声優アイドルユニットi☆Risの”ライバル”から”夫婦”へ変わった9年間
7月7日で結成から9周年を迎えた、声優とアイドルのハイブリッドユニット・i☆Ris。9周年、そして節目となる10年目を走り始める彼女たちの想いとは――。インタビュー後半では、それぞれの胸中に迫るソロインタビューも敢行した。
◆記憶に蓋をされた幻のメンバー全員による会合
――9周年おめでとうございます! 9年間と言う長い時間をともにしてきた皆さんですが、メンバーのみで集まったことがないと小耳に挟みました……
芹澤:1回もないよね?
若井:ないない。メンバー同士、2人で出かけることはちょこちょこあるけど、急に5人だけで集まるって言われたら、「何事!?」って思っちゃう。
久保田:え、1回だけあるじゃん。
茜屋日:ほんとに? え、全然覚えてない。
久保田:武道館(「i☆Ris 4th Anniversary Live ~418~」)のちょっと前くらい。私もよくわからないまま呼ばれて行って、よくわからないまま終わって。内容も覚えてないけど、きゃっきゃする感じじゃなかった印象。
――幻の会が存在していたんですね。
山北:そうなんです。みゆたん、さすが! じつは1回だけあるのよ、みんな覚えてない? セカンドツアー(「i☆Ris 2nd Live Tour 2016」)のあと、1回ケンカしたことがあって、このままいくとi☆Risが崩壊しそうだなって思ったから「ちょっと1回みんなで話そうぜ」って全員で居酒屋に行ったことがありました。みんな、記憶に蓋をしてるのかしら。
◆夫婦になって、嫌なところも乗り越えた先のような関係
久保田:そんな感じだったっけ。こういう話をすると、すぐに不仲って話にされたり、“不仲営業”っていわれたりするから説明が難しいけど、ここ数年は家族よりも会う回数も多いし、例えるなら、結婚して長い熟年夫婦みたいなものかな? 結婚したことないけどね(笑)。
若井:わかる! 最近、さきさま(山北早紀)が似たようなこと言ってた。「i☆Risって、結婚して、夫婦になって、嫌なところも乗り越えた先の関係みたいな感じ」って。
山北:うんうん。最近5人体制になったことで、今までなあなあにしてた部分を改めて話し合ったり、より話しやすくなったりしてるよね。
芹澤:たしかに、楽屋でも前よりはみんなで話すことが増えたかも。5人になった4月以降、連載やツアー、シングルのリリースが重なって、グループみんなでの仕事が多いのも影響がありそう。
茜屋:みんなが集まった楽屋で他愛のない話もするしね。前は澁谷(梓希)がよく話題を持ってきてくれてたけど、最近はさきさまがわりとよく話しかけてくれる感じで、またバランスも変わってきた気がする。
◆もし、今メンバーだけで集まるとしたら……
――では、もし9周年のタイミングでメンバーだけで集まるとしたら、どんな場所でやりたいですか?
久保田:私は小料理屋と居酒屋の間みたいなお店がいいな〜。焼き鳥が食べたい!
若井:あ、私も焼き鳥食べたいな。
芹澤:でも、とりあえず個室がいいよね。i☆Risちゃんって、オフショット動画の撮影でも品のない、使えないことばっかり話しちゃうから(笑)。
若井:それは間違いない(笑)。
茜屋:私はお酒が飲めれば、食べ物にはそんなにこだわらないかな。
若井:ひみがそんなこと言うようになったか…。大人になったね〜。
山北:私はエイベックスのスタッフが知ってそうな、キラキラでイケイケなお店を貸切でやりたい! 食べたいのはピッツァかな。ハチミツをたっぷりかけたクワトロフォルマッジ。
昔、あんまりお金がなかったころ、レッスンスタジオの近くのピザ屋さんに友希ちゃんとよく一緒に行ったよね。安くておいしいお店で、よく食べたクワトロフォルマッジ、思い出の味。
若井:懐かしい…。でも、食べ物の趣味がみんな違うから、そこを考えるとバイキングがちょうどいいのかも。
◆急に5人で集まるのは、重大ニュースがあるのかって身構える
茜屋:もしくは、会社の会議室とか。結局、若干仕事っぽい感じにしないと、改めて集まる想像ができない(笑)。強いていうなら、趣味はバラバラだけど今は全員が『モンスターハンターライズ』にハマってるから、それをやるのは楽しいかも。まだメンバーだけでやったことないよね。
久保田:4人対戦だから、1人余るやん(笑)。
若井:そこは交代しながらやればいいじゃん(笑)。ただ、5人で集まるって急に言われたら、重大ニュースがあるのかって身構えるよね。個人的には、将来、家族や子どもを連れてみんなで集まれたら楽しそうだなって思う。
山北:それは楽しそうだけど、当面はまだまだi☆Risとしての活動を頑張っていくので、みんな、これからもよろしくね(笑)!
