EURO2020決勝・イタリア対イングランドについて知っておきたい7つのこと

 欧州最強国を決める戦いは、いよいよフィナーレを迎える。11日に行われるEURO2020決勝では、イタリア代表とイングランド代表が激突。イタリアは1968年以来2度目の優勝を、イングランドは悲願の初優勝を狙う。

 王者に輝くのはイタリアか、それともイングランドか。ここでは、UEFA(欧州サッカー連盟)の公式データをもとに、知っておきたい7つのトピックを紹介する。

[写真]=Getty Images

■過去成績はイタリアに軍配

 両国は過去27回対戦して、イタリアの10勝9分8敗(※PK戦決着はドローとカウント)。直近8回の対戦でも、イングランドは1度しか勝てておらず、イタリアにとっては相性の良い相手だと言える。EURO本大会でも、イタリアが過去2戦負けなし(1勝1分)。直近の対戦は2012年大会の準々決勝になり、スコアレスドローのまま突入したPK戦でイタリアが4-2の勝利を収めた。さらにワールドカップ本大会でも、イタリアはイングランド相手に負け知らず。イングランドは“天敵”相手に初優勝を狙う。

■無敗街道を突き進むイタリア

 イタリアは無敗記録を更新中だ。現在33試合連続で無敗。決勝トーナメント1回戦・オーストリア戦の勝利(2-1)では、1935年から1939年にかけてヴィットリオ・ポッツォ監督のもとで樹立したイタリア記録(30試合無敗)を塗り替えた。最後に敗れたのは、2018年9月に行われたUEFAネーションリーグのポルトガル戦(0-1)までさかのぼる。なおEURO2020は、予選で10戦全勝を記録し、本大会もここまですべて勝利を手にしている。イングランドを下せば、まさに“完全優勝”となる。

■“聖地”で決勝を戦うイングランド

 相性の問題のみならず、試合間隔も1日少ないイングランド。だが、決勝の舞台は“聖地”『ウェンブリー・スタジアム』だ。公式記録上、イングランドは同スタジアムで開催されたワールドカップとEUROの本大会で一度も負けたことがない。過去16戦して11勝5分という成績を残している。ただ自国開催のEURO1996では、準決勝でドイツと対戦し、PK戦の末に敗れた。最後にPKを失敗したのが、現在監督を務めるガレス・サウスゲート氏だった。だが“準決勝”という壁を乗り越えた指揮官は、「今は素晴らしいチャンスを手にしている」と決勝への意気込みを語る。50歳という大きな節目で優勝監督になることができるだろうか。

■クラブと代表で“欧州王者”

 今回の決勝では、どちらの国が勝っても“欧州2冠”を達成する選手がいる。イタリアではジョルジーニョとエメルソン・パルミエリ、イングランドではベン・チルウェル、リース・ジェームズ、メイソン・マウント――彼らは所属するチェルシーで2020-21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)優勝を果たした。今回の決勝を制することができれば、同一年にEUROとCLの“ダブル”を成し遂げる。同じ偉業を達成したのは、クリスティアーノ・ロナウド(2016年にレアル・マドリードでCL優勝、ポルトガル代表でEURO優勝)など9人だけ。サッカー史にその名を刻むのは、どちらの国の選手たちだろうか。

■ケインの得点王は?

 優勝を争う大一番であると同時に、イングランドのハリー・ケインにとっては大会得点王のタイトルがかかったゲームになる。ケインはここまで4得点を記録。トップで並ぶチェコ代表のパトリック・シックとポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドの5得点まで、あと1ゴールに迫っている。2018年のロシア・ワールドカップで得点王に輝いたときは全6得点をグループステージで挙げ、決勝トーナメントは無得点に終わったが、今大会は逆パターン。グループステージでは無得点に終わったが、決勝トーナメントに入ってから3試合連続でネットを揺らし、“エース”の名に恥じない活躍を見せている。なお、ケインはワールドカップとEUROの本大会で通算10ゴールを記録しており、これは元代表FWギャリー・リネカーと並ぶイングランドの最多記録。今回の決勝で、得点王と記録更新を狙う。

■名審判がジャッジ

 今回の決勝で主審を務めるのは、オランダ人のビョルン・カイパース氏だ。2006年に32歳の若さでFIFA国際主審に任命され、UEFA主催大会の決勝で主審を務めるのは今回で7度目。EURO決勝を担当する初のオランダ人主審となる。2017年には、U-20ワールドカップ決勝で主審を担当。ベネズエラ代表を1-0で下して世界王者に輝いたのがイングランドだった。これを皮切りに、イングランドでは新世代が次々に台頭し、A代表での好結果につながっている。彼らにとっては縁起の良いレフェリーであり、今回の決勝でもイングランドに新たな時代を告げるホイッスルを吹くことになるかもしれない。

■予想オッズは?

 日本時間9日15時現在、英国大手ブックメーカーの『ウィリアム・ヒル』はイタリアの優勝に「2倍」、イングランドの優勝に「1.83倍」のオッズをつけている。無敗街道を突き進むイタリアだが、ホームアドバンテージを持つイングランドがやや優勢という予想だ。とはいえ、物事がうまくいかなければ、本拠地のサポーターは重圧になりかねない。“初優勝”というプレッシャーも選手たちは感じるだろう。一方のイタリアもEURO決勝を戦うのは今回で4度目ながら、優勝したのは自国開催だった1968年大会の1度のみ。2000年大会はフランス代表に、2012年大会はスペイン代表に決勝で苦杯をなめた。53年分の思いを胸にウェンブリーのピッチに立つ。

 個のタレント、モダンなスタイル、そしてチームとしての結束力――すべてにおいてヨーロッパ屈指のレベルを誇る両国のファイナルは、夏の祭典のフィナーレを飾るにふさわしいものになるだろう。好ゲーム必至の決勝を見逃す手はない。

(記事/Footmedia)

2021/7/10 22:07

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