公務員の夫と離婚し、年収5,000万の経営者と再婚したものの…。34歳女が鬱々とするワケ

「やめるときも、すこやかなるときも、あなたを愛する」と誓ったはずなのに…。

“やめるとき”は、愛せないのが現実。

思い描いていた結婚生活とは程遠く、二人の間に徐々に生じ始める不協和音。

「こんなはずじゃなかった」と不満が募ったとき、そもそも「この結婚、間違ってた?」とふりかえる。

あなただったら、この結婚生活やめる?それとも…?

▶前回:「最近キスさえしてない…」夫婦の危機を感じる30歳女が、ベッドで夫の背中を見ながら悩む夜

Vol.14 前妻に嫉妬する女(前編)


【今週の夫婦・結婚1年目】
夫:孝夫(38)エステサロン経営
妻:千里(34)IT関連企業事務

「千里…もうすぐ結婚記念日だから、欲しいものとか行きたい場所、考えておいて」

浅草にある天ぷらの老舗で食事を楽しんでいるとき、唐突に孝夫が言った。

38歳の孝夫は、エステサロンを都内に複数店舗経営している起業家で年収は5,000万ほどだ。趣味のゴルフで焼けた肌に、爽やかな白コットンのシャツがとてもよく似合う。

実は、夫と私は、バツイチ同士で結婚した。

バツイチの男性は二度目の結婚には慎重になることが多いし、そのまま独身を貫く男性も多いらしい。しかし、彼は去年きちんとプロポーズしてくれたし、都内のホテルで小さな式も挙げることができた。

私は今年34歳。しかも初婚の独身女性よりハンデがある。それを考えると、この先孝夫以上の男性と出会える保証はない。だから、この結婚は本当にラッキーだったと思っている。

「せっかくだから、宣言明けたら旅行にでもいきたいな。考えておくね」

私は、食後に出されたお茶を飲みながら、笑顔で答えた。

バツイチ34歳の千里が、経営者と再婚できた理由とは…?

再婚までの道のり


孝夫との出会いは、2年半前。場所は恵比寿のカジュアルなワインバーだった。

そこにいるのはほとんどが常連客で、ふらっと仕事帰りに寄った私は、完全にアウェイ。

― 店、間違えたかな…。

そう思いながら、寂しげにワインを飲んでいる私に話しかけてくれたのが、孝夫だった。

「ここは、ラムチョップとカレー風味のポテサラが美味しいですよ」

「え?あ、ありがとうございます。実はお腹空いてて…」


顔を上げて驚いた。なぜなら、孝夫の見た目がドンピシャにタイプだったからだ。今思えば、一目惚れに近かったかもしれない。

その証拠に、その日から私は孝夫目当てでその店に通うようになった。

すぐに二人で食事に行く仲にまで発展したものの、孝夫は当時既婚者。私は、警戒していたし、プラトニックな関係を貫いていた。

その判断が正しかったのかもしれない。しばらくして孝夫は離婚し、私は正式な彼女になった。

どうして、バツイチの私を選んでくれたのか不思議だったが、孝夫は若くて可愛いだけの女性とは遊び飽きていたようだった。

「最近、若い子とは話が合わなくなってきてさ。俺もオジサンになった証拠かね?」

「それって、私が若くないってこと?もう、ひどーい!」

付き合いたての頃に、そんな会話を交わしたことを覚えている。孝夫は女性をうわべだけでなく、ちゃんと本質を見て選ぶ人なのだと安心もした。

私たちはお互い一度結婚を経験しているからか、喧嘩することもなく、穏やかな大人の付き合いができた。

“会わない時のプライベートには干渉はしない”と二人で決めていたので、距離感もちょうど良く、ドロドロとした恋愛が面倒な私にとっては、ベストだったのだ。

前妻・マリコの存在


付き合ってから3ヶ月後には、プロポーズされ入籍した。

私と国家公務員だった前夫との間には子どもはいないが、孝夫には7歳になる一人娘・結愛がいる。

前妻のマリコと住んでいる結愛と、孝夫は月に2回ほど会うことになっている。再婚してからは、私も結愛と一緒に公園や映画に行くことが増えた。正直、複雑な気持ちではあったが、彼のために一緒にいる時間を楽しく過ごせるように心がけていた。