ここからは、メンバーそれぞれのソロインタビューで9周年にかける思いを語ってもらった。
◆お仕事もしてるけど、心の半分は学生だった
――9年間を振り返って、早かったと感じますか?
数字として考えると長いけど、実感としてはそうでもないですね。i☆Risが始まったときは高3で、大学も4年間通いながらの活動だったから、9年間の半分は学生だったので。お仕事もしてるけど、心の半分は学生だったからふわふわした感じもありました。
――『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』で演じている役と同じ状況ですね。
たしかに。学生と声優アイドルを両方やってきて、仕事だけってなってからは4年目だから、本当は9年やってきたはずなのに、気持ちのうえではまだ4年目って感じです。
――普通の大学生に比べると、かなり忙しかったと思いますが(笑)。
そうかも。バイトにしてはちょっと忙しかったかな〜(笑)。
◆しんどいって思う暇もないくらい精一杯だった
――7月7日にMV集「i☆Ris Music Video Collection 2012-2020」が発売されましたが、この9年間での変化を感じますか?
最近、別の企画でMVを見たんですよ。i☆Risに入るまでは普通の女子高生……工業高校だったからちょっと特殊だったけど、普通のオタクな高校生だったので、歌もダンスも初心者でした。歌もダンスも慣れてなさすぎて、初々しさがあって。しんどいって気持ちを抱く暇もないくらい精一杯だったな〜って思い出しました。
昔のMVやジャケット写真を見ると、“うわ〜頑張ってるな”って感じます。今なら、こういう場面だからこういう表情にしようって自然にできるから、9年もやってるとさすがに余裕もできてくるのかな。
最近、後輩と仕事をすることが増えてきて、スタッフさんたちから「i☆Risは慣れがあるよね」ってすごいよく言われるんですよ。普通に声優の活動だけをしていたら考えられないくらい、たくさんのライブやイベントをやってきたから。
どのお仕事でも、回数を重ねることがいちばん勉強になりますよね。そこを死ぬほどやってきたので、ライブでの振る舞いには慣れてきたなって、自分でも感じます。
――ライブ経験は声優としての表現力にも活かされるのでしょうか。
つながってると思います。特に私は声優としてアイドルの役を演じることも多くて、役としてステージに立ってパフォーマンスすることも多いので。声優として役になりきる部分と、アイドルとして堂々とパフォーマンスする部分が、うまいこと融合して、今までの経験が活かされている気がします。
◆9年間ずっと4人の背中を見て追い続けてる
――では、応援してくれるファンへのメッセージをお願いします。
もともとアイドルを志してこの業界に入ったわけではなかったけど、ステージに立ってみたらファンのみなさんが見てくれて、ライブって楽しいって思ったんです。みなさんがそう思わせてくれたから、9年間もアイドルを楽しく続けてこれました。
そんなみなさんに感謝の気持ちを伝えつつ、まだまだ続けていきたいので、引き続き見守ってくれたらうれしいです。
私たちのライブは、会場に見に来てもらうのがいちばん楽しいし、すごいって思ってもらえるはずなので、ぜひ遊びに来てください。そして、10年目も走り続けるi☆Risちゃんに注目していただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
――最後に、普段はなかなか言う機会がない、メンバーに対してのメッセージをお願いします。
最近、いろいろな現場に行くことで改めて“i☆Risの歌とパフォーマンスってすごいな”って思うんです。初期の、自分はなにもできないのにみんなは上手だった……って記憶が鮮明に残っていて、私も成長してきたけど、みんなもどんどん成長してる。私のなかでは、9年間ずっと4人の背中を見て追い続けてるイメージなんです。
これからも私の前を走り続けて、私のモチベーションを一生上げ続けてくれたらうれしいので、引き続きよろしくお願いします!
