アプリで知り合った30歳エリート男をSNSで検索したら…。女が発見した衝撃の画像とは

婚活に奮闘する人たちは、初デートのことをこう呼ぶ。

「婚活アポ」

ある程度仲良くなるまで、男女の約束は仕事と同様"アポイントメント"なのだ。

そんな激しい婚活市場で、数撃ちゃ当たるとでも言わんばかりに、東奔西走する一人の女がいた。

失恋にも負けず、婚活うつにも負けず、アポ、アポ、アポの日々。

なぜって、元カレよりも素敵な人と結婚したいから……。

これは「真面目に努力すれば、結婚できる」そう信じて疑わない、早稲女・夏希の『婚活アポダイアリー』。

◆これまでのあらすじ

27歳の夏希は誕生日を目前にして結婚も見据えて付き合っていた彼氏と破局し、婚活の世界に舞い戻ることになった。アプリを通じて大学時代の同級生・カズと再会する。そして、1回目のアポでアリナシを判断しすぎていることに気づくが…。

▶前回:「初デートでいきなり?」早稲田駅近く。27歳女がエリート男に連れて行かれた意外な場所

気乗りしない2回目のアポ


日曜の18時。

人形町の甘酒横丁交差点近くにある老舗料亭に、私はアポのために向かっていた。

今日のお相手は、3週間前にランチアポした外資系IT企業に勤める裕也だ。

彼との初アポは、私の婚活史上数本の指に入るレベルで気まずいものだった。はじめは楽しく話ができていたのに、裕也の元カノの話になった途端、彼も私もテンションがダダ下がり、一気に微妙な雰囲気に…。

どんよりした空気のまま終了したその出来事を、私は“表参道の悲劇”と勝手に名付け、胸の奥底にしまいこんでいた。

それ以来、お互い連絡を取っていなかったが、先週、裕也から2週間ぶりに連絡がきてディナーに誘われたのだ。

気乗りしなかったものの、1回のアポだけで切り捨てるのももったいない気がして、会うことにした。先日のカズの「婚活アポでも失敗を挽回できたらいいのに」という言葉を意識してのことだった。

私が指定したのは、親子丼の発祥といわれる有名店で、ランチで何度か訪れたことがあるお気に入りだ。

武家屋敷のような外観の玄関をくぐり、さざめく店内を通り抜けて2階の個室に通されると、裕也はすでに到着していて、笑顔で出迎えてくれた。

「夏希ちゃん、しばらくぶり!忙しいのに都合つけてくれてありがとう」

「こちらこそ。お店予約してくれてありがと」

「全然!夏希ちゃんのおすすめだっていうから、楽しみだよ~」

私は肩に掛けていたステラ マッカートニーのバッグをおろしつつ「うん、ランチで時々来るんだけどね」と曖昧に微笑む。

― 気乗りしない相手だと、ついつい家から近いところでアポを済ませたくなっちゃうのよね…。

幸い裕也は、嬉しそうにメニューを見ていて、勝手に気まずくなっている私の様子には、気づいていない。

ほっとしながら彼の正面に腰掛けると、パッとこちらを向いた彼の瞳が私を正面からとらえ、思わずドキッとする。中川大志を思わせる精悍な面差しに、初対面の時にも見とれてしまったことを思い出した。

「それじゃ、コース始めてもらおっか。夏希ちゃん、飲み物は何にする?」

私は反射的に視線を下げて、彼のポロシャツのモンクレールのロゴを眺めながら「喉渇いたし、ウーロン茶にしようかな」と答える。

裕也と2回目のアポ。このあと意外な展開が待っていた…

「この煮卵、とっても美味しい…!」

「ほんとだね。こっちのつくね煮も、味が染みてていい感じ」

乗り気ではなかったデートだけど、次々と運ばれてくる料理がおいしくて、2時間のコース料理が進むにつれ、だんだんと会話も弾んでくる。

裕也の整った顔は、ともすると寡黙な印象を与えるけれど、実際のところ、彼は結構おしゃべりだ。

理系とあってガジェット系の話を始めると止まらないし、かと思うと、私がぽろっと吐露した仕事の悩みなんかを真剣に聞いてくれて、聞き上手な一面もあるのだと気がつく。

― 最初のアポの時より、いい感じかも…。

待ちかねた〆の親子丼が運ばれてきた時には、私は「もう少し裕也と話していたいな」という気持ちになっていた。

だけど、そういう時こそ時間は早く過ぎるもの。

店員さんがラストオーダーを告げにくると、裕也がさっとカードを渡し、お会計を済ませてくれる。彼に丁寧にお礼を伝えつつ、私は少し名残惜しいような気分で温かいお茶を飲み干した。



「この前は、ごめんね。変な空気にしちゃって」

お店を出て歩き出すと、神妙な顔をした裕也が急に切り出してきた。

私は思わず足を止めて聞き返す。

「この前って、表参道でランチした時のこと?」

初アポのときのような嫌な空気にしたくないという思いから、私はなるべく食事中もその話には触れないようにしていた。でも、彼の方から話題を振ってきたので、正直に本音を話すことにした。

