締め切り前の既読無視は当たり前な(!?)仕事に没頭する華の姿にこそ惹かれ、自身も成長への力をもらう理一。大らかで芯のあるキャラクターはハマり役で、時折見せる、寂しさ裏返しの駄々っ子のようなアプローチも見逃せない。

浜辺美波に切ない片想い

『思い、思われ、ふり、ふられ』

北村匠海、浜辺美波、福本莉子と4人で主演を務め、アニメ化もされた咲坂伊緒原作の人気少女漫画の実写映画化に挑んだ。映画公開は20年8月だが、DVDがリリースされるころには一気に注目度がアップ。演じたのは、自分の本当の気持ちをいつも抑えてきた朱里(浜辺さん)に思いを寄せる乾和臣役。自身も同じなのに「俺でよかったら話聞くよ」というスタンスに、映画好きというキャラクターがよく似合う。その後、浜辺さんとは「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」でも共演した。

裏の顔が明らかに…

「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」

数々のドラマゲスト出演で最も印象深いのが、WOWOW「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」第6話だろう。25年前、大学サークルの人気者だったが、何者かに殺された平山陽介を演じた。彼の殺人事件の真相を神奈川県警捜査一課の石川百合(吉田羊)らが追っていくうちに、平山の裏の顔が明らかになってくる。決して過去の話でも、他人事でもない物語での、赤楚さん史上最もクズで軽薄な男は“いま”こそ必見。

まるで別人!?『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

2021年に寺田心主演で帰ってきた『妖怪大戦争 ガーディアンズ』にも出演、本作の役柄そのままに、SNSでの“天邪鬼”な投稿を無邪気に楽しんでいる節もある赤楚さん。演じる“天邪鬼”は、その名の通りあまのじゃくな性格で、なかなかのドジっこ。岩に頭をぶつけても「全然痛くねーし」と強がり、ガラケーを唯一の“友達”にする、どこか間の抜けた憎めなさが鑑賞者から絶賛を受けている。そのビジュアルはパッと見、面影は感じられないものの、よくよく見れば、やっぱり彼だ! と嬉しくなる。

宮沢りえの“秘書役”で奮闘!?『決戦は日曜日』

窪田正孝が議員秘書、宮沢りえが新人候補を演じ、選挙活動をシニカルに描く社会派コメディ『決戦は日曜日』が2022年に公開予定。窪田さんや、内田慈、小市慢太郎、音尾琢真といった超個性的な面々とともに、父の地盤をただ受け継いだだけの新人議員候補を支えていく秘書軍団の1人、岩渕勇気役を演じる。「モノゴトを深く考えないで生きている」「要領がいいので何事も上手くいくタイプ」と自身の役柄を説明しているが、今作でも“どんな役でもこなせる”多才さをさりげなく見せてくれるはずだ。

(text:Reiko Uehara)

■関連作品:

妖怪大戦争 ガーディアンズ 2021年8月13日より全国にて公開

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

2021/8/24 12:00

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