寺田心や神木隆之介ら名子役は大人の本気を引き出す!『妖怪大戦争 ガーディアンズ』三池崇史監督が語る

拡大画像を見る

名子役・寺田心を主人公に迎えた妖怪ファンタジーエンターテインメント映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が公開されます。2005年に神木隆之介主演で大ヒットした『妖怪大戦争』に続いてメガホンを取った三池崇史監督に作品の位置付け、キャストの印象などのお話をうかがいました。

<作品概要>

1968年に大映京都撮影所で特撮時代劇として制作された『妖怪大戦争』三部作は当時の最高峰の特撮映像とアクションで子どもたちを魅了した。その後2005年に角川グループ60周年を記念し、三池崇史監督、神木隆之介主演で平成版を制作。興行収入20億円の大ヒットを記録した。

本作は「日本でもアメリカの『アベンジャーズ』シリーズに負けないヒーローアドベンチャー映画を作れることを証明したい」というKADOKAWA角川歴彦会長の意を受け、三池崇史監督が再びメガホンを取った。

数奇な運命に導かれ、世界の存亡をかけた戦いに挑む主人公・渡辺ケイを寺田心が演じる。主人公を取り巻く妖怪役として、杉咲花や大沢たかお、大森南朋、安藤サクラ、大倉孝二、三浦貴大、大島優子、赤楚衛二、SUMIRE、岡村隆史、遠藤憲一、石橋蓮司、HIKAKINらが出演した。

<あらすじ>

フォッサマグナに眠る古代の化石たちが一つに結集し、巨大な妖怪獣へと姿を変えた。向かう先は東京。このまま妖怪獣の進撃を許せば、人間も妖怪たちもタダでは済まない。

この危機に妖怪たちは、伝説の武神『大魔神』の力を借りるため、伝説の妖怪ハンター・渡辺綱(わたなべのつな/北村一輝)の血を受け継ぐ気弱な少年・渡辺ケイ(寺田心)に白羽の矢を立てる。
しかし、ひょんなことから、ケイと間違えて弟のダイ(猪股怜生)が妖怪たちに連れ去られてしまう。ダイを助けるため、ケイは謎の妖怪剣士・狐面の女(杉咲花)の導きで大魔神のもとへ向かうが、人間嫌いの狸の大妖怪・隠神刑部(いぬがみぎょうぶ/大沢たかお)がケイと妖怪たちに待ったをかける。

そして渡辺綱の末裔であるケイの命を狙う、鬼の一族が姿を現わすのだった。はたして、選ばれた少年・ケイは弟を救い、大魔神をよみがえらせ、妖怪獣を止めることができるのか? すべてを巻き込んだ妖怪大戦争がついに始まる。

少年が世界を救う勇者に選ばれ、妖怪たちから未来を託さる

――角川歴彦氏から「日本でもアメリカの『アベンジャーズ』シリーズに負けないヒーローアドベンチャー映画を作れることを証明したい。そのためには三池崇史監督に頼むしかない」とオファーされたとのことですが、オファーを受けてどう思われましたか。

『妖怪大戦争』(2005年)を撮っているので、“勝手がわかっている”というお気持ちがあったのかもしれません。しかし “また三池を監督にして撮る”というのはとんでもない冒険でもある。それでも僕に依頼されたのは角川さんなりの独特な嗅覚なのでしょう。

あくまでも僕から見ての話ですが、角川さんは妖怪ぬらりひょんのお兄さんみたいな感じ。佇まいもそうですが、感覚が人間の域を超えています。妖怪から指名を受ければ、それはもう運命です(笑)。「全力でがんばります」とお受けしました。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

中央にいるのが大森南朋が演じたぬらりひょんです。

――出演を逆オファーしたら出演してくださるかもしれないですね。

出演してくれと言ったら本当に出てしまうかもしれません。言わないようにしていました(笑)。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――神木隆之介さんが主演した2005年の『妖怪大戦争』は1968年の『妖怪大戦争』のリメイクという設定でしたが、本作はどのような位置付けの作品なのでしょうか。

2005年の作品は1968年の作品のリメイクと言っても、話自体はまったく違います。そして、今回の作品も2005年の作品とは別の家庭の少年が主人公です。前回は両親が離婚し、主人公は母親の実家のある鳥取に引っ越し、姉は父親と東京に残る。それまで都会で育ってきた子が田舎のお祭りで妖怪たちに出会い、悪霊軍団に立ち向かっていくことで成長する話でした。

今回は渡辺綱の末裔である渡辺という姓を持つ、シングルマザー家庭の少年が主人公。世界を救う勇者に選ばれ、妖怪たちから未来を託されます。

ちなみに渡辺綱は平安時代に暴れまわった最強の鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)を討伐したと言われる人物です。今、日本に渡辺さんは大勢いますが、ほぼ渡辺綱の末裔で家紋も同じだそうです。渡辺綱を恐れる鬼一族は討伐以降、渡辺の姓を持つ人たちに近づかなくなったので、渡辺家では節分で「鬼は外」と言わなくなったという神秘的な部分を加えました。

