小澤征悦がカヌーのコーチ役に「僕、褒められて伸びるタイプなんですよ~」

 中条あやみさんが、カヌーと出会って再起していくヒロイン・遥を演じている映画『水上のフライト』が公開になりました。本作で、ドラマ『パパがも一度恋をした』などの小澤征悦さんが、遥にカヌーを教える宮本コーチを演じています。

 部屋に入ってきた瞬間、周囲をパッと明るく照らすようなオーラを放つ小澤さんに、ご自身を導いてきてくれた学生時代の経験や、俳優デビュー以降に影響を与えてくれた先輩方のお話などを聞きました。

◆明るく、決して湿っぽくならないように

――宮本コーチ、とてもステキでした。兼重(淳)監督が、「すべての登場人物の父親的な役回りになってほしいキャラクターで、小澤さんしか思い浮かばなかった」と。

小澤征悦さん(以下、小澤)「えー、たぶんそれ冗談ですよ(笑)」

――いやいや(笑)。小澤さんは「親友であり戦友だ」ともコメントされてます。

小澤「そうなんですか? ありがとうございます。いや、嬉しいですけどね」

――小澤さん自身は、この作品のなかで宮本コーチとしてどう存在できたらと思っていましたか?

小澤「この映画の大きなテーマとして、体が不自由になってしまった方の再生の物語があります。そこに対して大きな愛情を根底に置いて、ちゃんと支えること。でも明るく、決して湿っぽくはならないように、というところは監督とも話し合って作っていきましたね」

◆子どもたちがいたことで、より温かな現場に

――確かに作品全体に明るさがあります。

小澤「監督自身が陽のオーラを持った方ですし、中条さんを始め、みんなが、ポジティブな力強さがあったほうがいいと感じてやっていたと思います。そう感じていただけたのなら嬉しいですね。それに、現場に子どもたちがいたのも良かったです。

 僕はもともと現場では冗談を言ったり、馬鹿なことを率先してやっているんです。それによって現場がまとまっていけばいいなと。今回もそうしていましたが、それをやったときのリアクションが、子どもがいることによって、本当にいい感じの笑いになるんです。そこに中条さんも加わって、あと、杉野(遥亮)君もね、独特なテンポ感で笑いを提供したりして。そうした相乗効果みたいなものが、映像のなかにも入ってるんじゃないかと思います」

◆褒められて伸びるタイプ

――小澤さんが教えられる側になるなら、どんなコーチについてもらいたいですか?

小澤「僕、自分では褒められて伸びるタイプだと思ってるんです。ただ、学生時代は体育会系のバスケットボールを中高大とずっとやっていて、今では信じられないような厳しいコーチのもとでやってきました。それが、実は今俳優としてやっているうえで、すごく役立っています。ただ、本当は褒められて伸びるタイプです」

――褒めてもらえないときには、自分を鼓舞するためにどうされてるんですか?

小澤いろいろと話をして、『でも、最終的に、良かったですよね』と、こちらから確認をして、相手から半分無理やりにプラスの方向を引き出すかな(笑)。昨日もかなりキツイ現場だったので、マネージャーに褒めさせようと思って、一生懸命引き出そうとしてたんですけど、全然褒めてくれないんですよ。それで今、ちょっとケンカの最中です(笑)。基本的には、誉めてほしいです(笑)」

◆影響を受けた先輩たち

――学生時代の鍛錬が今も役立っているとのことですが、俳優のお仕事を始めて以降、影響を受けた人はいますか?

小澤「高倉健さん主演の『ホタル』という映画に出させていただいたとき、僕のシーンは回想シーンだったんです。なので健さんは出られない。なのに、『見ておきたい』と現場に来てくださったんです。そうした姿勢は素晴らしいなと思いました。

 あと緒形拳さんも、公私ともにお世話になりました。ある作品で、殴るシーンじゃなかったんですけど、本番だけバシン!と頭を叩かれまして。すごく痛かったんですが、それが正しい流れだったので、役者としての優しさだと感じました。ご両名とも亡くなられてしまいましたが」

――今現在、お付き合いのある方ではどなたかいらっしゃいますか?

小澤「佐藤浩市さんですね。浩市さんにも公私ともにお世話になっていまして、もちろん仕事では誰もが認める格好良さ、渋さがあって、ステキですが、芝居以外のところでも、男としての筋の通し方みたいなものを、背中で見せてくれるんです

◆自分も背中で教えていきたい

――俳優としてはもちろん、みなさん人間として尊敬できる。

小澤「みなさん人間力のある方だと思います。そうした方々と出会えてとても幸運だし、縁を感じるし、大事にしていきたい。僕にとっての宝です。そうした大切さに気付けているのも、学生時代の厳しい日々があったからかなと思います。

 今の時代には、ちょっと煩わしいと感じてしまうような関係かもしれませんが、僕はそうした人間関係も大事だと思っているし、自分がこれから関わっていく若い人たちにも、背中で教えられたらなと思います」

(C) 2020 映画「水上のフライト」製作委員会

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

2020/11/23 8:46

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