与沢翼がコロナ禍の難しい相場でも資産を爆増させ続けるワケ

純資産80億円超、世界中に39もの高級不動産を所有という圧倒的資産をたった一人で、しかもわずか数年で築き上げた与沢翼。彼はこれからの株式・仮想通貨相場をどのように見通しているのか? 勝者として生き残る術を聞いた。

◆人生を変える利益を得るには「ファンダ×きっかけ」で徹底分析

 日経平均3万円を下回って推移する横這いが続く難しい相場の中でも与沢翼氏は資産を爆増させていた。

「昨年10月に日本株で損切りが続いたので、11月からは冷静に銘柄を厳選していくと決めた。11月24日頃、コインチェックを傘下に持つマネックスグループを370円前後で20万7000株(約7700万円)を買い、徐々に利益確定しながら800円台までホールド、6000万円以上の利益を得ました。

 ネムの流出問題を起こしたとき、コインチェックは460億円もの金額を補償しました。それだけの額を現金で返すことができたコインチェックの異次元の収益力を思い出し足元の業績を調べたところ、直前四半期の7~9月期(2Q)のセグメント利益が1Qに対して7倍になっていた。

 仮想通貨が投機的に乱高下するほどコインチェックは儲かるビジネスモデルなので、これはとんでもない決算を出すと予想したのです」

◆昔見たニュースや情報を頭の片隅に入れておく

 グループ全体で見ると’19年10~12月期の8億円から、10億円、19億円、21億円と四半期ごとに伸びていた経常利益は、48億円(今年1月発表)、123億円(4月発表)と倍々ゲームで激増している。直近2四半期の驚異的な伸びはコインチェックの販売所モデルの寄与によるもの。

 与沢氏は、この想像を超える収益力と業績推移を見抜いて投資していたというわけだ。

「業績への寄与度、貢献度が大きい“ドライバー”を一つ特定する必要があります。マネックスグループのドライバーはもはやコインチェックにシフトしているので、マネックス≒コインチェックで見ていくほうがいい。

 ビジネスキーファクターを自分の中で読み解くことができれば、その業績予想に張るんです。実際に株価がどれくらい上がるかはわかりませんでしたが、少なくとも業績がいいということがわかっているだけでも、力強く踏み込んでグリップできますよね。

 昔見たニュースや情報を頭の片隅に入れておくことで、将来役立つことがたくさんある。投資とは、そういうことの繰り返しではないかと思います」

◆ネガティブながらも大局観を見失わない

 与沢氏に取材をした5月の時点では、「今の株式市場には3つの懸念材料がある」と話す。

「一つは日本におけるワクチン接種の遅れです。私は、経済を止めるのではなく早くワクチンを接種し国境を開くことが大事で、ワクチン接種がセンターピンだとかねてより言ってきました。その点、ワクチン接種を片っ端から行い隔離なく入国できるドバイの政策に賛同していて、私自身もいち早くワクチンを打っています。

 また、5月に発表された’20年度のGDPは戦後最悪の▲4.6%でした。しかも’21年度1~3月期も年率換算で▲5.1%。景気は去年も直近の足元も悪いという状態になっています。加えて、2か月前になっても五輪が開催するかどうかで不確定な状況。これら日本特有の重みがあり、強くアクセルを踏めないような状態になっています」

 日本株市場はしばらく楽観悲観を繰り返しながらも、ワクチン接種が怒涛の追い上げを開始した後、6月半ばも過ぎれば期待できるようになってくるのではないか、と与沢氏は見ている。

「足元が不安定とは言っても株式市場が終わるわけではなく、相場は大局観で見なければいけません。コロナ禍で消費が控えられたことによって増えたとされる38兆円もの貯蓄マネーがこれから経済や資本市場に流れ込むという大局にならえば、資本主義も日本市場も日本企業の業績も拡大していくと見ています。時代の流れや大勢には逆らわず、引き続き投資は続けたほうがいいと考えています」

◆「ファンダ×きっかけ」の2軸で考える

 では、どんなスタンスで投資に臨むのがいいのか。

「シンプルに『良好なファンダメンタルズ×きっかけ』の2軸で考えることが大切です。いくら株価が動く『きっかけ』があっても、赤字垂れ流しやキャッシュが尽きそうなファンダメンタルズがズタボロの企業では、いつか足元をすくわれてしまいます」

 与沢氏は好業績で、株価が上昇するきっかけや材料を持つ企業を徹底的に研究している。

「良い銘柄はたくさんありますがあえて直近の関心で一例を挙げるとすれば、シリーズ累計3800万部を突破する『SHAMAN KING』初のスマホ向けアプリゲームを年内にリリースすると好材料を発表したクルーズです。

 クルーズは以前は赤字に陥るときもありましたが、最近は低価格帯ブランドファッション通販サイト『SHOPLIST』が収益の柱となり、今年1~3月期は前年同期比で増収・黒字転換しています。

 このように『良好なファンダメンタルズ×きっかけ』という視点で銘柄を探すのです」

◆踏み込む力と握る力が大切

 ほかに「独自性、唯一性」という強みを持つ企業や、「仮想通貨」や「DX」に関する材料に関心を持っているという。そのうえで、「踏み込む力と握る力が大切」と力説する。

「分散投資や日経平均に連動するETFを買う場合、定期・低額で長期的に買い増していって、損切りも利益確定もするべきではありません。目先の時価を気にせず、後年にまとまった資産とするゆとりのある考え方がいい。

 ただし、この方法は長い時間がかかるのは事実です。私自身がこれまでやってきた主な方法はステージを一段変えるような大きめの金額を1銘柄に張ってそのときに勝たなければいけなく、そのためには個別銘柄を厳選しなければいけない。自分なりに徹底的に分析すれば、大きな金額を突っ込み、結果が出るまで握り続けることもできます」

※取材は5月11日と21日に行った。株価などのデータは6月3日時点

<取材・文/SPA!取材班 図版/ミューズグラフィック チャート協力/楽天証券 写真提供/与沢 翼>

―[与沢翼の未来予測]―

【与沢翼】

実業家・投資家。“秒速で1億円稼ぐ男”として知られる。現在はタイ、ドバイ、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど39の高級マンションを所有し、純資産は80億円に達する。YouTubeのメンバーシップ(有料コミュニティ)では月16本(LIVE配信含む)を配信と、ほぼ毎日文章を投稿。著書に『ブチ抜く力』『告白 秒速で転落した真実』など。現在、次期作の出版を執筆中。

ツイッター:@tsubasa_yozawa

YouTube:【公式】与沢翼

2021/7/19 8:52

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