ただ共通するのはどちらも父親不在の家庭。男の子は強くあらねばならない、勇気を持って立ち向かわなくてはならない。ある意味、昭和的ですよね。イマドキではありません。それは昭和に生まれた映画で、昭和に生まれた人間が中心になって作っている宿命だと思います。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――本作の撮影は2020年ということで、コロナ禍での撮影は大変だったのではありませんか。

あの頃は今とは次元が違うので、どう対策を取ったらいいのか正直よくわからなかった。撮影を中断した組もありましたが、我々は当時としての最善の対策を取ったうえで撮影に臨みました。幸い誰も感染者が出なかったのは、運がよかっただけかもしれません。しかし、コロナが暴れないように、みんながこまめにきちんと手を洗い、お弁当を食べるときに話をしないといった小さいことを積み重ねてくれたから、運のよさを引き寄せたと思っています。僕の中にコロナを怖がっていたら妖怪を撮れないという覚悟もありました。

ベテランの俳優たちが勝ち目のない勝負にも果敢に挑んでいく

――主演は寺田心くんです。子どもにもわかるように演出するのは難しいのでしょうか。

いやいや子どもはすごいですよ。特に彼は普通の子じゃない。何を伝えなきゃいけないかをちゃんとわかっている。だから一人一人が主役を張れる大ベテランの俳優たちも寺田心と共演すると「今まで身につけてきたテクニックだけでぶつかってもコイツに勝てない」と真剣にならざるを得ない。しかも、子どもは最初のテイクから全力で来るので、大人の俳優たちも同じように最初から全力を出す。

昔から芸能界では“どう頑張っても犬と子どもには勝てない”と言われていますが、俳優って面白いもので、勝ち目のない勝負にも果敢に挑んでいく。そうやって自分が輝くことで寺田心を輝かせます。これが力不足の俳優だったらひとり浮いているように見えたでしょうけれど、今回、出演してくれた大人の俳優たちは妖怪みたいな人たちばかりでしたから(笑)。演出するという点ではすごく楽な作品でした。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――神木隆之介さんも2005年の作品では、同じようだったのでしょうか。

隆之介もそうでしたね。そのときどきのトップクラスの子役たちはみんなそういった魅力を持っていると思いますよ。だから、選ばれ、使われる。監督の力を2倍にも3倍にもしてくれる感覚です。

撮影で大事なのは粘った時間ではありません。粘って得られるものは自分の中の疲労感からくる満足感に過ぎなかったりします。子どものいる現場が大きく変わったことは大人にとってもいいことだと思いますよ。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――心くんとのやり取りで印象に残っていることはありますか。

こっちがOKを出しても“失敗したのに”と不満そうな顔をしているときがある。自分の中では失敗というか気になることがあったのでしょうね。そういう表情を見せたら、こっちはその理由がわからなくても、「もう一回やろうか」というとにこっとする。

反対に、セリフがうまく言えたわけではないのに、本人の中ではやりきったと思っているときもある。それを見抜けないで「もう一回いこう」というと、「えっ?」という顔をします。“もう、これ以上できない”と思ったのでしょう。それでも撮ったカットもありますが、結果的には最初のテイクを使っています。

子どもと一緒に作るのは本当に面白いですよ。いろんなことを学べる楽しい現場でした。

自分じゃない姿で妖怪を演じつつ、自分自身をちゃんと表現できる赤楚衛二

――狐面の女を演じた杉咲花さんとは『無限の住人』以来かと思います。その後、NHK連続テレビ小説「おちょやん」でヒロインを演じるなど、目覚ましい活躍をされていますね。

花はすごくピュアなんですよ。一応、大人としていろいろな忖度はできますが、それをしなきゃいけないと思っていない。自分の芝居に満足せず、もっとできるのではないかと常に探っている。本気で挑戦しているなと感じることが前作より強かったですね。

普通、女優は顔が出ないことを嫌がるんですよ。でも、花は“狐の面をつけているのがこの役の素顔で、自分の顔だ”とわかっている。もちろん花の顔に合うようなサイズで作って、何度も手直していますが、覚悟がないとあそこまで自分のものにできない。しかもそれを本人は飄々とやっている。お面さえも自分のものにしてしまう迫力というか、特殊な才能は独特です。

ただ花だけでなく、妖怪キャストたちは毎日、コスプレしているようなもの。普段できないことをやれると楽しんでいましたね。妖怪たちは悩まないし、妖怪に生まれたことを少しも後悔していない。それを自然と出せるのは心地いいんだと思います。隠神刑部役の大沢たかおさんは、あんな一生懸命にお腹を叩かなくてもというくらい見事に叩くし、雪女役の大島優子さんもすごく自然に腑に落ちて妖怪を演じている。俳優にとって妖怪は魅力があるんでしょうね。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――天邪鬼(あまのじゃく)役を赤楚衛二さんが演じています。心くんとは年齢差がありますが、ケイとの友情を自然に演じていたように思います。