【久保田未夢プロフィール】
くぼたみゆ●95年、埼玉県生まれ。工業高校出身でフォークリフトとアーク溶接の免許を持つ。人気シリーズ『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』にも声優として出演しているほか、大好きなお肉に関する番組「久保田未夢のNice to MEAT you & YOU」(ニコ生)にも出演中。メンバーからの他己紹介は「アニメオタク!」(山北)「ファンをキュンキュン虜にするのが上手」(若井)「誰よりも弾けることもあるオンとまったくしゃべらないオフの違いが激しい」(芹澤)「意外なタイミングで冷静なひとことをくれるしっかり者な部分も」(茜屋)
◆性格が丸くなった……というか、普通になりました
――7月7日にMV集が発売されましたが、過去のMVを見返すことはありましたか?
友だちと集まったとき、イジられる感じで再生されたことは何度かありました。「やめてよ〜」みたいな(笑)。自分では絶対に見ないです。顔もだいぶ違いますから(笑)。
――そう感じるのは、見た目もスキルもどんどん良い方向に変化してきたということもあるわけですが、この9年間で自分が一番変わったと思うポイントを教えてください。
性格が丸くなった……というか、普通になりました。過去が尖りすぎてたって感じ。それこそ、i☆Risのメンバーがほぼ初対面の時期に「え、なんでゆうがセンターじゃないの? ゆうがセンターがいい」って口に出してましたし。
他のメンバーの気持ちを考えてないからそんなことが言えたんですよ。のちのち「最初のころはヤバかったよ」って言われて。まあ、そうだよなって思います(笑)。
――そういう強い気持ちを持っていたからこそ、続けてこられたという側面もありそうです。
それはありますね。強気だったけど、そのぶん頑張っていたと思います。
◆このチームに貢献しなきゃって強く思った
――性格が丸くなったのは、いつごろからですか?
これといったきっかけはなくて、じわじわとですね。昔から年頃の女の子が集まってもいいことなんてあるわけないじゃんって思ってたので。当初、“私は協調性、ないですよ”って公言してたくらい。
それでも、「お前はチームの1人だぞ」って言われ続けて、少しずつ、私はチームの1人なのか……ってじわじわと。
武道館でさきさまが「ゆうちゃん、i☆Risにいてくれてありがとう」って言ってくれたのは大きかったかな。こ〜んなに嫌なことばっかり言ってきて、こ〜んなに迷惑かけてきたのに、そんなことを言ってくれるのかと。このとき、心のなかで、このチームに貢献しなきゃいけないって強く思ったのを覚えてます。
ある時期から、みんなの夢が違うってわかったのもきっかけの1つです。みんなそれぞれやりたいことが違うから、メンバーがライバルじゃなくなったんです。
6年目くらいかな、スタッフもガラッと変わったタイミングで、改めてみんなが自分のやりたいことを口に出すようになって。最初のころは、みんな自分がやりたいことも定まってなかったと思うんです。さきさまもある時期から「自分はアイドルがやりたいって気持ちを貫く」って言うようになったし。
◆野心と目標を持って、さらに尖っていきたい
――ちなみに、まだ尖っている部分も残っていますか?
あります! ここからさらに尖っていきたいと思います。今はあのころみたいに嫌な感じにはならずに尖っていけるはずだから。人に対して嫌な言葉を出すのではなくて、しっかりと野心を抱いて、その目標に向かっていくという意味での尖りを出していきたいです。
――グループとしての9年間を振り返って感じることは?
9年続けてきたことで、i☆Risという存在が先駆者になれたのかなって気がします。
最初は、アイドルと声優……? どういうこと……? って感じだったけど、今ではアイドルのような活動をする声優がすごく増えましたよね。そのなかでも、その部分を強く貫いてきたのが私たちだと思う。理解されずらい存在だったところから、これがi☆Risなんだって言えるところまで切り開いた感覚があります。i☆Risがナンバーワン!
