「給料」が上がらず「物価」だけが上昇することはない!? “物価の安定”を担う日本銀行の役割とは?

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。8月1日(日)の放送では、日本銀行情報サービス局 総務課長・上原博人さんに「日本銀行とお金の世界」をテーマに話を伺いました。

青木源太、上原博人さん、足立梨花

◆日本銀行とは? その役割を深掘り

日本銀行とは、日本銀行法によりそのあり方が定められている認可法人であり、政府機関や株式会社ではありません。わが国唯一の中央銀行。つまり“銀行の銀行”です。

一般の銀行が私たちのお金を預かったり、私たちへ貸してくれたりするのと同じように、日本銀行は民間銀行からお金を預かったり、逆に銀行へお金を貸し出したりしています。

また、日本銀行は政府の銀行としての役割もあります。国は日本銀行に預金口座を持っていて、税金などがこの口座に集まってきます。例えば、道路の建設代金や年金などは、この口座から支払われています。

そして、日本銀行は日本で唯一、お札を発行できる銀行です。お札の正式名は“日本銀行券”と言い、お札には「日本銀行券」と印刷されています。

ちなみに、同じお金でも貨幣には、日本銀行ではなく「日本国」という文字が刻まれています。これは、貨幣を発行しているのは日本政府であることを意味しています。

日本銀行は、お札の発行だけでなく、古くなったお札を回収し、処分するまでの“お札の一生”を管理しています。この管理には、“ニセ札”のチェックも含まれています。

ちなみに、現在の1万円札に取り入れられている偽造防止技術は11種類。その技術は、世界最高峰と言っても過言ではないレベルです。こうした高い技術と日頃のチェックによりニセ札が出回るのを防いでいるため、私たちはお札を安心して使うことができます。

ちなみに、最新の偽造防止技術を採用した新しい1万円札、5千円札、千円札は、2024年度上期を目処に発行される予定です。

上原さんは「例えば、新しい1万円札は渋沢栄一が肖像となる見込みですが、肖像の3D画像が回転して見える最先端のホログラムが採用される予定」と、その一部を説明。さらには「こうした技術が銀行券に採用されるのは世界で初めて」と胸を張ります。

ちなみに、お札の平均寿命は「1万円札で4、5年。千円札・5千円で1、2年」と意外と短いそうです。その理由は、「きれいなお札を流通させようとしているためです。少し傷んだ物は、回収したときに廃棄する形になっています」と話します。

例えば、お札が破れたり燃えたりして、お札の一部しか残っていない場合、「表と裏の両面でお札であることが確認でき、一定以上の面積(3分の2)が残っていれば、金融機関や日本銀行できれいな物と引き換えることができる」と上原さん。日本銀行の本店は東京・日本橋にあり、全国にも支店や事務所があります。最寄りの支店などに行けば、窓口で直接引き換えることができるほか、交通反則金の納付も受け付けています。

◆日本銀行の重要な役割の1つ「物価の安定」

日本銀行には、もう1つ重要な役割「物価の安定」があります。物価とは、一つひとつの商品の価格ではなく、お店で売っている物やサービスなどさまざまな価格を総合的に表した物。物やサービスの価格が大幅に上がり続けたり、逆に下がり続けたり、短い間に大きく上下すると、私たちの暮らしが不安定になります。

“景気がいい”ときは、物の売り買いやお金の動きが活発なとき。物を作ればよく売れるので、会社は儲かり、社員の給料を上げることができます。ただ、景気がよくなり過ぎると、高くてもいいから買いたいという人が増えるため、物の値段が上がっていきます。

一方、“景気が悪い”ときは、物の売り買いやお金の動きが鈍いとき。物を作っても売れないので、物の値段が下がります。消費者にとっては安く買えるため、いいように思いがちですが、値段が下がり続けると物を作っている会社やサービスを提供している会社は儲かりません。そうなると、社員は給料が減り、場合によっては会社が倒産して失業してしまうかもしれません。

また、日本銀行がおこなう金融面からの経済政策「金融政策」については、「現在は短い期間の金利や10年物国債の金利をコントロールしているほか、国債に加えて企業などが発行する社債などの資産も買い入れています。こうした金融政策を通じて、“物価の安定”を図っている」と上原さん。「日本銀行が考える“物価の安定”は、『消費者物価』の指標が前年比2%上昇すること。これを目指しています」と解説します。

とはいえ、消費者が「物価が2%も上昇すると困る!」と感じることは極めて自然なこと。日本銀行が実施したアンケート調査によると、「物価が上昇している」と感じている回答者のうち、8割程度の方が「物価上昇は望ましくない」と答えています。

上原さんは、給料が上昇せずに、物価だけが上昇するということは普通には起こらないと言い、「日本銀行が目指している“2%の物価上昇率”が安定的に続く経済・社会では、“賃金も物価もゆるやかに上がる世界”が実現されると考えている」と言います。

◆「偽造防止」の細かい技術もチェックできる!

私たちの暮らしにとっても大事な存在である日本銀行。今回紹介した日本銀行の役割は、そのほんの一部です。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ日本銀行のWebサイトをチェックしてみてください。日本銀行の役割をわかりやすく紹介するページや動画が充実しています。

パーソナリティの足立は、1万円札の偽造防止技術が11種類もあることが印象的だったと話し、「ぜひみなさんもWebサイトを見ながら、実際の1万円札とにらめっこしてほしい」とコメント。

一方、青木は、日本銀行が“物価の安定”の役割を担っていることに触れ、「物価が上がると嫌だなと思う人もいるかもしれませんが、資本主義が健全に発展していくためには2%の物価上昇率が安定的に続くことが大事なんだと、あらためて感じました」と語りました。

青木源太、足立梨花

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聴取期限 2021年8月9日(月・振休) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection

放送日時:毎週日曜 7:30~7:55

パーソナリティ:青木源太、足立梨花

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

2021/8/5 6:00

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