「そうね、“元カノとよく『ブルーノート』に来たから、この辺を歩くと思い出すんだ…”なんて言われたあたりから、オイオイって思い始めたけど…」

あの日のことを思い出しながら話すと、彼は「うう、申し訳ない…」なんて言いながらうめいている。その様子がなんだかかわいくて、ついからかいたくなる。

「裕也くんの方から骨董通りのお店を指定してきたのに、そりゃないわって思ったわ」

彼はますます小さくなって「おっしゃる通りです…」と肩をすぼませた。

「俺、別に元カノのことを常に考えるとかじゃないんだ。だからこそ、あのお店を選んだし…。ただ、当時の記憶とか感情を、あの日は妙に鮮明に思い出しちゃってさ。嫌な気持ちにさせてごめんね」

叱られた子犬のようにしゅんと眉を下げている彼を見ていると、なんだかこちらの方がフォローしたくなるから不思議だ。

「私も、今でも元カレのことを考えるときはあるし、気持ちはわかるよ。それに、今日裕也くんともう一度会って楽しかった。最初から内面を見せてもらって、むしろありがたいって思ったかも」

取り繕おうと思ったわけでなく、本音だった。

一度「ナシ」と結論付けた裕也にまた会うことにしたけれど、過度に期待をし過ぎなかったおかげで気構えずに会えたし、思った以上に素直に話すことができたような気がする。

そんな私の言葉に、裕也はほっとしたような顔を見せる。

「そう言ってくれてよかった。俺、夏希ちゃんのこと、前回会った時からいいなって思ってて…。もしよかったら、また会えると嬉しいな」

― こういうときは、流れに身を任せるのもいいよね。

私は彼の提案に、笑顔でうなずいた。

帰宅後、裕也のSNSをチェックする夏希。驚きの事実が判明する…!?

SNSで発覚した裕也のリアル


裕也と別れ、水天宮の自宅まで歩いて帰宅した後。

チャコットのヨガウェアに着替え、ストレッチしながらアキさんにLINEを送る。裕也と2回目のデートに行ったことを報告すると、すぐに『えー、2回目あったんだ!』とテンションの高い返信が届いた。

『アキ:楽しかった?写真は撮ってないの〜?彼の顔、気になる!』

ピコンピコンと通知音が鳴り、メッセージが連続して届く。

『夏希:撮ってないんですよ〜。あ、でもFacebookで検索したら写真出てきますよ。「清野裕也」って名前です』

既読がついたまましばらく返信がないので、私はそわそわと待った。

そして数分後……。

『アキ:この写真、彼の元カノかな?』


アキさんから送られてきたスクショ画像に、私の目は釘付けになる。

裕也が女性と一緒に写っているその写真は、彼の友達がアップしたもののようで、100以上の“いいね”がついていた。何かのパーティー会場なのか、ドレスアップした二人はとてもお似合いのカップルに見える。

ゆるくパーマのかかったロングヘアに大振りのピアスを揺らして、リトルブラックドレスに身を包んだ彼女は、20代前半だろう。裕也も今より少し顔つきが幼かったから、何年か前の写真なのかもしれない。

裕也のFacebookはもちろんリサーチ済みだった。でも、彼はほぼ情報を公開しておらず、辛うじて、プロフィールに設定されている写真を数枚見られただけ。

一方のアキさんは、裕也と共通の知り合いが何人かいるらしく、Facebook上の二人の関係性は「友達の友達」。

つまり、裕也が公開範囲を「友達の友達」に設定している投稿であれば、アキさんは見ることができる、ということのようだ。

『夏希:元カノですね。こんなかわいい子に、音信不通にされたらそりゃ落ち込みますよね…』

アキさんにLINEしながら、私はため息をつく。

裕也のことをちょっとイイなと思ったからこそ、他の女と肩を寄せ合って写真におさまる姿を見るのは複雑な気分だ。

それに、どことなく颯太くんを奪った“マカロン女”に似ている。それもなんだか、引っかかる。

私は、スッキリしない気持ちを抱えたまま眠りについた。



翌日。

私は、大手町駅から地上にのびるエスカレーターに乗りつつ、私は昨日アキさんから送られてきた画像のことを思い出していた。

ただでさえ月曜日の朝は憂鬱だというのに、画像のことを思い出すと、さらに複雑な気持ちになる。

― かわいらしい子だったな…。

モヤモヤしながら、私は朝から何度目かのため息をついた。

「島村さん、ちょっといい?」

オフィスに到着すると、ちょうど通りかかった上司に呼び止められた。

「先週話したわよね?今週からサブでもう一人通訳さんに入ってもらうって。今日初出社だから、朝のうちに紹介したくって…あ、あの子だわ」

勢いよく話しかけてきた彼女は、私の肩越しにお目当ての人物を見つけたのか、資料を抱えて小走りに駆け寄っていく。つられて私も振り返る。


私と目が合うとゆっくりと微笑んだその女性は、裕也のFacebookで見かけたリトルブラックドレスの女の子に、よく似ていた。


▶前回:「初デートでいきなり?」早稲田駅近く。27歳女がエリート男に連れて行かれた意外な場所

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夏希の会社に入社してきた女性の正体は…?

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