尾野真千子「私の人生、終わったかも…」コロナ禍での「絶望」を明かす

お笑いコンビ・麒麟の川島明がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ」。「あなたの心を、ここではないどこかへ」をテーマに、ゲストの「ココロが動く(=エウレカ)思い入れのある場所」へと案内していきます。6月19日(土)放送のお客様は、女優・尾野真千子さん。今回の放送では、4年ぶりとなる主演映画「茜色に焼かれる」の話を伺いました。

尾野真千子さん

1981年、奈良県出身の尾野真千子さん。中学生のときに、地元で撮影をおこなっていた河瀨直美監督にスカウトされ、映画「萌の朱雀」で女優デビュー。高校卒業後、本格的に女優活動をスタートさせ、2007年には再び河瀨監督とタッグを組んだ映画「殯の森」に出演。この作品は「カンヌ国際映画祭」コンペティション部門でグランプリを受賞しました。

2011年にはNHK連続テレビ小説「カーネーション」のヒロインに抜擢され、2014年には映画「そして父になる」で、「第37回 日本アカデミー賞」優秀主演女優賞を受賞。その後も、数々のドラマ・映画に出演をされています。

TOKYO FMの番組「SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ」。6月19日(土)ゲスト:尾野真千子さん

◆コロナ禍で俳優業休止を考えていた?

川島:尾野さんの主演映画「茜色に焼かれる」が絶賛公開中です。

「茜色に焼かれる」

尾野:そうなんです。久しぶりの主演ですね。

川島:こちらの映画は、コロナ禍の世相を描いた作品です。7年前に不慮の事故で命を奪われた夫への賠償金を受け取らず、花屋のバイトと風俗の仕事を掛け持ちしながら中学生の一人息子を懸命に育てるシングルマザー・田中良子を、尾野さんが演じています。数々の理不尽な苦境にどう向き合っていくのか、激しくも切ない魂の作品となっています。今のご時世を描いているんですね。

尾野:そうです。撮影したのもちょうど、1回目の緊急事態宣言が出た直後でした。

川島:そうでしたか。となると、スタッフさんも含めてかなりの熱量が注ぎ込まれた作品なのではと思います。

尾野:スタッフも最低限の人数で撮影をおこなったのですが、ギュッとしたことでチームワークはよくなりました。いい相乗効果でしたね。

川島:尾野さん演じる良子は、かなりの体当たりというか、魂を削るような役どころですよね。

尾野:なんかね、自主映画を撮っている気持ちになったというか。距離は遠くても気持ちが近いぶん、“やるぞ!”っていう気持ちがすごく近くて。“こんな気持ちで現場にいるのは、すごく久しぶりだな”と若い頃を思い出しました。

川島:へええ!

尾野:“みんなと1つになるって、こういうことなんだろうな”みたいな。その気持ちが画面にも反映されている気がして。気持ちがいい映画です。

川島:汗をかいて、全力で挑んだ?

尾野:そうなんですよ。なので、いい映画だと思います(笑)。

川島:つらいことばかりですけど、コロナ禍だからこそ撮れたというシーンもたくさんあると思います。メモによりますと、コロナ禍の影響で一度休業を決意した尾野さんの手元に届いたのが、「茜色に焼かれる」の企画書だったそうですね。企画書を読んで、“今やらないと!”と奮起されたと。こちらは事実でしょうか?

尾野:正解(笑)。1回目の緊急事態宣言が出たときって、みなさん“どうしたらいいかわからない”って感じたと思うんですよ。

川島:我々からすると、仕事をしているだけで不謹慎だと言われるかもしれない世の中でしたよね。

尾野:そうそう。顔を突き合わせてやる芝居が多いので、キスシーンなんかがあったら、もっと距離が近くなるので、“(コロナ禍は)芝居ができへんやん”みたいな気持ちになりました。

私の芝居は、相手との距離をだんだん近付けるやり方なんです。会話を続けていくうちに距離が縮まっていく。“これこそが人間だ!”と思っていたんだけど、芝居ができなくなって、“私の人生、終わったかも……”と。

川島:そこまで絶望されていたんですね。

尾野:そうですね。いろんなことが“終わり”という言葉に変わっていく感覚でした。

川島:未来が見えない状況ですしね。

尾野:感染者もどんどん増えていくし、怖いことばかりで。“この仕事はお休みだな……”と思っていたところに、今回の台本が飛び込んできたんです。伝えなきゃいけないことはたくさんありすぎて。台本にはコロナ禍のことも描かれていたんですけど、それを読んで“この時代のことを残せるな”と思ったんです。

川島:なるほど。

尾野:この時代のことも伝えていかないと意味がないのではと思ったし、“今やらんとどうすんねん!”っていう気持ちにもなったので、映画の出演を決めました。

川島:大袈裟でも何でもなく、尾野さんの人生が変わったかもしれない脚本だったということですか?

尾野:変わりましたね。伝えるということが、より深くなったというか。今までは流れ作業のようになっていたこともあったんですけど、改めて“人に伝えるって、けっこうすごいことやぞ”っていうことを強く実感しました。

「茜色に焼かれる」のワンシーン

▶▶毎週土曜の55分間だけ営業する旅行会社EDC(=Eureka Drive Corporation)の社員たちが担当するPodcast番組(AuDee /Spotify)も、ぜひチェックしてください!

次回7月3日(土)のお客様は、梶裕貴さんです。お楽しみに!

<番組概要>

番組名:SUBARU Wonderful Journey ~土曜日のエウレカ~

放送日時:毎週土曜 17:00~17:55放送

出演者:川島明(麒麟)

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/wonderfuljourney/

2021/7/1 20:00

この記事のみんなのコメント

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  • コロナで不要不急とか言って時短や休業とか迫られたり、仕事が減ったりすると「自分の存在価値って低い?要らないの?」って病んで来るよね※、コロナ禍で苦しむ人達は経済面と共に精神的なダメージを受けて、中々癒えないだろなあ※、まだまだ何も終わってない!真っ只中※

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