「うん…わかった。じゃあ、明日は面倒見るよ」

ある日、孝夫がバスルームで誰かと話しているのが聞こえた。その声のトーンと内容で相手が誰なのかはすぐにわかる。

電話の相手は、前妻のマリコだ。

夫の浮気で離婚した私とは違い、孝夫とマリコは今でも仲がいい。

「なんで離婚したの?」と何度か聞いたのだが、具体的に教えてくれたことはない。

妻というよりはビジネスパートナーになってしまったから、ということらしいのだが、それもよく理解できなかった。

だって、夫婦で同じベクトルを持つことは、本来素敵なことじゃないだろうか。

マリコは、彼が経営しているエステの銀座本店で責任者として働いていて、自ら施術を行いながら、新店舗の立ち上げから新人の教育まで行っている。さらに最近は、エイジングケアで話題のヒト幹細胞コスメの開発・販売にも力を入れているらしいのだ。

もちろんそのコスメは、エステサロンで販売するから孝夫も関わっている。だから、今でも孝夫にとってマリコは、なくてはならない存在であることは頭では理解している。

問題なのは、その関係を私がよく思っていないことだ。

結婚してから、容姿も仕事も完璧な女性であるマリコに、嫉妬することが増えてしまった。

「明日、結愛の誕生日なんだけど、マリコが忙しいみたいだから、うちでお祝いしてもいい?」

孝夫が申し訳なさそうに、私に聞く。

― 突然すぎるでしょ。今からバースデーパーティーの準備なんて、無理!


「せっかくだから、外食にしたらどうかな。ほら、結愛ちゃん焼肉好きでしょ」

せめてもの抵抗のつもりで、孝夫に明るく提案してみた。

「あー、そうしよっか。プレゼントは何がいいと思う?」

他人の娘のためにご馳走を作り、ケーキを買いに行くことは回避できたが、プレゼント探しは避けられない。

「ん〜。じゃあ、何か探しておくよ」

「悪いな、本当千里には頭が上がらないよ。愛してる」

孝夫に抱きしめられながら、私は不安になっていた。

この先も、マリコとその娘が私の人生にチラつくことを。そして、私が持っていないものを持っている彼女に嫉妬し続けなければならないのかと。

千里は、自分とは正反対の“デキる女”孝夫の前妻・マリコのことが気になり…

孝夫が離婚した理由、再婚した理由


前妻のマリコは、170cm近くある身長で、見た目は派手。僕と出会った頃は仕事らしい仕事をしておらず、ふわふわした女性だった。

しかし、結婚してから僕の仕事を手伝うようになると、急に仕事に目覚めガツガツした負けず嫌いの女性に変貌した。

もちろん仕事ができることは認めるが、誰か彼女に「負けるが“花”」の言葉を教えてやって欲しいくらい、とことん勝気な女性だったのだ。


それは仕事だけではなく、ゴルフに行っても、ランニングをしていても、もちろん家の中でも同じ。気がつくとマリコは、なんでも僕に勝たなければ気が済まない人になっていた。

彼女がしおらしくなるのは、唯一ベッドの中くらい。むしろ、そこはもっと大胆になってもいいと思うのだが、まるで人が変わったように大人しい。

― 女性は、女性らしくいてほしい…。

そう願ってしまうのは、考えが古いのかもしれない。しかし、可愛げがなくなったマリコを守りたいと思えなくなったし、心から愛せなくなってしまったのだ。

だから、離婚した。

もし再婚することがあるのなら、容姿の良さや若さよりも控えめで可愛げのある人がいいと思っていた。

正直な話、できれば若い方がいいが、経験上若い子はメンヘラ率が高い。

精神的に未熟で、感情をコントロールできず、思い通りにならないとストレートに思いをぶつけてくる。そうなると、自分の時間も思考もその子に消費しなければならない。

経営者として、それでは困るのだ。

離婚を考えていた矢先に出会ったのが、千里だ。

彼女は身長155cmでスタイルが良いとは言えず、顔も普通。だが話してみると、ちゃんと本質を突いてくるし、声のトーンも落ち着いていた。

― もしかして、既婚者かな?

僕の予想は少し外れていた。なぜなら千里はバツイチだったからだ。だが、その過去にむしろ魅力を感じた。

離婚の理由も、前夫の浮気ならば千里に非は無い。彼女なら、男のことを立ててくれそうだし、娘のことも受け入れてくれる。そんな気がしたのだ。

しかし、いざ結婚してみると、僕は千里の平凡な見た目がだんだん気になるようになってしまった。再婚してからというもの、僕は他の女と遊ぶことを封印していた。

前妻も、これまで遊んできた女性もほとんどが身長165cm以上のモデル体型をした、華やかな美女。LINEの友達には若くて綺麗な女がたくさんいて、彼女たちがアイコンを変える度に目についてしまう。

そして、気づくと僕はその中の一人を食事に誘っていた。


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最終回:それぞれが結婚後に抱く不満。果たして解消できるのか?

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