「五輪会場」お台場でトライアスロン生観戦。テレビでは味わえない感動に出会う

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―[今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪]―

~現地観戦編~

 フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。


◆「東京五輪を現地観戦する」達成にむけて

「ステイホーム五輪」を誓ってテレビから声援を送る日々、いかがお過ごしでしょうか。内閣府発表によれば東京都の人流は順調に減少しており、感染拡大以前との比較では、東京・新宿・渋谷・池袋などほぼ全域で4~6割ほどの減少が見られるそうです。

「起きている時間ずっと五輪をやっている」「朝から晩まで毎日メダルラッシュ」ではこれも当然でしょうか。僕も3画面同時視聴プラス仕事用のパソコンを見ており、目の休まるヒマがありません。

 さて、ステイホームはするとして、「東京五輪を現地観戦する」ことを掲げて7年間連載をしてきた当欄としては、このままではどうにもおさまりがよくありません。

 こうなるとわかっていれば宮城県開催や静岡県開催のチケットにも申し込みをしたのですがが、申し込みの際は東京開催分に全集中してしまったため、有観客試合のチケットは持っていません。

 また、チケットが取れない場合はタダ見の沿道観戦を模索する想定もありましたが、沿道での応援は自粛を要請されており、それも難があります。

 手詰まりのなかで「どうにかして見られないものか……?」と思案していたとき、競技本格開始直後に行なわれた自転車男子ロードレースの模様が目に入ってきました。沿道にはもちろん応援の人がいるのですが、沿道だけではなく、通り道にあるマンションのベランダから手を振って見守る人々の姿も見えます。

 なるほど、ベランダ。ベランダから見ているぶんには、密になる心配もありませんし、人が集まってくる呼び水にもならないでしょう。

◆「ヒルトン東京お台場」があった!

 東京五輪は大都会のなかでの開催というのもウリで、スタジアムの周辺には高層ビルが建ち並ぶ都会的風景が広がります。競技場を見下ろすホテルかウィークリーマンションでもあれば、そのベランダから五輪が見られるのではなかろうか。で、探しましたところ、ありました。お台場に建つヒルトン東京お台場です。

 ヒルトン東京お台場はオーシャンビューを堪能するために客室にベランダが設けてあり、部屋から東京湾を見下ろすことができます。最寄りのお台場海浜公園ではトライアスロン競技が行なわれることになっておりますので競技の様子が見えるはず。

 苦境にあえぐ観光業を支援しつつ、ゆったりとテレワークをすることもできる画期的思いつき。早速、ヒルトンに予約を入れてチェックインです!

◆閑散としたお台場と厳重な警備

 観戦は翌日早朝ですので、まずはテレワークなどに励んで夜明けを待ちます。夕食の買い出しに出た道すがらに街の様子を見れば、どこもかしこも閑散としています。

 普段なら買い物やデートでにぎわう近隣の商業施設も閑古鳥が鳴き放題。おかげ様で買い出しはとてもスムーズに進みましたが、世のなかはどうなってしまうのかと心配になります。

 一般の買い物客は少ないのに警察の方とボランティアの方はたくさん歩いています。どの角にも警察の人が立っていて、アヤしいヤツがいないかとチェックをしています。

 僕などはアヤしいヤツに見えたのか、警察の方とすれ違うたびに「こんにちは」とあいさつをされます。元気な笑顔で「お疲れ様です」と返しておきます。

◆同じホテルに海外メディアの拠点も

 買い物を終えて再びホテルに向かうと、一部の窓から眩しいライトの光が漏れています。どうやら海外メディアがここに拠点を設けて、ベランダからレポートをしている模様。「本日の東京五輪の結果は……」とかベランダで言っているのでしょう。

 考えることは万国共通だなと思います。こちらも気分は「ひとりメディアセンター」です。

◆「ベランダ代6万円」より貴重な思い出を!

 コース図を見ながら、どのあたりが競技エリアなのかをチェックします。スタート地点やトランジションエリア(スイムからバイク、バイクからランへの用具の切り替えを行なう場所)は位置取り的に見えそうにありません。足元の道路にも「TOKYO2020」のフェンスが張ってありますが、残念ながらバイクとランのコースはベランダからまったく見えない場所です。

 ただ、スイムのコースは一部視界に入りそうです。よくよく見ますとオリンピックのエンブレムがついたブイが浮かんでいます。選手はそのブイをまわって泳ぐのでしょう。「これでベランダ代、6万円か……」とはチラッと思いますが、思い出はお金にかえられません。何としても東京五輪をこの目で見る、その一念です!

◆眼下に広がった憧れの東京五輪

 準備万端整いまして7月27日早朝。暑熱対策で午前6時半スタートとしたところ、あいにくの雨で気温は低めのコンディション。どちらかといえば、寒さ対策が必要な気候のなかでトライアスロン女子は競技をスタートします。部屋のテレビでは中継映像を映し、その様子をうかがいながらベランダから実際の競技を見守ります。

 スタートからしばし待つと、視界にボートが移動してきます。それにつれて水面に立つ水しぶきが一筋のオビのように進んできます。確かに誰かが泳いでいます。誰が誰かはまったくわかりませんが、確かに誰かが泳いでいる。あれは間違いなく東京五輪。絶対に見たいと憧れつづけながら、ほぼ無観客となってしまった東京五輪があそこで行なわれています。

 僕が少年ネロならパトラッシュを抱き締めながら死ぬくらい感動的な光景です!

 時間にしてわずか3分ほど。選手たちはじょじょに視界から消えていき、僕の東京五輪現地観戦は終わりました。しかし、素晴らしい思い出を得たことに満足しています。僕はこの目で東京五輪を見たのですから。

◆「史上初」の歴史に立ち会う

 そして、その記憶をさらに輝かせる出来事もありました。現地観戦することができたこのトライアスロン女子で、バミューダ諸島から参加のフローラ・ダフィー選手が金メダルを獲得したのです。

 バミューダ諸島は北大西洋にあるイギリス領で、人口6万5千人ほどと国立競技場なら全員がおさまるくらいの人数しかいない小さな地域です。今大会も2選手しか参加しておらず、そのひとりがダフィー選手です。バミューダ諸島の選手はこれまでにボクシングで銅メダルをひとつ獲得していますが、金メダルを獲得するのはこれが史上初めて。

 かねがね「バミューダ諸島のために金メダルを獲りたい」と語っていたダフィー選手の思いが実を結びました。そんな「史上初」の歴史に立ち会い、それを自分の目で見たことはかけがえのない思い出になりました。

 この先、何十年も僕は「バミューダ諸島の初めての金メダルをワシはこの目で見たのじゃ……」と語り継いでいくことでしょう。この思い出話はテレビ観戦では成立しないものです。

 宇宙に行った人しか「宇宙から見た地球」を語れないのと同じことです。生涯消えない思い出と、その思い出がスゴそうに感じるエピソードを得て、僕の東京五輪現地観戦は大大大成功です! 開催に尽力してくださったみなさん、本当にありがとうございました!!

―[今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪]―


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  • 7/29 8:52
  • 日刊SPA!

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