やっと出会えた「天職」が市役所の非正規職員 女性の投稿が賛否激論! 正規公務員からは「無責任で楽チン」と...(1)

「周囲の人は優しいし、ノルマはないし、仕事が面白くて仕方がない。何よりいろいろな条例や法律を知ることが楽しい」

40歳独身。大学卒業後、新卒入社の会社でいじめられて病んで退職後、職を転々とした女性がようやく「天職」と思える仕事に出会った。市役所の非正規職員だった。

しかし、いずれ退職しなくてはならない。正規職員を目指すには難関の「氷河期枠」の試験を突破しなくてはならない。どうしたらよいかという投稿が話題になっている。

正規の公務員経験者たちからは、

「非正規の人は責任がなくて楽チンだ。それを『天職』というのはおこがましい」

と冷ややかな意見が相次いだ。

一方、

「『天職』と思うのならぜひ氷河期枠に挑戦しなさい!」

と熱いエールを送る人も多い。専門家に聞いた。

「穏やかな人ばかりで『仕事できるね!』とほめてくれます」

話題になっているのは、女性向けのサイト「発言小町」(2021年7月20日付)に載った「40歳独身。天職に出逢えたが正規になる手立てがなくつらい」というタイトルの投稿だ。

「40歳にしてようやく天職に出会いました。市役所の事務です。大学卒業後新卒で仕事ができず、同僚からいじめられて病み、半年で退職。その後合う仕事がないまま職を転々とし、派遣をいくつか経験して雇い止めとなり、次に見つけたのが市役所の非正規でした。正直天職でした」

というのだった。

職務は正規とほぼ同じ。できるか心配だったが、すごく自分に合っている。いろいろな法律や条例を知るのが楽しく、事務作業はルーチンワークが多くてやりやすい。窓口もやり、市民から時折クレームがくるが、自分の仕事に自信が持てているからか苦にならない。

「同じ部署の人は、穏やかな人ばかりで私のことを『仕事できるね!』と褒めてくれます。民間で、ノルマを課せられピリピリしている上司にミスを責められ、私が萎縮してまたミスする悪循環が消えました。できれば定年までこの仕事を続けたいですが、非正規はどんなに仕事を頑張っても正規にはなれず、今の職場もいずれ去らねばなりません。自治体の職員募集を見ましたが、経験者採用は職務経験不足と年齢で応募できず、氷河期採用は狭き門なので、合格する気がしません。やっと見つけた天職ですが、あきらめるしかないでしょうか」

と、アドバイスを求めるのだった。

「非正規をおだてて、気持ちよく働かせるのも正職員の仕事」

この投稿には、同じ立場の非正公務員や正規公務員たちから、「責任のない非正規だから、楽な仕事に思えるだけ。天職というのは考え方が甘い」という厳しい意見が多く寄せられた。

「会計年度任用職員(編集部注:非正規の地方公務員)です。仕事ぶりをほめてもらうことが多いですが、じゃあ自分が正職員としてやっていけるかと考えると、そうは思いません。責任の重みが全然違います。扱う仕事の内容も違うし、正職員は2~3年で異動があります。災害が起こった時、私は一番に逃げたいタイプですが、正規の職員は『自分たちが逃げるのは最後』と言います。そういう覚悟は私にはないです。非正規をほめておだてて、気持ちよく働かせるのも正職員の仕事なのだと思っています」
「公務員として20年勤務しました。申し訳ないですが、甘いと思いますよ。天職だと思えるのは、非正規職員として働いているから。役所により違いますが、事務職だからといって机に座って事務と窓口対応をしているだけが仕事ではありません。現場にも出たり、税金や保険料等の徴収のために個人宅に伺ったり、生活保護などの担当課ではケースワーカー的な仕事もしなければなりません。泥だらけで農家さんと作業をしたり、建築系の部署では何百人という住民の前で事業説明や質疑応答もしたりします。また、役所の仕事は人間関係が重要になり、総じて非正規職員には優しいですよ。今の仕事だけで天職だなんて言って欲しくありません」