――時代が追いついてきたわけですね。
そうなのかな(笑)? そうだとしたら、妥協せずにやり続けたおかげだと思います。もちろん、応援してくれるみなさんが支えてくれて成り立っているのは大前提です!
◆“華麗なるi☆Ris道”を一緒に歩んでください
――ここまで応援してくれているファンへ、メッセージを。
ここまできたら、最後まで見届けてほしいです! まだまだみなさんを飽きさせることなく、むしろここからだぞって気持ちで突き進む“華麗なるi☆Ris道”を一緒に歩んでください。
――メンバーがそれぞれのフィールドで輝くことで、i☆Risとして集結したときのオールスター感が増していく。それが“華麗なるi☆Ris道”なのでしょうか。
そう、それ! そういう感じで言ったふうに書いておいてください(笑)。
――最後に、メンバーに向けてひとことお願いします。
仲良くしてくれて、ありがとう! 今後とも、よろしくお願いします。セリコイズナンバーワン!
【芹澤優プロフィール】
せりざわゆう●94年、東京都生まれ。ソロアーティストとしても活躍し、5月19日に「芹澤優 with DJ KOO & MOTSU」名義でTVアニメ「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω」OP&EDダブルタイアップシングル「EVERYBODY! EVERYBODY!/YOU YOU YOU」をリリース。メンバーからの他己紹介は「最近、大人の女性になって余裕が出てきた」(茜屋)「裏ではすごく悩んで頑張ってるけど、それを表に全く出さない」(若井)「自分がかわいいってキャラだけど、慣れてなくて、素直に褒められるとえ…って受け身が取れない感じがかわいい」(久保田)「仕事に命をかけてるタイプ。セリコイズナンバーワンって言葉は伊達じゃないし、それで奮い立たせてるのかなって感じた時期も」(山北)
◆デビュー初期のMVはYouTubeも非公開にしてほしい
――MV集が発売され、企画で見返したそうですが、そういう機会でもないと見ることはなかったですか?
絶対に見たくないですね。できたらYouTubeも非公開にしてほしいくらい(笑)。なんでこんなのを世に出してしまったのかって思うけど、当時良いと思ってくれた人もいるはずだから、一概に否定はできないですね。
――9年間で自分は変わったと思いますか?
当初は事務所から髪型を黒髪ボブって指定されてたので、髪型を変えたタイミングから見た目が大きく変わったけど、中身に関しては芯の部分は変わってないはず。
強いていうなら、アニメでの主演やライブのMCを経験したことで、周りから「トークを任せられる」って言われるようになりました。
◆私を含めみんな「負けられない!」ってツンとしていた
――ではグループについて、9年間での変化を感じますか?
最近、みんな大人の女性になったな〜って感じます。同世代、同時期にスタートして、ずっと見てきたけど、プライベートの話をあまりしないから、いつのまにそんなに女子力が上がったのかって思います。。
コロナ禍で会えなかった時期もあるし、私が舞台に出てると長期間会えないこともあったので、久しぶりに撮影とかで会うとその間にぐっと印象が変わってたりするから。
――他のメンバーは、口裏を合わせたかのように「みんな丸くなった」と言っています。
それは確かにありますね。ソロでやりたい子が集まってたから、私を含めみんな「負けられない!」ってツンとしてました。みんな角が取れた感じはありますね。
◆昔はみんなお互いがライバルで、誰が仕事を取るか、超臨戦態勢だった
――いつごろから変わったと思いますか?
