鈴木福、“子役”からの脱皮 これからの覚悟を込めて「肩書きは俳優です」

 0歳から子役として活動し、最近では演技だけでなくバラエティーなどマルチで活躍する現在17歳の鈴木福。“特撮好き”として知られる鈴木だが、仮面ライダーシリーズ生誕50周年・スーパー戦隊45作目となる映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』(7月22日公開)で、物語の鍵を握る謎の少年を演じる。幼少期から夢見ていた世界に実際に入ることができた心境、そして今後の俳優としての覚悟を聞いた。

■念願の特撮映画に出演 完成作品のエンドロールを観て涙

――『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』出演が決まったときの思いはいかがでしたか。

鈴木:大きな記念のタイミングで呼んでいただけて、ビックリしたのと同時に本当にうれしくて。実は仮面ライダー45周年のときに「5年後には50周年だから出たい」と雑誌のインタビューで話していたんですが、それがまさか叶うなんて。3~4歳の頃の自分に「ずっと好きでいたらきっと良いことが待っているよ」と言ってあげたいですね。しかも、プロデューサーの白倉伸一郎さんは僕が仮面ライダーやスーパー戦隊好きだと知っていたそうですが、好きだからではなく、純粋にこの役は僕が良いだろうと思ったからと言ってくださったのもうれしかったです。

――出演してみて印象に残ったことは何ですか。

鈴木:『侍戦隊シンケンジャー』の中でも特にシンケングリーンが大好きだったんですけど、映画では鈴木勝吾さんが「一筆奏上!」をやる場面を間近で見られて、興奮しました(笑)。『仮面ライダーゼロワン』を生で見られたのもうれしかったし、『仮面ライダー電王』のイマジンたちとの共演シーンはなかったけど、僕自身の撮影が終わってから現場に残って、会いに行ったんですよ。現場では初日から「写真撮って良いよ」と言われたので、「ありがとうございます!」と喜んで撮りまくりました(笑)。

――ファンとして見てきたのと、出演する側として現場で見るのとで違いはありましたか?

鈴木:ストップチェンジという技術など、「こうやって作られているんだ」ということがわかって、大変そうですが、面白かったです。それに、アクションシーンもその場で指示出しされて、パパッとできちゃうから、皆さんすごいなぁと。

――完成した作品はご覧になりましたか。

鈴木:はい! 自分が好きだった作品や思い入れの強いキャラクターが1つ1つフィーチャーされるたびに、思い出が蘇ってくるようでした。誰が観ても自分が仮面ライダーやスーパー戦隊を好きで良かったと思える作品になっていると思います。母も観たんですが「自分の子どもが仮面ライダーやスーパー戦隊好きなお父さん・お母さんはみんな感動すると思う」と言っていました。

――1番感動したのはどんなシーンでしたか。

鈴木:僕が個人的に泣けたポイントは3つあって、1つはエンドロールです。感動して泣いちゃったんですよ。自分が大好きな作品の中にいることも不思議でしたし、重要な役をやらせていただいたことも本当にうれしくて。あと2つは、クライマックス戦闘シーンの前と、戦闘後の藤岡弘、さんのセリフ「仮面ライダー、スーパー戦隊は、いつも僕たちのそばにいてくれる、みんなのヒーローである」というところ。50周年45作品続いてきたことを象徴しているセリフだし、永遠に続いてほしいなと思いました。

■溢れる“仮面ライダー・スーパー戦隊”愛 いつかは自分もライダーに!

