道路、駅の構内、空港…日常生活で幅広く活用されている「センシング技術」とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月10日(土)の放送は、パナソニック システムソリューションズジャパン株式会社 執行役員の新妻孝文(にいつま・たかふみ)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)笹川友里、新妻孝文さん

◆センシング技術とは?

新妻さんは、ソフトウェアのエンジニアとして研究開発部門や大学とともに開発に取り組むなど、長年センシング分野に身を置き、重要施設向け屋外広域侵入検知ソリューションなど、社会インフラを支えるさまざまなAI画像認識ソリューションの開発導入プロジェクトを担当。そして2020年からは、パブリックシステム事業本部 システム開発本部 スマートセンシング事業センター長をつとめています。

そもそも“センシング技術”について、新妻さんは「一般的には人間の五感の代わりになる技術ですね。目や鼻、耳などの役割を担うのがセンサーで、情報を検知し、意味ある情報として認識をしてそれをフィードバックする、という一連の技術をセンシング技術と呼んでいます」。

例えば、画像センサーは、カメラで撮影した情報をデータ化します。しかし、映像データだけでは、そこに映っているものがなにかはわかりません。その映像データから“侵入してきたものがなんなのか”など、知りたい情報を認識するための装置が別に必要で、人間は、その役割を脳が担っています。

最近では、「クラウド上で映像データを取り込んで(情報を)認識するようなものもあれば、人が“いるorいない”などを判断できるAIカメラも世の中に出てきており、いろいろなバリエーションや使われ方も多様化してきている」と説明します。

また、センシング技術はセキュリティ対策としての用途だけでなく「当社の工場でも使っているんですけど、工場内で働いている人の動きをカメラで捉え、作業の仕方や作業時間などをデータ化して蓄積していくことで、その人がどのぐらいの時間をかけて作業をしているのかを分析することができる。それによって、作業効率の悪い部分を見つけることができるので、効率改善に活かせる」とメリットを紹介。

それを聞いた笹川は、「いろいろな業界やビジネスで重宝されそうな技術ですね。働いている人にとっても、無駄な作業を減らすことで(結果的に)自分が楽できるし、会社としても無駄が省けて業績があがるかもしれない。世の中の無駄をなくすための技術という側面もあるんですね!」と感嘆の声を上げます。

◆私たちの生活の安全・安心をサポート

新妻さんはこれまで、センシング分野のなかでもセキュリティ用途に関するプロジェクトに多く携わってきました。「Panasonic(パナソニック)」と聞くと、家電をイメージしがちですが、「セキュリティカメラの事業も昔から取り組んでいて、現在も高いシェアを誇っている」と言います。

ただ、セキュリティカメラが普及していくことに比例して、監視する人の負担が増加。新妻さんは、そうした課題とも向き合い「ソリューション(課題解決)として、(映像データから)見つけたいもの、危険なものを自動的に見つけて通知してあげることで、監視者や監視運用者の負担を軽減させる技術開発を進めてきた。公共分野、社会インフラの維持管理に使われるようなソリューションに多く携わってきた」と胸を張ります。

例えば、道路で言うと、交通量を計測するシステムや、高速道路でカメラが自動で(“停止している車がある”などの)危険を察知し、監視運用者に通知するようなシステムを開発。そのほか、駅の構内では、カメラが捉えた映像から混雑状況を検知したり、ホームから転落しそうな人を見つけたりと、「駅構内での安全管理のサポートをしていますし、それが鉄道の安全運行にも役立っていると思う」と話します。

さらに、空港の出入国ゲートでは顔認識技術が活用されているなど、私たちの日常生活において、さまざまな形でセンシング技術が活躍しています。

◆センシング技術によって描かれる未来

日々、進化を遂げているセンシング技術。とりわけ自動運転に関するセンサー・デバイスやセンシング技術は「急速に進化している」と言います。また、人やモノ、空間や感情のセンシング技術も進化を遂げていると言い、「それらのデータから可能な将来の予測など、技術やニーズの裾野がどんどん広がってきている」と実感を語ります。

現在、新妻さんは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の支援や技術開発に注力しており、「人の作業、モノの状態、状況などをしっかりとデータ化し、現場で働く人の作業を支援していく。そうすることで、作業の最適化につながりますし、将来的には自動化にもつながっていくのではないか」と予見します。

新妻さんによると、センシング技術は数年前までは社会インフラなど限られた領域で活用されていましたが、「ここ数年の技術の進化や(それによる)価格の低下、また、さまざまなシチュエーションでニーズが広がってきている。

そのなかでも、人とモノの動きや状況を把握する技術はどんどん進化して、これからも伸びていく。物流や流通の業界、倉庫管理や製造業のなかでもどんどん加速していく」と言います。

最後に、今後の展望については「センシング技術だけで新しい未来が作れるかと言うと、そうではない。そのほかの多くのテクノロジー、例えば5G(第5世代移動通信システム)のような通信技術や、クラウド、データ分析予測などの技術と組み合わせる、ドローンやロボット技術などと融合することによって、フィジカル空間とサイバー空間の情報が自由に行き来できるような社会になると、より安全・安心で人間らしい、自由な社会生活が実現できるのではないでしょうか」と話していました。

次回7月17日(土)の放送は、パナソニック システムソリューションズジャパン株式会社 公式エバンジェリストの古田邦夫(ふるた・くにお)さんが登場。「顔認証技術」の活用により見えてくる未来の話などが聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年7月18日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:DIGITAL VORN Future Pix

放送日時:毎週土曜 20:00~20:30

パーソナリティ:笹川友里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

2021/7/10 20:30

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