武道館が終わって、さらにもう少しあとかな。2~3年くらい前。個人の仕事で映画や舞台で役に入ってる期間はぴりぴりしちゃうこともあるんですけど、そういう時期にメンバーと一緒になっても、なにも言わずに察してくれて、みんな優しいな……って染みたタイミングがあって。
5人体制になってからも、なんとなく、誰からともなく、5人で話す時間も増えた気がします。4月以降、グループでの仕事が増えたからかもしれないけど、いろんな意味でまるくなった気がする。みんな中身が大人になった感じ。
昔はみんなお互いがライバルで、誰が仕事を取るか、超臨戦態勢だったから(笑)。
――今はそれぞれ違うフィールドで戦っているわけですね。いうなれば、同じ学校だけど違う種目で全国大会を狙っているような感じで。
それですね。みんな、それぞれ違うライバルがいたり、自分と戦ったりしてるのかな。それぞれのフィールドで戦って、これからは、それぞれが持ち帰ったものが、i☆Risに還元されていくんだと思います。
◆i☆Risには一人ひとりが積み重ねてきた9年がぎゅっと詰まってる
――9年を振り返ってみて、早かったと感じますか?
仕事のジャンルにもよるんですけど、i☆Risとしては早かったかも。最初は1人でやりたいと思ってたし、団体行動が苦手だから、すぐ辞めちゃうかもしれないって思ってたら、あっという間に9年も経ってました(笑)。
みんなが丸くなったっていう変化も含めて、一緒にいすぎて見えてなかったけど、こうやってインタビューしてもらって改めて気づくことが多いです。きっとみんなそれぞれの変化があって、i☆Risには一人ひとりが積み重ねてきた9年がぎゅっと詰まってるんだと思います。
◆やりたいことを突き詰めながら、お互いに切磋琢磨できたらいいな
――ここ1~2年はコロナ禍でライブ環境も大きく変わり、新体制でのライブができるのか不透明な時期もありました。(※「i☆Ris 6th Live Tour 2021 ~Carnival~」の一部公演が開催延期となった)
ファンのみなさんもライブ中は声を出せない状況で、なにもかも今までどおりにできない。どんな空気になるのかすごく不安でした。でもやってみたら、声が出せなくても手拍子でレスポンスしてくれて、意外とコミュニケーションができるし、マスク越しでも表情がわかるから、レスポンスがあることがすごくありがたいって改めて感じましたね。
私たちも想いを届けたいって思うし、みなさんからもそれを返したいって気持ちが伝わってきて、本当にありがたいし、早くコロナ明けろー!って気持ちでいっぱいです。
――最後に、メンバーに対してコメントをお願いします。
みんな、大人になったね。そして、さきさまに関しては、ずっとお若いですね(笑)。みんな美意識が高くて、素敵です。これからも、それぞれのやりたいことを突き詰めながら、お互いに切磋琢磨できたらいいなと思います。
【茜屋日海夏プロフィール】
あかねやひみか●94年、秋田県生まれ。舞台や映画で芝居の仕事もこなしつつ、YouTuberとして『ひみちゃんねる』も運営。常に筋トレを欠かさない体育会系でスニーカーとスーパー戦隊シリーズが大好き。メンバーからの他己紹介は「ストイック。仕事への熱量が凄まじく、寝ずに頑張ってることも」(若井)「勉強も運動も遊びも頑張るクラスの人気者タイプ、グループでいちばん陽キャ」(山北)「誰とでも仲良くなれる。コミュ力が高い」(久保田)「YouTuberのイメージもついてきて、ずっと更新し続けててえらい!」(芹澤)
◆少しずつ、大人の女性になろうって意識を変えてきた
――MV集が発売されましたが、過去、自分で見返したことはありますか?
まったくないです。本当に見たくない(笑)。今よりはいもっぽいし、それ込みで良い作品だとは思うけど、恥ずかしくて見れないですね。
――9年で大きな変化があったわけですね。
私、メンバーの中でもめっちゃ変わったほうだと思います。最年少で妹キャラ扱いされてきたから、子どもっぽいキャラを押し出したほうがいいかなと思ってやってたけど、23歳のころ、そろそろきついなって思ったんですよね。
少しずつ、大人の女性になろうって意識を変えて、服装や髪型を変えたあたりから、「可愛くなったね」って褒められることが増えました。
◆ぶつかって、お互いの嫌な部分も全部受け入れてきた
――中身の変化はありましたか?
昔は頭が固かったというか、ピュアすぎましたね。ふわふわ地に足ついてなかったというか、もうちょっと世間を知ったほうがいいって感じ(笑)。もし昔の自分と話せるなら、言葉にするのは難しいけど、したたかになったほうがいいよって言いたいです。
――グループ全体についてはどうですか?