心に俳優としてリスペクトするところがあると感じたんじゃないですか。それと、台本を通じて天邪鬼の孤独を感じ、(心が演じた)ケイと出会えてよかったと本当に思えるピュアな人でした。

天邪鬼は普通に見えて、実はかなり特殊メイクをしています。自分じゃない姿で妖怪を演じつつ、自分自身をちゃんと表現できる。今もいい役者ですが、もっといい役者になるんじゃないかと思いますよ。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――赤楚衛二さんは今、知名度がぐんぐん上がってきています。

あの世代の今ある人気は消費されていくものなので、どんどん変わっていく。変わっていくからこそ、今、輝いている。それはある意味、子役の子たちと同じです。

ただ、彼の場合はそういう力ではなく、本人が役者という仕事にちゃんとやり甲斐や魅力を感じているところに良さがある。“こういう奴がいるんだ”と驚きでした。

神木隆之介は愛すべき存在! 黙って隣にいると2005年のころと気配は一緒

――神木隆之介さんが本作にも出演されています。神木さんは2014年の『神さまの言うとおり』、2017年『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』にも出演され、監督は神木さんの俳優としての成長過程をご存知ですね。

人間的には変わらない。もちろん成長しているので、お芝居は変わっているのですが、大事な部分はあの頃のまま。黙って隣にいると気配は一緒。愛すべき存在ですね。これほど長い間、人気を維持していると多少なりとも人は変わってしまうものですから、本質が変わらずそのまま大人になっていったのはすごいなと思いますよ。

隆之介は将棋の映画をやったときには将棋を追求して段が取れるくらいになり、マンガは誰よりも詳しいし、鉄道に関しては“鉄ちゃん”です。そういういくつもの顔を持ちつつ、映画の現場ではそこでの会話に自分を合わせることができるという特殊な能力を持っている。普通は自分の仲間が中心ですけれどね。きっとそれはこの世界でやっていく中で身についたものだと思います。

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

――神木さんにはこのまま変わらずにいてほしいですね。

俳優をやっていることが幸せであればそれがいちばん。ただ人気があるがゆえに、そこに何か疑問を感じてしまうことがあるかもしれないし、突然何かふっと穴を作ってしまうかもしれません。隆之介は弱い人間ではないですし、大きなお世話なんだろうけれど、そういうことがないように願ってしまうキャラクターですね。

また、心が今後、どういう風になっていくのか、すごく興味がある。心もピュアですが、うまく楽しく生きていくんだろうなという感じが隆之介より強い。例えばお母さんを幸せにするとか、何か明確な目的があって生きているという凄みを感じるんですよ。もちろん、そう気配を持っているだけかもしれませんけれどね。

そのときどきのエース級の才能がある役者は確実にいて、子どもだからそのすごさに本人は気づいていないかもしれないけれど、やるべくしてそこにいる。みんなそれぞれ微妙に違っているけれど、そういうやつにはどうあがいても勝てない。それは役者だけでなく、監督も同じ。そういうことを彼らから常に感じます。こっちも勉強になりますね。

(取材・文:ほりきみき)

<プロフィール>

三池崇史監督

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

1960年生まれ、大阪府出身。1995年に『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』で劇場映画監督デビュー。バイオレンス、アクション、ホラーから時代劇、ミュージカル、女児向け特撮シリーズまでジャンルを問わず第一線で作品を発表。『IZO』(04)『十三人の刺客』(10)がヴェネツィア国際映画祭、『一命』(11)『藁の楯 わらのたて』(13)がカンヌ国際映画祭に出品されるなど世界でもその評価は高く、『初恋』(20)は第72回カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出された。米国アカデミー会員。

映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

監督:三池崇史
出演:寺田心 杉咲花 猪股怜生 安藤サクラ/ 神木隆之介
大倉孝二 三浦貴大 大島優子 赤楚衛二 SUMIRE
北村一輝 / 松嶋菜々子
岡村隆史 遠藤憲一 石橋蓮司 / 柄本明
大森南朋 / 大沢たかお
製作総指揮:角川歴彦、荒俣宏 
脚本:渡辺雄介
撮影:山本英夫 
照明:小野晃 
美術:林田裕至 
録音:中村淳 
編集:相良直一郎 
装飾:坂本朗 
装置設計:郡司英雄 
VFXスーパーバイザー:太田垣香織 
妖怪デザイン:寺田克也 井上淳哉
主題歌:「ええじゃないか」いきものがかり(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロダクション:OLM 
配給:東宝、KADOKAWA
©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ
8月13日(金)全国ロードショー

映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公式サイト

関連リンク

  • 8/7 0:49
  • 映画board

スポンサーリンク

ニューストップへ戻る

記事の無断転載を禁じます