一方、「氷河期の枠があるのなら挑戦してほしい」という応援エールも多かった。

「氷河期世代の枠は、職歴はそれほど関係しません。確かに枠は少ないですが、勉強して点を取って努力した者が受かります。今担当しているお仕事をアピールできますしね。頑張ってください」
「ある採用試験で倍率40倍という経験をした者です。でもね、どんな試験にも、記念受験とかお試し受験という人が必ず一定数います。あの東京大学だって然りです。だから、実際の競争率はそれほどでもない。本当にその仕事が好きで、適性もあり、なおかつ現在現場で活躍している、そんな人か採用にならないはずはありません」
「いまの職場の上司に相談してみてください。じつは市役所って、会計年度職員から正職員に採用枠を作っています(社会人採用枠として)。もちろん、資格を取る(国家資格)のと、勤務実績(欠勤や訓告などがないこと)、地域の活動を積極的に行っている(消防団や福祉ボランティアなど)がセットですが...」

「なぜ天職と思うのか、しっかりイメージを作ろう」

また、「別の役所の非正規職を探したらどうか」「他の分野にチャレンジして資格取得の勉強をしては」というアドバイスも寄せられた。

「公務員系列の仕事をしています。正規と非正規は同じような仕事でも中身が異なります。責任の重さが違います。非正規から試験を受けて正規に上がられた方は一様に『こんな難しいことをしていると思わなかった』と言いますよ。今の任期が終了したら、別の役所系列の非正規職を探されてはいかが。民間企業より働きやすいのか、そういう方が大勢いらっしゃいます。最初からやりたい系統に応募すればいいし、お勧めです」
「天職に出会えた幸運を生かしましょう。公務員の人ってやっぱり、若いときから公共に奉仕する精神があるせいか、全体的に優しく丁寧ですよね。そういう人と一緒に働ける場といえば、市役所のほかに、すこし公共性のある(NPO団体とか、障害者施設の事務とかはいかが?)職場を探すのもよいかもしれません」

J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の「天職に出会えたが、正規の公務員になる手立てがなくてつらい」という投稿に関する論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投稿と回答者たちの意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「投稿にある『大学卒業後新卒で仕事ができず、同僚からいじめられて病み、半年で退職』という原体験に、課題のすべてが集約されているように思いました。その時の悩みや苦しさが、投稿者さんのその後の仕事人生に大きな影響を与え続けたのではないでしょうか。ひょっとすると、鬱(うつ)などの症状に悩まされた経験もお持ちなのかもしれません。
一方、回答者さんたちの言葉はそれぞれ真摯なアドバイスだと思いますが、社会に出てすぐに挫折を味わった投稿者さんの状況に対して、どのように察したのかは人によりまちまちのように感じます。投稿者さんの姿勢を〈甘い〉と感じた人もいれば、〈頑張っている〉と感じた人もいるようです」

――今回の論争のテーマは「働く女性が天職に出会えるかどうか。出会った時にどうするか」だと思いますが、前の職場の働く女性を支援する「しゅふJOB総研」におられた時、今回のテーマに合うような調査をしたことがありますか。

川上さん「天職についてのストレートな調査ではありませんが、働き方の希望と現実のギャップをテーマに、働く主婦層の方々に『働く主婦が本当に望む働き方とは?』という調査を行いました。
『いまのあなたにとって最も望ましいと思う働き方は?』と質問したところ、『フルタイム正社員』と回答した人の比率は13%に留まりましたが、続けて『もし家庭の制約などがなく、100%仕事のために時間を使うことができる場合、最も望ましいと思う働き方は?」と質問したところ、『フルタイム正社員』と回答した人が62%に跳ね上がりました。
それだけ多くの人が家庭の事情など、さまざまな背景と折り合いをつけるために、何らかの妥協をして仕事を選んでいるのが実情なのだと思います。つまり、仕事を自分に合わせるのではなく、自分を仕事に合わせるというスタンスです。投稿者さんが『天職』だと思っている仕事を一般的にラクな部類に入る仕事と捉え、『天職』へのこだわりを『自分の希望にそった仕事しかしたくない』という意味に受け取る人は、そのスタンスを『甘え』だと見なすのではないでしょうか」

(福田和郎)

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