妊娠中のブタが養豚場から逃走 9匹の子を産み、屠殺を逃れる(英)

英ノッティンガムシャーのオラートンで犬の散歩をしていたアン・アストンさん(Anna Aston、49)は、1頭のブタが木々のそばに横たわり、たくさんの子ブタに授乳している姿を目撃した。

「最初は犬やアナグマ、イノシシかもしれないと思っていましたが、はっきりとブタだと分かりましたね。森の中でブタを見かけるなんて普通ではないと考えつつも、そのまま通り過ぎました。でもその後、ブタの親子のことが頭から離れず、安全に暮らせるのか心配になりました。」

そのように発見当時を振り返るアンさんは、動物保護団体「Brinsley Animal Rescue」に連絡したという。同団体によると近くの養豚場から逃げ出し、食用に育てられていたブタだと判明した。

アンさんは「近くに養豚場があることは知りませんでした。赤ちゃんを守るためにここまでするなんて、本当にすごいですよね。自由を勝ち取ったブタを、農家が連れ戻そうとしないことを祈りたいです」と明かした。

他人が所有していたブタを勝手に引き取ってしまうことは窃盗にあたるため、同団体は所有者である農家に連絡を取り、ブタの親子を譲ってもらえないかと交渉したという。ブタの親子を救うための署名活動も行うと、農家はブタを保護することを了承してくれた。そして同団体は、保護した母ブタを“マチルダ(Matilda)”と名付けた。

マチルダがいつ逃げ出したのかについては、農家も分からないそうだ。発見時の子ブタたちは生後3週間ほどだった。普通に育てるとブタは15~20年生きるというが、食用に育てられた場合は生後6か月ほどで屠殺されるという。

同団体の創設者であるジョン・ブレスフォードさん(Jon Beresford)は「マチルダは母性本能が働いて、『養豚場から出て子を産みたい』と考えたのでしょうね」と今回のマチルダの行動について推測している。

現在マチルダと子ブタたちは、ミッドランズ地方の保護地区にいる。今後については、子ブタたちがマチルダを頼らずに生活できるようになるまでは自然に子育てをさせ、その後は去勢などを行って里親を探すつもりだという。

今回のニュースを目にした人々からは多くの署名や寄付が届いたそうで、マチルダと子ブタたちが保護されたことが分かると、「みんな保護されて本当に良かった」「マチルダは自由を勝ち取れたんだね!」「赤ちゃんを守るために全力を尽くしたマチルダはすごいよ」と安堵や驚きの声が寄せられている。

画像は『Brinsley Animal Rescue 2021年6月30日付Facebook、2021年6月21日付Facebook』『BBC 2021年6月17日付「Pregnant pig escapes farm and gives birth in woods」(BRINSLEY ANIMAL RESCUE)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 iruy)

2021/7/4 21:50

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