矢を射るまでに3年…パラアーチェリー・岡崎愛子が東京2020パラリンピック日本代表を掴むまで

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「TOYOTA Athlete Beat」。8月14日(土)の放送では、東京2020パラリンピック・アーチェリー日本代表の岡崎愛子選手をゲストに迎え、お届けしました。

(左から)藤木直人、岡崎愛子選手、高見侑里

岡崎選手は、1986年生まれで大阪府出身。2005年、同志社大学2年生のとき、通学中にJR福知山線脱線事故に巻き込まれ、奇跡的に助かりましたが、頚髄(けいずい)を損傷する大怪我を負い、車椅子生活を余儀なくされました。

それから、2013年にパラアーチェリーを初めて体験し、2016年から本格的に競技に取り組み始めたところ急成長。2019年の世界選手権で3位になり、東京2020パラリンピック出場の切符を手にしました。

◆パラアーチェリーを始めたきっかけ

藤木:2005年に脱線事故に遭われて、パラアーチェリーを始められたのが8年後の2013年。きっかけはあったのですか?

岡崎:2013年の秋に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したんですけど、それで私も“なにかスポーツをやりたいな”と思って始めたのがアーチェリーでした。

藤木:ということは、パラリンピックに出たくて始めたということですか?

岡崎:はい、実は(笑)。そのときは始めたばかりなので、(周りには)言えなかったですけど、心のなかで“出たいな”と思って始めました。

藤木:パラスポーツのなかでアーチェリーを選ばれた理由は?

岡崎:母が大学時代にアーチェリーをやっていて、それで勧められたのが最初なんですけど、パラスポーツのなかで私の障がいレベルでもできそうなものが、アーチェリーと射撃だったんですよ。それで、アーチェリーだったら母もやっていたし、教えてもらえるかなというのもあって、アーチェリーを選びました。

◆時間はかかりましたね

藤木:パラアーチェリーは、どのようにして競う競技なのですか?

岡崎:的の中心が10点で、外に行くにつれて9点、8点……ってなっていくんですけど、矢が的に当たったときの位置で点数が決まり、その合計点で競います。また、使っている弓とクラスによって、的までの距離や的の大きさが違うんですよ。

私の場合は、50m先の80cmの的を狙うんですけど、50mって大体「渋谷109」の高さなんですよ。また、80cmの的の中心部分が8cmなのですが、大体Suica(ICカード乗車券)の幅が8cmなんです。だから、渋谷109の屋上にあるSuicaを狙うようなイメージですね。

藤木:それはなかなか難度が高いですね! 岡崎選手の場合、練習だと10点はどのぐらいの確率で取れるものなんですか?

岡崎:6射矢を射って、1射か2射くらいですね。特に私は障がいが一番重いクラスなので、なかなか中心に当てるのは難しいです。

藤木:でも、2016年に本格的に競技に取り組まれてから、わずか3年で世界選手権に初出場して銅メダルを獲得。思い描いていた以上のストーリーじゃないですか?

岡崎:そうですね(笑)。最初にアーチェリー体験したのが2013年だったのですが、2016年までは、握力もなくて体幹もほぼなかったので、まず“どうやって弓を持って弦を引けばいいんだろう”というところから始まりました。だから、実際に矢を前に飛ばせて、ちゃんとアーチェリーとして形になるまでに大体3年かかりました。

藤木:やはり、(矢を前に飛ばす)コツみたいなものがあるのですか?

岡崎:私の場合、障がいが重いこともあって、けっこう道具に頼る部分が大きいんです。例えば、私は弓を持つと、持ったほうに体が倒れちゃうんです。なので、倒れないようにベルトで車椅子で体を支えるんですけど、そのベルトの位置をどこに巻けばいいのか、また、ベルトの幅や長さによって(矢が的に)当たったり当たらなかったりするので、そこを見直したり改善するのにすごく時間がかかりました。

藤木:そこの調整が難しかったと。そこから、いざ矢を射れるようになると、おもしろいように的に当たったのですか?

岡崎:(的の)外側から内側に徐々に当たるようになっていきました。そうすると楽しくなって、だんだんと(的までの)距離を伸ばして、最終的に50mまで射ることができるようになりました。でも、やっぱり時間はかかりましたね。

◆“うれしい”よりも“ビックリした”

藤木:東京2020パラリンピックへの出場を決めたときの気持ちはいかがでしたか?

岡崎:世界選手権で3位になって内定を得られたんですけど、その世界選手権が初めての国際大会だったんです。もちろん、そんな枠を取れるとは思ってもいなかったので、予想外で“うれしい”というよりも“ビックリした”というのが最初の印象でした。

藤木:予想外とはいえ、それを手にしたというのは喜びも大きかったんじゃないですか?

岡崎:はい。日本に帰ってきてから、じわじわと実感が出てきました。

藤木:東京2020パラリンピックがいよいよ始まるということで、いまはどんなお気持ちですか?

岡崎:すごく緊張感が高まってきていますね。初めてのパラリンピック、大きな舞台ですので、かなり緊張します。

次回8月21日(土)の放送も、岡崎選手をゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年8月22日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:TOYOTA Athlete Beat

放送日時:毎週土曜 10:00~10:50

パーソナリティ:藤木直人、高見侑里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

2021/8/20 6:00

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