「巨人が後半に逆転優勝」の根拠とは。前半戦データで振り返るプロ野球

―[数字で見るプロ野球]―

 オールスターも終了し、オリンピックへの影響のためプロ野球は現在エキシビジョンマッチとなっており、公式戦は8月13日までおあずけとなってしまっている。

 そこで今回は、もし前半戦のチーム対戦成績のまま、つまりチーム状態が一切変わらずに全日程を終了したら順位はどうなるのかを計算してみた。今回はセ・リーグ編だ。ここで算出された成績よりよければ「後半戦頑張った」となり、悪ければ「後半戦失速した」ということがわかる。

◆このままでは巨人が最後に阪神を差し切る

 算出方法はチーム別前半戦対戦成績を出し、残試合も同じ割合で勝敗引き分けが増えるものとして計算している。まずは小数点まで算出した「チーム状態が前半と変わらなかった場合の最終想定順位(小数点込み編)」だ。

<最終想定順位(小数点込み編)>

     勝   負   分   勝率

巨人   74.79 51.51 16.69 0.5922

阪神   81.30 56.09 5.60  0.5918

ヤクルト 72.73 53.23 17.02 0.5774

広島   54.66 72.23 16.09 0.4308

中日   51.18 71.70 20.10 0.4165

DeNA   47.92 76.83 18.23 0.3842

 交流戦はもう終了しているので、セ・リーグ同士の対戦だけが増加していくため順位は変わる。するとなんと、前半戦首位だった阪神を巨人がわずかに捉えてしまうという結果が出てしまった。

 簡単に分析すると、つまり巨人は交流戦【7-8-3】で負け越してしまった影響で現在2位だが、セ・リーグ同士での戦いでは一番の勝率を残しており、その実績通りであれば143試合終了した時点では阪神を捉えてしまうというワケだ。また、4位と5位の広島と中日も入れ替わってしまっている。

◆接戦をモノにできれば阪神は逃げ切れる

 ただ、阪神ファンの方々は悲しまないでほしい。81.3勝なんていう小数点での勝利数は現実ではあり得ない。なので、小数点が発生した勝敗分け部分を25試合(1チームの同一リーグ対戦数)の対戦計算結果ごとに整数化してから算出した「近似で整数に均した最終想定順位」を出してみると阪神は……

<最終想定順位(整数編)>

     勝 負 分 勝率

阪神   82 56 5  0.5942

巨人   75 52 16 0.5906

ヤクルト 73 54 16 0.5748

広島   54 72 17 0.4286

中日   52 72 19 0.4194

DeNA   48 77 18 0.3840

(整数化の例)阪神の対ヤクルト 16.7勝5負3.33分⇒17勝5負3分

 どうだろう、阪神がわずかに3厘程度逃げ切れるという結果になったではないか。だが、これは逆をいえば「微妙な結果が良い方に転んだ」場合ならという条件をクリアしなければならない「薄氷の首位」であるといえるだろう。

 よく見るとヤクルトも僅差であるため、この結果だけを見ると、まだまだリーグ優勝はどこかは予断を許さない状況だといえるだろう。セ・リーグは後半戦に救世主となる選手が現れるかどうかが、今年は極めて重要なシーズンになっている。

◆後半戦頑張ったかどうかの指標になる

 またシーズン終了時に、この計算結果と現実を比較すればチームが後半戦に奮起したかどうかがわかるだろう。

 仮に優勝できなくても、数字を上回れたのであれば来年に向けて期待できる要素になりうるのではないだろうか。

◆エキシビジョンマッチにも注目

 そして現在、後半戦に向けてのエキシビジョンマッチが行われているが、後半戦への上積みとなる期待の選手を探せる注目の試合が続く。

 チームの伸びしろを探す面白い時期だと思うので、エキシビジョンマッチも要注目だ。

文・佐藤永記

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【佐藤永記】

公営競技ライター・Youtuber。シグナルRightの名前で2010年、ニコ生で全ての公営競技を解説できる生主として話題に。現在はYoutube「公営競技大学」を運営。子育てやSE業界の話題なども扱う。Twitter:@signalright

2021/8/4 8:52

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