――放送中のテレビシリーズもご覧になっていますか。

鈴木:もちろん見ています! 『仮面ライダーセイバー』には過去の仮面ライダーがいっぱい出てきて、正義と悪の対立が仮面ライダー同士で起こっている壮大な物語なんですよね。ワンダーワールドと現実世界と2000年前の世界とが交錯する複雑な世界観で。一方、『機界戦隊ゼンカイジャー』は、ワチャワチャしていてツッコミどころ満載、小ネタ満載で、とにかく楽しいです。僕が大好きだった『侍戦隊シンケンジャー』をはじめ、過去の戦隊ヒーローもたくさん出てくるし、歴代のスーパー戦隊の勉強にもなります。

――長年のファンであるだけに、グッズもたくさんお持ちだそうですね。

鈴木:もうそこら中に散らばっています(笑)。最近、引っ越しで整理しているんですが、今回もらったものもめっちゃあるし、さらに増える気がします。実は最近、今回の作品に出演したことで、ちょっとだけ父も母も気が大きくなって、「自分のお金で買う」という条件で、プレミアムバンダイで注文することを許してもらえることが増えたんです(笑)。

――兄弟で戦いごっこもしますか。

鈴木:弟(楽くん・7歳)にはよく戦いごっこしようと言われますが、今は家に帰ると疲れているので、お父さんが相手をしてあげています(笑)。僕が小さい頃は戦いごっこしかしていないくらい、友達ともしたし、一人でも透明人間と戦っていたのでライダーキックは得意なんですよ(笑)。

――小学生のときに「仮面ライダーピザになりたい」とおっしゃっていました。最近、ツイッターでは、考案した変身ベルトも投稿していましたが、やはりご自身がヒーローになるとしたら「ピザ」モチーフが良いですか。

鈴木:ピザをやりたいわけではないですが、当時は当時で面白いこと考えていたなと思います(笑)。僕は、ベルトがカッコよくてバイクに乗って仮面ライダーだったら、何でもやりたいです。仮面ライダーになる準備はずっとしていたので!

■“子役”と“俳優”の境界線 ――これからの覚悟を込めて今の自分は「俳優です」

――今、テレビなどに出るたびに「大人になった」「イケメン化した」という声が多数ある一方、「全然変わらない」という声も多いです。ご自身としてもう子役じゃないと実感したタイミングはいつですか。

鈴木:映画『決算!忠臣蔵』(2019年公開)に出たときですね。4歳のときの『ゴールデンスランバー』、5歳のときの『ちょんまげぷりん』に続いて9年ぶりの中村義洋監督作品だったんですが、監督が僕を褒めてくれたときに「もう子役じゃないんだから」と言ってくださって。そこで、俳優としての自覚が足りなかったことを実感しました。あとは、映画『♯ハンド全力』(2020年公開)で(加藤)清史郎君と共演したとき、清史郎君が「楽しいね」と言いながらお仕事しているのを見て、楽しむことは大事だなと感じたことも大きいです。僕自身、ここ1年ぐらいで改めて本格的にお芝居を学び直しているんです。「鈴木福は俳優か、子役ですか」と聞いたら、今も「子役だ」と言う人もいるかもしれない。でも、これから俳優としてやっていきたいという思いや覚悟も込めて、肩書的には「俳優です」と言っています。

――現在、自分の一番の強みは何だと考えますか? そして17歳の今だからできることややってみたいことはどんなことですか?

鈴木:俳優もバラエティーもコメンテーター的仕事も音楽も、いろいろなことをやらせていただき、学ばせていただいていることが強みなのかと思いますが、本当の強みはきっと視聴者や周りの人たちが評価してくれることが答えだと思います。『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』においては、「仮面ライダー&スーパー戦隊愛」が僕の一番の強みですが(笑)。今は0歳からやってきたさまざまな分野での仕事をスキルアップしたいです。ただ、まだまだ先は長いので、先を見据えて、今できることと今楽しむことを大事にしていきたいですね。ちなみに、最近17歳になったのを機にツイッターも始めたんですが、リプライなどから学んだ言葉は「ツイ廃」です。今は始めたばかりなのでたくさんつぶやいていて、そのうち減るかもしれないですが、僕の性質的に「ツイ廃」の素質は少しあるかもしれません(笑)。(取材・文:田幸和歌子 写真:ヨシダヤスシ)

 映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』は7月22日より全国公開。

2021/7/18 7:00

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