「そんなにイヤだった…?」妻から突然、別居を言い渡された夫。思い当たるコトはあるものの…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「やりかた、間違えた…?」キスをして以降、落とせそうだった女が急に冷たくなった理由
「ねぇ真人。話したいことがあるんだけど」
土曜21時。早めの晩酌を終え、お風呂にでも入ろうかと思っていた時だった。
妻の優香から神妙な面持ちで話しかけられ、促されるままソファーに座る。
「優香、どうした?」
「真人、ごめん。真人のことは大切だし、結婚できて良かったと思っているよ」
優香が潤んだ瞳でこちらを見つめてきたので、一瞬驚いてしまった。そんな感謝の言葉を伝えられるとは思っていなかったからだ。
ただ本題は、ここからだった。
「でも、いったん別居しない?」
「へ?」
酔いが一気に冷めてきた。
結婚して約3年。仲良く暮らしてきた。別居する理由が見当たらない。
「それ、本当に言っているの?なんで?」
「自分でわからない?価値観が違いすぎるよ」
— 価値観…。
これまでの出来事を振り返ろうとしたが、突然のことすぎて、頭がうまく回らない。
妻が別居を決めた理由。3年前は良かったけれど…。
Q1:妻が抱いていた違和感は?
優香と出会ったのは、大学生のころ。サークルが一緒で仲は良かったものの、恋愛関係ではなかった。
でも社会人になって、サークルの飲み会で再会し、意気投合。異性として意識するようになったのだ。その時2人とも27歳だったので、交際に発展するまで時間はかからなかった。
そこから2年の交際を経て、3年前の29歳の時に結婚。
もともと友人関係だったので、結婚してからも僕たちは仲が良かった。ランニングという趣味も合うし、食の好みも似ている。喧嘩も少なく、同期たちからは“理想の夫婦”とまで言われていた。
去年からのパンデミックでお互いリモートワークになっても、そこまでのストレスはなかったと思う。
「真人、明日の13時から、リビングで会議してもいい?」
「もちろんいいよ。じゃあその時間、僕は寝室のほうで仕事するね」
お互い仕事を持つ身。仕事に集中できるよう配慮をしていたし、「ランチを作ってほしい」などの無理強いをしたこともない。
それに家事も率先してやっていた。掃除や、買い出しの手伝い。お互い助け合って生活していたのだ。
「あ〜重い。ちょっと今日、買いすぎちゃったかなぁ。真人、一緒に行ってくれてありがとうね」
「当然だよ。重いと思うし。お酒はやっぱり、オンラインで頼んで正解だったね」
近所のスーパーからの帰り道、僕は幸せな気持ちに包まれる。
自粛期間、優香がいてくれて本当に良かったと思う。こうして一緒にいる時間が増え、家で食事をする時間も増えた。
そんなことを考えているうちに家に着き、買ってきた物を冷蔵庫に入れようとすると、優香が横から口を出してきた。
「それ、除菌シートで拭いてから冷蔵庫に入れてね」
「これ?別に必要なくない?」
「一応、ね」
面倒だなぁと思いながらも、素直に従うことにする。優香は、細かい。僕は大雑把な性格なので、たまに理解できないところがあった。
「優香って、細かいところを気にするよね」
「そうかな」
でもこれ以上文句を言わなければ丸く収まるので、極力何も言わないようにしていた。
「そういえば、明日から僕出勤しようかなと思って」
「そうなの?打ち合わせか何か?」
「ううん。別にリモートでも大丈夫なんだけど、やっぱり会社に行きたいなと思って」
「え?それって行く必要なくない?」
「でも会社のほうが集中できるからさ」
「そっか」
この会話は、たしか半年くらい前のこと。だから少なくともこの時までは特に喧嘩をすることもなく、普段通りの生活を送っていたはずだ。
妻が「別居しよう」と決意した、不信感が募るような行動とは…?
Q2:妻が別居したいと思った、最大の理由は?
それに、妻より稼ぐ夫としての役目もきちんと果たしていた。
共働きなので一部彼女にも負担してもらっていたけれど、家賃と外食費は僕、それ以外の生活費(食費や日用品など)は彼女という分担で、大きな負担はなかったはずだ。
ただ不満があるとすれば、実家との関係性かもしれない。
名古屋に住む僕の母親は少し過保護なところがあり、頻繁に連絡を取り合っていた。
それが嫌だった可能性もある。なぜなら帰省を提案した時、優香は怪訝な顔をしていたからだ。
「優香。今年のお盆なんだけどさ」
「うん、どうした?」
「母親が来て欲しいらしく…。帰っていいかな?」
「え?私もってこと?」
「うん、もちろん」
— やっぱり親との付き合いは面倒なのかな。
それは、わかる。でも僕としては大事な親。結婚したからには優香も家族だし、仲良くなって欲しいとも思っていた。
「嫌かもしれないけど、妻の務めとして、さ…」
「いや、でもこんな時期だし。今年も帰らなきゃダメなのかな?」
「まぁ、親が望んでいるからね」
「でも今年は帰らなくてもいいんじゃないかな?」
「そうだけど、来週、僕も二回目のワクチンを打つわけだし。大丈夫だよ」
「そういう問題なのかな」
彼女はどうしても実家に行きたくなさそうだった。
旅費は僕が全額支払っていたし、実家に帰ったときに手伝いをさせたり、母の嫁いびりなどもない。
だから大きな負担はなかったはずだ。
実家以外のことで、もう一つ思い当たる節があった。
コロナになって時間ができたので、僕は去年からゴルフを始めたのだ。
すると意外にもハマってしまい、週末は頻繁にゴルフへ行くようになった。
「明日、ゴルフへ行ってくるね」
「え?またゴルフに行くの?…誰と?」
「ゴルフへ行く」と言うと、最初は特に何の反応もなかったが、最近は明らかに嫌そうな顔をしていた。
しかも優香が「誰と?」と聞いてくるのは珍しいことだった。
「クライアントさんだよ。女性はいないよ!」
「気をつけて行ってきてよ?」
— ゴルフがダメだったかな…。でも女性はいないし。それとも、実家の母がそこまで嫌だった!?
思い返してみると、それ以外は、いい夫だったはずだ…。
果たして、優香は何がそこまで嫌だったのだろうか。
▶前回:「やりかた、間違えた…?」キスをして以降、落とせそうだった女が急に冷たくなった理由
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妻が「別居したい」と思った理由とは?