瀬戸康史、ドラマで育休を体験「子どもを育てることはハッピー」

 30代に入り、ますます仕事も好調な瀬戸康史さん(33)。現役コピーライターが驚愕した「育休」のリアルを綴った体験記を、WOWOWが映像化した主演ドラマ『男コピーライター、育休をとる。』がスタートしました。

 妻・愛子(瀧内公美)から妊娠を告げられ、6カ月の育児休業(育休)の取得を決意したことで、怒涛の日々が幕を開けるコピーライターの魚返(うがえり)を演じた瀬戸さんに、本作を通じて育児・育休への考えは変わったのか、そもそも関心はあったのか。そして、子どもを育てることは「辛い、ハッピー」どちらだと思うか、聞きました。

◆リアルな育児ものなのに軍隊が登場する!?

――男性の育休をテーマにした作品です。数話拝見しましたが、リアルな現実を描きながらも、育児に関係のない人にも見やすくポップに描かれている部分が多くて、共感したり勉強になるだけでなく、楽しい作品だと感じました。カメラ目線もすごく多いですね。

瀬戸康史さん(以下、瀬戸)「そうなんです。最初からめちゃくちゃあります。『グレーテルのかまど』(Eテレ)のときもカメラ目線がかなりありましたが、あれはヘンゼルではありますが、ほとんど素でやっているので自然とできました。でも今回は魚返としてなので、最初はどのくらいの感じでやればいいのか難しかったですね」

――先の脚本も読ませていただきました。妄想シーンも入ってきますが、育児ものというジャンルからはイメージができないであろう、「こんなシーンもありますよ」というシーンを教えてください。

瀬戸軍隊が出てきます

――ええ!?

瀬戸「軍隊が出てくるんです(笑)。あと、おもしろCMみたいなものもあります。最初は独特な世界観に僕も戸惑いましたが、最後にはすごく楽しんで撮影できました。魚返だけど魚返じゃないみたいな人も出てきます」

――パペットが登場するシーンもあるんですよね。

瀬戸「パペットは序の口です(笑)」

◆男性も育児に参加するのは普通のこと

――さて、今回のお話をいただく前、そもそも男性の育児参加や育児休業への関心はありましたか?

瀬戸関心というか、参加するのが普通なんじゃないかと思ってました。自分の子どものことなんだから、放っておくわけにはいかないと思いますけどね。たぶん、うちの父親がそういう人だったからかな。だから自分の中では特別なことではありません。というか、僕らの世代はそうした人が多いんじゃないでしょうか。少し上の世代になると、女性や男性といったことで役割を区別していたかもしれませんが、すでにそうではなくなってきたなかで、育ってきたのだと思います」

――お父さんが普通に育児に参加していたというのは、振り返ってみるとどういったところがそうだったと?

瀬戸「特別なことをしてもらったということではなく、たとえば日曜日になれば寝てばかりじゃなくて、どこかに連れていってくれていたとか。子どもの頃を思い出して、いつも父親が仕事でいないとか、休みは寝てばかりといった印象はないです。それから小さなころ、母親が友達と夕食に出かけたりしたときには、親父が外食に連れていってくれたり、夕飯を作ってくれたりしていました」

◆一番好きだった父親の手作りご飯は……

――お父さんが作ることもあったんですね。

瀬戸「ありましたね。僕が一番好きだったのは、大量の肉が乗っかったどんぶり飯です。完全に男の料理ですが。あれはめっちゃ美味しかった!」

◆一緒にいる時間を増やせば、おのずと見えてくるものがある

――現実には育児休業を取りたくても取れない人が多いと聞きます。それこそ上司ににらまれたりキャリアの上で不利になったり。最近はパタハラという言葉もニュースになっていました。

瀬戸「なぜそういう世の中なんだろうと思います。僕はこの業界でしか働いたことがないから、他はわかりませんが、育児休業が取れないにしても、うまく工夫していくしかないですよね。それを言い訳にしちゃいけないんじゃないかな。たとえば友達と飲みに行く時間があるなら、そこはランチで済ませて、帰ったらちゃんと育児するとか。

 それに子どもだけじゃなくて、僕らには妊娠、出産とか、女性特有の辛さとか、そうしたものが分からないけれど、一緒にいる時間を増やせば、理解できることや、おのずと見えてくるものがあるんじゃないかと思うんです。やっぱり大切なのは思いやりですよね。お互いに。自分が一番信じている人をないがしろにしたり、粗末に扱うってことは、一番やっちゃいけないことだと思います」

◆子どもが笑ってくれるだけでチャラになる

――育休期間の辛い部分もきっちり描かれている作品ですが、子どもを育てることは、“辛い” “ハッピー”どちらだと思いますか?

瀬戸「(食い気味に)ハッピーでしょ。スタッフさんたちにも話を聞いたら、ドラマで大変だと出てくることは全部本当だと。『言っても、寝れるでしょ?』と思っても、本当に寝られないと。だけど、本編でもそうですが、子どもが笑ってくれるだけでいいんですよ。すべてチャラになる。たぶん。というのを、この作品は教えてくれた気がします。元気に育ってくれているだけで儲けものなんじゃないかな」

――俳優さんは、30歳から脂が乗ってくると言ったりもしますが、瀬戸さんの育児に対しての考え方はどうですか?

瀬戸「脂が乗るなんていうのも、曖昧な言い方ですからね。各々のタイミングで何を大事に考えるか、ということなのかなと思います」

◆親父や母親、家族の支えに感謝している

――魚返と同じとはいかなくても、瀬戸さん自身、私生活も大事にしていきたいですか?

瀬戸「うん。俳優という仕事が好きでここまで続けていますが、辛いことや苦しいことがなかったわけではないです。そういう時に、親父や母親、家族の支えがあってここまでこれたと思っています。なので、家族の支えがあっての僕だと思うので、大切にしていきたいですね」

(C) LES IMPRODUCTIBLES, KALY PRODUCTIONS et CHARADES PRODUCTIONS

(C) 2021 WOWOW INC.

<撮影・文/望月ふみ>

<ヘアメイク/須賀 元子 (星野事務所) スタイリスト/小林洋治郎 (Yolken)>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

2021/7/10 8:46

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