『ナイト・ドクター』第5話 キンプリ岸優太の「チャンスをください」に覗く深澤の「成長と美」

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ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)の5話は、仕事の順序と進め方について考えさせられた。目の前で苦しむ患者を何としても助けたい熱い思いと、医療ミスや手術による死亡や後遺症が残るといったリスク回避を取ることの重要さ。患者の命の危機が迫ったときに、何を優先すべきかの判断は担当する医師による。経験だけではない患者やその家族を思いやる気持ちがなければ、助かった命でさえ肯定できなくなるつらさ、重さがあることを痛感させられた。

■深澤が救命医としていよいよ立ち上がる

 深澤(岸優太/25)は、そもそも救命医らしくない医師だ。救命に使命感を持っている美月(波瑠 /30)や、経験豊富で処置が速くて正確な成瀬(田中圭/36)、スキルを上げたい(岡崎紗絵/25)に比べると、医療行為はサポートに徹しつつ家族への連絡や警察への連絡など事務作業をしている印象がある。もちろん、サポートも事務作業も大事な仕事だ。しかし、このままでいいとは思っていなかったのだろう、未成年の手術に親の同意書がないまま手術を決めて成功させる同僚たちに大きく心が動かされた。ドクターカーの出動要請に、あの深澤が、自分から現場同行を申し出たのだ。

「自分も行かせてください、チャンスをください」

 これは、深澤にとって、とても大きな変化だ。救命に配属された直後は、自分にはついていけないと棒立ちになり、「こんな俺に、ナイト・ドクターなんて勤まるんだろうか」と暗い表情で夜の院内を歩いていた深澤とは別人のようだ。もしかしたら、決断まで少し時間が掛かるタイプなのかもしれない。だけど、アルバイトを掛け持ちしながら医大を卒業したくらいの努力家なのだ、こうと決めたらやり遂げるだろう。自分の立場や病院の規則を守るのは大切なことだ。だけど、命の危険と隣り合わせの一刻を争うギリギリの選択しかない現場にいて、命を守り救うことが出来るのは自分たちしかいないことを自覚して、そのど真ん中にいて感化されないわけがない。強いまなざしや気合の入った表情、こういう深澤が見たかったのだ。

■成瀬の気付きと成長にチームがまとまってきた

 成瀬はかつて、急性硬膜下血腫で緊急搬送されえてきた少年の難しい手術を行った。手術によって命を救うことはできたが半身麻痺の後遺症が残ってしまったことに少年の母親が「約束が違う」と成瀬を訴えていたのだ。医療事故調査委員会からも医療ミスはなかったと証明されたが、家族が納得できないという。成瀬が母親に「必ず助けます」と言い、同意書へのサインを強く勧めたことも尾を引いているようだった。だから、深澤が救急搬送された少年に付き添っていた母親だと名乗る女性に「絶対に助けますから」と言っていたことを見過ごせなかった。「医療に絶対はない」と言った成瀬の表情は固く、そこに一切の言い訳を認めない強さがあった。

 成瀬の強さは、訴訟問題を抱えていても、目の前にいる人を助けたい熱い想いは持ち続けていることだ。未成年の手術には保護者の同意が必要だが、それを待つには時間がなさ過ぎた。本来なら、マニュアルやインフォームドコンセントといった必要な手続きを完了させてから行うことだ。しかしそれを待たずして行ったことで、同じことを訴訟元の母親にもしていたのではないかと気付くことが出来た。成瀬が母親にした説明には、手術を行うという結論ありきで急ぎ進めていたことにあり、思いやりや丁寧な対応をないがしろにしたのではないか。そんな思いで、訴訟になっている手術の概要を分かりやすくまとめた資料を母親に渡し、頭を下げたのだ。長年苦しい思いをさせてしまったことを、苦しく思う成瀬にどうか救いがあってほしいと思った。

 そして成瀬の思いが届いてよかった…、と思うのも束の間。次回予告では美月が倒壊現場で落下したような描写が見られた。何があったのだろう、どうか無事でいてほしい。

(文・青石 爽)

『ナイト・ドクター』は、夜間救急専門の「ナイト・ドクター」として勤務する医師たちを描いたオリジナル脚本。柏桜会あさひ海浜病院は『365日24時間、どんな患者も断らない医療』を目指し、崩壊寸前の救急医療を立て直すべく、新たな働き方として夜間救急専門のチームを設立することになり、救命に情熱を持っている朝倉美月(波留/30)、美月の先輩救命医で現実主義の成瀬暁人(田中圭/36)、元内科医で病気がちな妹を大切に思う深澤新(岸優太/25)、研修医上がりでムードメーカーの桜庭瞬(北村匠海/23)、仕事もプライベートも完璧な高岡幸保(岡崎紗絵/25)、技術も皮肉も一流で指導医の本郷亨(沢村一樹/53)といった、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちが奮闘する青春群像医療ドラマである。

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  • 日刊大衆

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