やっとここまでこれたなって感じます。デビュー当初を振り返ってみると、辛かった気がする。赤の他人が急に集まったらお互いに探り探りになるし、ぶつかったし。そこを乗り越えて、もはやお互いの嫌な部分も全部受け入れて、なんでも大丈夫な状態になりました。
あと、後輩も増えて、「変に貫禄が出たね」っていろいろな現場で言われるようになりました。フレッシュな気持ちでやってきたので、貫禄、出ちゃったか〜って思いますね(笑)。もう新人じゃないぞってことで、けっこうプレッシャーを感じてます。
◆“声優アイドルの鑑”っていわれる立場になりたい
――どんな現場でそう言われるんですか?
アニサマ(世界最大のアニソンフェス「Animelo Summer Live」)を含めフェスでは、最初のころは立ち位置が端っこでガヤみたいなポジションだったのが、最近はだんだん真ん中のほうになってきて。
初めて出演するアーティストさんなどがいると、自分たちはしっかりパフォーマンスの良さで勝負していかないといけないってプレッシャーを感じます。どんどん時間が過ぎていくから、もっと知名度を上げて、頑張っていかなきゃって思いますね。
――アニソンシンガー、声優の業界はキャリアが長い大先輩も多いので、先が長いですよね。
長く活躍されてる先輩が多いけど、下の世代もどんどん出てきてるから、生き残るうえでは大事な時期だと思います。
最近はアイドルとアニソン、声優のハイブリッドのグループが増えてきたけど、私たちが先駆けだったからこそ、先駆者としてい続けたい。“声優アイドルの鑑”っていわれる立場になりたいって思います。
――例えば10年後もキレキレに踊ってたら、めちゃくちゃカッコいいと思います!
10年後!? 確かにそれができたら“声優アイドルの鑑”になれるかも(笑)。そこに向けて、今年は良い10年目にしたいですね。5人体制になって初のシングルもリリース予定で、改めてフレッシュな気持ちに戻ったので、初心忘るべからずで頑張ります。「貫禄出た」って言われますけど、メンバーみんな「まだまだです」って思ってるはず、きっと。
◆居心地が良いって、いちばん大事
――では、応援してくれるファンに向けてメッセージをお願いします。
最近スタッフさんから聞いたんですけど、i☆Risファンのデータを調べたら、昔からずっと応援してくれて、一緒に年をとってる人たちが多いみたいなんです。いろいろと楽しいことがあるのに、ずっと応援してくれるって本当にすごいことだと思います。すごく感謝してるし、今まで応援してくれた人たちの期待を良い意味で裏切るように、新しいi☆Risを見せられるように、日々活動していきます。
――最後に、メンバーへのコメントをお願いします。
私たちって「不仲営業」って言葉を使いがちなんですけど、i☆Risはいつも本当に居心地が良いので、ありがとうって伝えたいです。居心地が良いって、いちばん大事じゃないですか。仕事に行きたくないとか、あのメンバーと一緒の仕事は嫌だって、1回も思ったことがないから。そういう現場を9年間作ってこられたみんなに拍手したい気持ちです。
【若井友希プロフィール】
わかいゆうき●95年、岐阜県生まれ。加入前にストリートライブ経験があり特技はピアノ弾き語り。ライブでもピアノ演奏を披露するほか、グループ楽曲の作詞作曲やアーティストへの楽曲提供も手掛ける。「若井友希のアニラジステーションやお!」(ぎふチャンラジオ)ほかに出演中。メンバーからの他己紹介は「根が真面目」(山北)「素晴らしい歌唱力。ゆうきちゃんがいると歌が安定する」(芹澤)「i☆Risのマスコットキャラ。みんなに愛され、かわいがられるムードメーカー」(茜屋)「ダンスが元気でキレキレだったけど、最近大人になって抑え気味になってきてさみしい(笑)」(久保田)
◆最初はいい子ちゃんぶってたけど、蓋が取れた
――これまで、MV集を見返したことはありますか?
