「勤務中でも筋トレOK」マッチョ男性だらけの介護会社に衝撃

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 先日、Twitterで“マッチョだらけの結婚式”の写真が話題となりました。投稿によればこの写真は介護会社「VISIONARY Inc.」の職員たちが、同僚の結婚式で行った余興の様子とのこと。マッチョだらけの介護会社????

 ということで疑問を感じずにはいられず、「VISIONARY Inc.」代表取締役の丹羽悠介(@yusukeniwa32)さんにインタビューしました。

◆マッチョだらけの結婚式の真相

――結婚式はどういう状況なんでしょうか。

丹羽さん(以下、丹羽)「僕は介護施設を運営しているんですが、その施設の職員が結婚式を挙げたので、職員みんなでボディビルの余興をしたんです」

――ということは写真に写っている方は全員、丹羽さんの会社の介護士さんってことですか?

丹羽「別の会社で働く友人も混じっているのですが、この中の9名(取材時)は弊社の職員になります」

◆勤務中でも筋トレはOK

――写真の状況はわかったのですが、会社の状況がよく理解できていません。マッチョの方だけを採用されているのでしょうか?

丹羽「そういうわけではないんです。弊社にはスポーツモデルやフィジークというボディビルのようなコンテストにでる職員が何人かいて、実業団として会社がその活動を応援しているんです。コンテストに出場するのも勤務扱いですし、練習費用やコンテスト資金も出しています。勤務中でも筋トレはOKです。一般の職員も、実業団のメンバーに無料でパーソナルトレーニングを受けられるので、職員みんなの筋肉に対する意識が高まって、マッチョがどんどん増えていったんです。気づいたら男性職員のマッチョ率が高くなっていました」

◆働くマッチョの悩みに寄りそった介護会社

――マッチョの同僚に触発されて、他のメンバーもマッチョになったんですね。でもなぜ、フィットネスの実業団なんでしょうか。介護のイメージとは遠い気がします……。

丹羽「スポーツモデルなど肉体を競う大会に出る子たちが、その活動費用をいわゆる一般企業で稼ぐのは難しいという話を聞いたんです。同僚と気軽にランチに行けませんし、職場の理解がなかなか得られないという。だったら、うちで応援してあげようと思ったんです」

――たしかにトレーニングや食事などいろんな制限がありそうです。

丹羽「あとは、介護業界の世間のイメージが悪すぎると思ったんです。僕は23歳のときに介護の会社を立ち上げたのですが、その時から依然として介護の仕事に対する世間の印象ってあまり良くないんですよね。でも実際は、この仕事って本当に楽しくてやりがいに満ちているんですよ。若い人ほど活躍できるし未来がある仕事だと思っています。なので、マッチョがたくさんいる介護会社があるんだ!意外!面白い!と思ってもらい、興味を持ってもらうことで、介護業界のイメージも変わればいいなと思っています」

◆利用者からも好評のマッチョ職員たち

――実際にマッチョの方が介護のお仕事をされて、利用者さんの反応はどうですか。

丹羽「最初は見慣れない肉体にびっくりされる方も多いのですが、慣れると『安心できる』『すごいね』と言ってもらえます。彼らは体の使い方がとてもうまいので、利用者さまの介助をするときなど安定感があります」

――たしかに、体を使う仕事と競技がマッチしていますね。

丹羽「仕事内容もそうですが、実業団として応援することで職場にもいい効果がたくさんありました。コンテストという目標にむかって努力する彼らの熱量は現場に活気を与えてくれますし、職員の健康意識も高まっています。他にもセカンドキャリアとして、選手たちは今後の介護業界で活躍してくれると思っています」

◆元は美容師だった社長、何があったの?!

――丹羽さんは、介護の仕事を始める前は美容師だったのですね。

丹羽「そうです。専門学校を卒業して美容師として働いていました。ただ、当時はちょっととがっていて『自分の腕があれば、独立してもっと稼げる』と思い、当時の職場をやめたんです」

――美容師としても、独立されていたんですね。

丹羽「いえ、辞めたんですけど世の中は甘くなかったです。全く稼げなくてあっという間に貯金もなくなり、しばらく無職でフラフラしていました。さらに、友人に騙されてお金まで取られたんです…。基本的にポジティブな人間なんですけど、そのときは流石に人間不信になって、お金も仕事も気力もないしで『人生終わったな』と思いましたね」

◆人生のどん底から介護の世界へ

――そこからどうやって、介護業界にきたんですか。

丹羽「しばらくは、実家にこもって一歩も外に出ない生活を送っていました。その時に、介護士をしている僕の姉が『暇だったら、施設の人の髪を切ってあげてよ』と言ってきたんです。それで、利用者さんの髪をボランティアで切ったんですけど、久しぶりに言われた『ありがとう』がものすごくうれしくて、直感的にコレだと思ったんですよね。介護業界は人手不足だって言うし、自分みたいな人間でもがんばれば何か爪痕が残せるかもしれないと。そこから介護業界に飛び込みました。あとはもう無我夢中で、バイトを掛け持ちして介護士の資格をとるために学校に通ったりと、勉強する日々でした」

◆美容師も介護の仕事も似ている

――実際に美容師から介護の仕事に転職して感じることはありますか。

丹羽「美容師と介護士ってすごく似てる!って思ったんです。どちらも職人気質の人が多いし、その一方でサービスを提供することが大事っていう点ですね。どちらの仕事もスキルは大事だけど、どんなに技術があってもお客さんが満足しないと意味がないんです。介護の現場でも技術力が求められますが、それ以上に利用者さんが安心して過ごせることが一番大事です。そのためにはホスピタリティやコミュニケーション力が欠かせませんし、どちらも人間力が求められる仕事だと思います」

――たしかに真逆のイメージですが、本質は似ていますね。

丹羽「介護のイメージが悪い理由の一つとして、汚いという声もありますが、美容師だってどの仕事だって汚い仕事をします。飲食店のトイレ掃除だって大変でした。僕が介護の仕事をして感じたのは『汚いかもしれないけど嫌じゃない』ってことです。トレイの介助は、お母さんやお父さんが赤ちゃんのおむつを交換する気持ちに近いのかもしれません。『誰だってするもんな』とすぐに慣れました。毎日一緒に過ごしている利用者さんの介助、というところでそのような意識が働くのかもしれません」

◆実際の現場を正しく伝えたい

――今後やりたいことはありますか。

丹羽「先ほど介護のイメージを変えたいって言いましたけど、変えたいと言うよりも、実際の現場を正しく伝えたいという方が正しいかもしれません。みんな楽しく働いています。僕もこの仕事がすごく好きですし、利用者さんと一緒にいる時間は何よりも充実しています。介護は世の中に必要な仕事ですし、人の人生に深く関われる意義のある仕事だと感じています。自分が発信し活動することで、美容師業界と並ぶ華やかな業界にして、盛り上げていきたいと思っています」

 丹羽さんの「介護のイメージを変えたいのではなく、実際の現場を正しく伝えたい」という言葉がとても印象的でした。マッチョの結婚式写真から始まった丹羽さんのインタビューですが、最後には業界にかけた熱い思いが伝わってきました。

【丹羽悠介(にわ・ゆうすけ)】
介護はその方の人生を応援することが仕事、という理念のもと『人生にスポットライトを』を合言葉に福祉事業を展開。東海エリアを中心に、介護を若者が目指す職業になるべく活動中。SNSのDMやホームページの問い合わせチャットから、現在社員を募集中。会社Instagram:@hidamari_group

<取材・文/瀧戸詠未>

【瀧戸詠未】
ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。

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