青森山田、夏の王者へ初戦突破…長崎総科大附をシュート0に 黒田監督は小嶺監督に初勝利で「感慨深い」

 夏の高校サッカー日本一を決する全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会が8月14日、福井県内で開幕を迎えた。昨年はコロナ禍で開催を見送られていた上に、関係者からは無事に開催の日を迎えられたことへの安堵の声も漏れていた。

 とはいえ、今年も悪天候のため、第1試合のキックオフ時間が朝9時15分から昼の12時00分へ変更に。もっとも、分厚い雲と降りしきる雨によってテクノポート福井スタジアムの第1試合の気温は25.7℃。同総合公園芝生広場の第2試合に至っては21.9℃と低く、風雨の影響もあって“寒さ”すら感じるほどだった。

 テクノポート福井スタジアムの第1試合では優勝候補の呼び声高い青森山田高校(青森)が登場。長崎総合科学大学附属高校(長崎)と対戦した。

 試合は立ち上がりから青森山田が主導権を握って押し込む展開に。U-20日本代表候補のMF松木玖生、U-18日本代表候補のMF宇野禅斗の中盤2枚を軸にしてボールを動かし、両翼から個の突破力を活かして仕掛けていく。「相手のサッカーに付き合ってしまった」(松木)という前半こそ蹴り合いの時間帯も生まれてゴールに迫る回数が少なかったものの、それも前半の35分間に限定した話だった。

 ハーフタイムの修正を経た後半は、39分にFW渡邊星来のアシストからFW名須川真光が決める今季採用されている2トップのメリットを活かす形から先制点を奪うと、その後に2点を追加。長崎総科大附をシュート0本に抑え込む完封勝利で、見事に初戦を飾った。

 黒田剛監督は試合内容を振り返るところでは渋い表情も浮かべたが、一つ特別な思いがある一戦だったことも明かした。「いまの生徒たちには関係のないことだけど」と断った上で、「自分は一度も“小嶺先生”に勝っていなかったので、この(高校サッカー選手権が)100回大会を迎える記念の年に、名将相手に勝つことができて感慨深い」と、しみじみと語った。

 FW平山相太を擁した怪物チームだった国見の前に屈した一戦、FW安藤瑞季(現・水戸ホーリーホック)の一発に沈んだ長崎総科大附戦などを回顧しつつ、「だから今日は何としても先に1点を取りたかった。1点先に取られると小嶺マジックにやられるから」と笑った。

 また「われわれが高校生のころから憧れていた指導者。高校総体は5度、選手権は10度優勝している方だし、高校サッカーをずっと盛り上げてきた第一人者だと思っているので」と名伯楽に敬意を示しつつ、だからこそ今回の勝利は「感慨深い」と繰り返した。

 テクノポート福井総合公園芝生広場の第2試合では尽誠学園(香川)と東海大山形(山形)が対戦し、風雨も強まる中で東海大山形がやや優勢に試合を運んだが、0-0で決着付かず。迎えたPK戦も9番手まで蹴り合う熱湯となったが、後半終了間際に投入された東海大山形GK太田朋輝が尽誠の9番手を防ぐなど見事な活躍で勝利を手繰り寄せた。

 23年ぶりの出場となった東海大山形・五十嵐直史監督は「最初は硬かったですね」と特に前半の出来には苦笑いしつつも、後半は本来のサッカーができたことに手応えも感じた様子だった。PK戦では「5番手が大きかった。こちらが外して、決められれば負けという状態だったが、よく止めてくれた」と苦しい流れを勝ちに変えた殊勲のGK太田朋を称えた。

取材・文=川端暁彦

2021/8/14 22:40

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