やわらか、とろける〜「メロンゼリー」「マンゴープリン」のつくり方
色鮮やかで、くちどけなめらか。喉にすべり落ちるひんやりとした感覚。夏こそ食べたいのがゼリーです。『やわらか とろける いとしのゼリー』(主婦の友社)には、簡単に作れて見目麗しいゼリーがいっぱい。
著者でお菓子研究家、日本茶インストラクターの本間節子さんが大切にしたのは、「やわらかさとみずみずしさ」。スプーンですくって一口食べれば、もう至福。フルーツやミルクを使ったメニューも豊富なので、栄養面でも満点なのです。
◆ほろほろふわふわ、ゼリーの秘密
ゼリーの魅力は、なんといっても絶妙な舌触り。あのぷるんとした弾力の秘密は、3つの材料にあります。ゼラチン、アガー、寒天です。ゼラチンと寒天はポピュラーですが、アガーは聞き慣れないかもしれません。本書から、それぞれ基本をまとめてみました。
ゼラチン……牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲンが原料。体温で溶けるので口どけがよく、弾力のある食感になる。15度以下で固まり、固まった後も常温で溶ける。
アガー……海藻やマメ科の種子から抽出する多糖類が原料。仕上がりの透明度が高く、無味無臭。常温で固まるので、冷やし始めてからは手早い作業が必要。
寒天……てんぐさなどの海藻から抽出した多糖類が原料。ゼラチンやアガーとくらべて最も凝固力が強く、常温で固まる。粘りや弾力はなく、ほろっとくずれるような口あたり。
いかがですか。3種は似て非なるもの、本書ではそれぞれの特徴を生かしたレシピを考案しています。
◆大人買いした果物はゼリーで活用
メロンにマンゴー、スイカ。カットしたフルーツも売っていますが、どうせなら1個買いしたい。でも余らせたらもったいない。スーパーで躊躇しているあなた、ゼリーにすれば一挙解決。まずは贈答品にも多いメロンから。いつもと違った奥深い味わいも楽しめますよ。
◆☆メロンのゼリー
材料(容量80mlのグラス4個分)
メロン 正味250g(約1/2個)
アガー 5g
砂糖 30g
水 150ml
レモン汁 小さじ1
下準備
メロンは室温に戻す
器にアガーと砂糖を入れ、泡立て器でよく混ぜる
◆作り方
1 メロンは皮をむいて種をとり除き、ひと口大に切り、ミキサーにかけてピュレ状にする。
2 鍋に水を入れ、泡立て器で混ぜながら、混ぜたアガーと砂糖をふり入れる。
3 混ぜながら中火にかけ、沸騰直前(90度以上の液体で溶かすが、沸騰させてしまうと凝固力が弱まるので注意)に火からおろす。1を少しずつ加えて混ぜ、レモン汁を加えて混ぜる。
4 グラスに注ぎ入れ、冷蔵庫で3時間以上冷やし固める。
メロンの淡いグリーンって、品のあるやさしさだと思いませんか。メロンはフルーツの中でもカリウムを多く含み、ナトリウム(塩分)を排泄する役割があるのです。βカロテンやたんぱく質分解酵素も含まれているので、お肉を食べた後のデザートにもいいですね。
お次はマンゴープリンです。意外と手軽に作れるので、ぜひお試しあれ。
◆☆マンゴープリン
材料(容量100mlのグラス4個分)
マンゴー 正味200g(約1個)
砂糖 20g
粉ゼラチン(または顆粒ゼラチン)
水 大さじ1
オレンジの果汁(オレンジジュースでもOK)
50ml
生クリーム 100ml
下準備
器に水を入れ、粉ゼラチンをふり入れてふやかす
◆作り方
1 マンゴーは皮をむいて種をとり除き、ひと口大に切り、ミキサーにかけてピュレ状にする。
2 鍋に1と砂糖を入れてゴムべらで混ぜながら中火にかけ、沸騰したら火からおろす。ひと呼吸おき、ふやかしたゼラチンを加え、混ぜて溶かす。
3 オレンジの果汁を加えて混ぜる。鍋底を氷水に当てながら混ぜ、軽くとろみがつくまで冷やす。
4 ボウルに生クリームを入れて七分立て(もったりと重くなるが、泡立て器ですくうと角は立たずに先端がたれる)にし、3に加えて混ぜる。グラスに注ぎ入れ、冷蔵庫で3時間以上冷やし固める。
フレッシュなビタミンカラーが見ているだけで元気をくれるマンゴー。含まれている栄養はポリフェノールと抗酸化作用の相乗効果が期待できるビタミンA、C、E等々。日焼け対策にもなるマンゴープリン、手作りすれば心の栄養にもなりそうです。
本書にはフルーツゼリーだけではなく、紅茶やソーダ、キャラメルや甘酒のゼリーもあります。朝食やおやつに一品加えれば、夏バテ知らずに過ごせますよ。
―小説家・森美樹のブックレビュー―
<文/森美樹>
【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx