北山宏光主演『ただ離婚してないだけ』展開エグいけど観てしまう、心掴まれる光と闇

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「怖すぎ」「息するの忘れる」「身体に力が入ってた」「ただリコ視聴は20分走ったくらいの体力消耗をともなう」「観た後寝れない」…

Kis-My-Ft2の北山宏光が主演を務めるドラマホリック!『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系、水曜深夜0時)は、観終わると冒頭のような感想コメントがつぶやかれる。一見ネガティブなコメントに見えるかもしれないが、それだけこのドラマに心を掴まれドラマの世界に引き込まれている証拠とも言えるだろう。毎話トレンドを賑わせ、初回は見逃し配信の再生数(1週間での再生数)がテレビ東京の番組で歴代2位を記録。「怖いけど続きが気になる」「1番次が気になるドラマ」との声が相次いでいる。



結婚生活7年目を迎えた、ただ離婚してないだけの冷え切った夫婦を描く本作。正隆(北山宏光)の不倫相手・萌(萩原みのり)が妊娠。正隆は堕胎させ、一方的に別れを告げる。一方で妻・雪映(中村ゆり)との間には子供ができる。心が壊れていく萌は、夫婦のもとへ。包丁を持って襲い掛かる萌と正隆はもみ合いになり、気が付けば夫婦の前には腹に包丁が刺さって倒れている萌。血の海が広がっていく…。


ストーリー展開が衝撃的で怖すぎることは、こんな雑な説明でも少なからず伝わるだろう。しかし、同時にこの闇深い世界に引き込み「続きが見たい」と思わせる、研ぎ澄まされたこだわりを感じる瞬間が何度もある。今回は、正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)、夫婦の描かれ方を少し振り返りながら、そのこだわりを探ってみたい。


フリーライターの正隆は、編集部で「実家の商売継いだ方がよかったんじゃないの?」「実力ないんだから、せめてやる気くらいみせてよ」と言われ下りのエレベーターに乗る。「クズども…クズども…」そう呟きながら、エレベーターは下降していく。孤独な正隆のつぶやきが響き、街の喧噪やエレベーターの動作音が次第に大きくなり、正隆の存在を飲み込んでいく。それを紛らわせるかのように、萌(萩原みのり)との体の関係に寄りかかる。第2話でも、「ぼんぼん育ちだからかなんか知らないけど、仕事なめるのもいい加減にしてくれよ!」またも編集部で辛辣な言葉を浴び、エレベーターでまた一段闇に墜ちていく。視覚からも聴覚からも、一段一段堕ちていく正隆が描かれているように感じられる。


正隆は過去にとらわれている。実家は大企業の製薬会社。正隆は母親の連れ子で、父となった社長と血のつながりはない。やがて社長を継ぐことになったのは実の子である弟の方だった。「息子ともども、家族で…」と父がパーティーで挨拶したとき、幼い正隆は後ろの方で壇上を眺めていた。“家族”のなかに正隆は含まれていなかった。雪映が過去に死産した時に安堵したことも、萌に子供ができて堕胎させた時も、家族というものに向き合うことを避けたのにはそんな過去があったからだ。正隆が「クソが…」とつぶやき堕ちていくとき、実家に言及する言葉やニュースが正隆の世界を支配していた。

そんな正隆の闇に第3話で光を照らしたのは、妻の雪映。「これ以上自暴自棄にならないでよ。過去は忘れて、もっと自分を大切にして」。


教師である雪映はこどもたちに学校で笑顔を向け、まわりの教師から幸せを羨む言葉が飛んでくる。しかし、合唱コンクールの課題曲を子供たちが相談に来ている時、雪映が見ているのは不倫旅行で夫が引き出した口座の額。外からは、夫婦の本当の姿なんて全く見えていない。正隆の旅行の洗濯物を気持ち悪そうに洗濯機に放り込み、必死でその手を洗い、耐えきれず泣き崩れる。かけられた言葉とのほど遠さに、雪映の悲痛な思いが際立つ。想像の中では、暖かい光の中で正隆との子供の笑い声が響き、笑顔が輝いていても、パッと切り替わった目の前の現実は暗く、しんと静まりかえって、笑顔なんてどこにもなかった。


額縁のなかの絵のように収まった雪映と正隆の食卓シーン。光のトーンや空気の違いは、言葉の少ない静かなシーンで感情が動いているのを感じる。第3話、ご飯を用意して正隆を待つ雪映だがついに部屋は真っ暗。それでも、「こどもが生まれてたら過去じゃなくて、これからを見てくれるかもって思ってた。でも私のせいでダメだった」「私は絶対にあなたを見捨てない。この先もずっと」正隆の孤独に寄り添い、二人の食卓のトーンが明るくなった。雪映は懐妊。嬉しさいっぱいで正隆に報告しようとしていたところに…


ピーンポーン。幸せは束の間だった。やってきた萌の目の下には真っ黒なクマ。第1話で正隆に「今、私幸せ」と太陽の光に包まれほほ笑んだ萌とは別人だ。正隆の子供を堕ろしたこともすべてぶちまけ、包丁を持って襲い掛かる。やがて夫婦の前には、人形のように動かなくなった萌と血の海が広がっていた。


1話、約40分。ハードな内容で怒涛の展開が続く『ただ離婚してないだけ』。最初に書いたように大雑把にストーリーを説明すると、正隆のエレベーターシーンや雪映の学校シーンはさほど大きなシーンではないのかもしれない。しかしそんな1シーンにも、視覚的、聴覚的こだわりを感じ、大事な心情が詰まっていると感じる。それが積み重なってドラマ全体の世界観が作られ、そこに棲むキャストの熱演に見入る。続きが観たくなる理由はそんなところにあるのではないだろうか。これでまだ3話。第4話は今夜0:10から放送される。



第4話あらすじ

正隆(北山宏光)に捨てられたショックで雪映(中村ゆり)に包丁で襲いかかった萌(萩原みのり)。もみ合いの末、正隆は萌の腹を包丁で刺してしまう。

どんどん広がっていく大量の血。警察に通報しようとする雪映だったが、萌は絶命。2人は遺体を裏庭に埋める。普段通り過ごすよう雪映に命じた正隆だが、萌の幻を見るようになる。狂っていく夫を見た雪映は「もうついていけない」と言い残し、病院へ向かう…。


■ドラマホリック!「ただ離婚してないだけ」
毎週水曜 深夜0時放送(第4話は深夜0時10分から)
放送局:テレビ東京ほか
配信:動画配信サービス『Paravi』『ひかりTV』にて配信予定
©「ただ離婚してないだけ」製作委員会

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  • dwango.jp news

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