絶対に見ないです。関連動画として出てきても、絶対に見ない。だって、垢抜けてないんですもの……。
――では9年間で垢抜けたり、内面もどんどん変わってきたということですね。
う〜ん、内面に関しては変わってなくて、むしろ最初にかぶっていたものを全部はぎとったって感じです。
――なるほど、久保田さんが「ある時期から、さきさまがめっちゃおもしろくなった」と言っていたのですが、それがかぶっていたものがなくなった時期だったのでしょうか。
そうかも。最初は自分だけ20代で、リーダーとしてちゃんとしなきゃって思ってたけど、本当は末っ子キャラで、うわ〜!!ってやりたい気持ちに蓋をしてたんです。いい子ちゃんぶって、“スタッフさんの言うことは絶対!!”ってスタンスでした。
でもメンバーみんながいい感じに大人になってきて、グループとしての立ち位置もある程度確立されて、スタッフさんがガラッと入れ替わったタイミングで、蓋を取れたんだと思います。蓋をしてたんだってこと、今になって気づきました。
◆昔はバチバチしてたけど、今はそれぞれが輝いてる
――蓋を取れたことで、伸び伸びできるようになって、久保田さんの発言につながっていくと。
そうそう。みゆたん、そんなことを言ってくれてたとは。アイドルを2〜3年で辞めるならキャラを作ってもいいだろうけど、ずっと続けていくならしんどくなっちゃうと思うんです。オタクのみなさんも、蓋をしてない私のほうが、きっと見てて楽しんでくれてると思うので。
――この9年間を振り返って、グループの変化を感じますか?
みんな可愛くなったな〜って思います。あと、みんな気持ちが落ち着いた。もともと、グループアイドルのオーディションで集まったわけじゃないから、私以外みんなバチバチで、こわくて、こわくて、耐えられない〜って時期がありました。最近は、それぞれが輝いて、認めあってる感じなので、すごくやりやすいです。
◆どこでも一番にならなきゃって気持ちがあった
――いつごろから、それぞれの道を進むようになったんですか?
武道館が終わって、しばらくしてからですね。みんなが20代半ばになったころかな。20代の後半になると、自然と自分のやりたいことも決まってくると思うんです。デビュー当時はなにがハマるかわからないから、声優もアイドルもなんでも全力でやるって魂でやってきて、どこでも一番にならなきゃって気持ちがあったから。
その時期があったからこその今があるので、みんながバチバチだった時期も、あってよかったのかなと思いますね。
◆今がいちばん魅力的で、今がいちばんステキ
――では最後に、ファンに向けての言葉をお願いします。
営業トークではなく、本当に大好きです。オタクのみんながいなくなったら、私はアイドルを辞めるので、みんな、絶対にやめないでね! そして、今から新規で応援してくれても、ぜんぜんいいんだからね? 30歳のフレッシュアイドルなので、今からでもぜひ推してください。今なら、新体制の最古参になるチャンスです!
――メンバーに対してもひとことおねがいします。
まず、みんなここまで続けてくれてありがとう。そして、今がいちばん魅力的だと思います。今がいちばんステキなi☆Risを常に更新していくためにも、みんな、一緒に続けていこうね。
【山北早紀プロフィール】
やまきたさき●91年、北海道生まれ。リーダー。特技はバトントワリング、美容オタクで化粧品検定1級を持つ。日々頑張るための活力はストロングゼロパイン。最近は『モンスターハンターライズ』に熱中している。メンバーからの他己紹介は「i☆Risのおもしろ担当兼自由なリーダー。さきさまがリーダーで本当に良かった」(若井)「奇跡の30代を自称してるけど、ずっと一緒にいるから同い年くらいの感覚」(茜屋)「かわいいのためならどんな努力もいとわない。ネガティブなことを言わず黙々と頑張るのがすごい」(久保田)「年齢的にきついはずなのに、2回公演とファンとの会話、ツアーの厳しいスケジュールをやり遂げてるのはすごい」(芹澤)
<撮影/尾藤能暢 スタイリスト/津野真吾(impiger) 衣装協力/BRAND SELECT、mixxdavid ヘアメイク/原田琴実 加藤千沙 藤井まどか 取材・文/森ユースケ>
―[i☆Ris「しゃべるグラビア」]―