ピッチャー・大谷翔平「7失点大失敗」で噴き出す「打者専念」の亡霊

 6月30日、ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平(26)は、敵地ニューヨークで行われたニューヨーク・ヤンキース戦に「1番・投手」の“リアル二刀流”で出場。6月29日からのヤンキースとの連戦で、それまで3本のホームランを放つなど絶好調の“打者・大谷”だったが、“投手”としては一変。

 初登板となったヤンキースタジアムで、初回に2安打5四死球7失点と大炎上し、1回持たずに無念の降板となった。

 試合後の会見で、大谷は「体調もよくて腕も振れていたが、ひっかけも多かった」と、ピッチングへの反省点を口にしている。

 2013年にNPBドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団した大谷は、2018年にMLBのロサンゼルス・エンゼルスへ移籍。日米9年間を、投打の“二刀流”として戦い抜くなかで、大谷は常に「打者専念論」に付きまとわれてきた。

「プロ入りをした2013年には、元オリックス監督の岡田彰布氏が、週刊誌の取材に対して、“二刀流への挑戦は素晴らしい”と前置きを入れつつ、“一番の課題は、首脳陣がいかに、大谷にバッター一本でいく決意を固めさせるか”と答えていました。

 メジャー移籍直前の2017年は、マサカリ投法で知られる村田兆治氏が、“大谷にはハリさん(張本勲)の3085安打や、王貞治さんの868本塁打の記録を抜いてもらいたい”と発言。そのうえで、“二刀流を続けることで、記録を塗り替える可能性を、中途半端に奪うことにならなければいいのですが……”と、あくまで打者専念を望んでいましたね。

■監督は「二刀流」を支持している

 そして、大谷が右ヒジを故障していた2019年、ソフトバンク王貞治球団会長は、日本記者クラブの会見で、“故障が常につきまとうのはピッチャーですよ”と、投手が負うダメージの大きさについて言及し、“私は彼が1年でも長くメジャーでプレーしてもらいたいと思っているので、彼がバッターに専念してくれたらいいな、とは思っています”と語っています」(スポーツ紙デスク)

 6月30日のヤンキース戦の炎上で、再びこうした「打者専念論」が噴出することも、大いに考えられる。

 しかし、これまで鋼の意志で“二刀流”を貫いてきた大谷に対して、エンゼルスのジョー・マドン監督は「彼が(投打で)両方とも素晴らしいプレーができることに対して信頼しているし、私はどうやってこれ(二刀流)を成功させるかということに集中している」と、全面支持を表明している。

 13日(日本時間14日)のメジャーのオールスターゲームに、DHとして選出され、その前日のホームランダービーへの出場も決定した大谷。打者としてはゆるぎない評価を確立したと言っていいだろう。

 はたして、歴史に名を残す野球選手として、大谷翔平は“二刀流”で輝き続けられるだろうか……

2021/7/3 6:30

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