リーバイスデニム「501・505・517」基本3モデルの特徴と着こなしの注意点

―[メンズファッションバイヤーMB]―

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第333回目をよろしくお願いします。

 いよいよデニムの春が来た!

 ここ数年、カジュアルでもスラックスの波が来ており、デニム派は肩身の狭い想いをしていたはず。街を歩けばワイドスラックスやアンクル(9分丈)スラックスなどで溢れており、デニムはすっかり見なくなっていました。

 しかし! いよいよデニムが復権の兆し!

 海外のコレクションブランドもデニムをここ数シーズンにおいて多く展開するようになってきており、リーバイスや古着なども再評価されています。

 そこで、今回はデニムについて。「501? 505? 517?」など難解かつ区別のしにくいリーバイスデニムの品番について「これだけ覚えておけば間違いない!」というデニムの基本の「き」である3品番のシルエットをお教えします。

 これを知っておけば、もうデニム選びに困らない!

◆▼まずは基本、デニムの王道「501」のシルエット

 まずはデニムのアイコンである「モデル501」。

 1853年にアメリカで生まれたリーバイスはもともと作業労働者用のワークウェアブランドでした。

 金の採掘が盛んだったゴールドラッシュ時代に何度洗っても、何度履いてもほつれないタフなパンツの需要があり、糸による縫製ではなく金属パーツの「リベット」で補修した革新的なデザインのリーバイスが高い評価を得たのです。

 1890年当時に生まれたロットナンバー「501」はその後、西海岸の大学生らによりファッションアイテムとして幅広く活用されることになりました。

◆ベーシックなストレートシルエットが基本

 デニムの源泉といえる501は年代によりさまざまなバリエーションが存在するので、一概に「コレ」と言い切れないのですが、基本はベーシックなストレートシルエット。

 ウエストから裾にかけてテーパードをさほどしていないストレートタイプです。そのため、着用すると細くも太くも感じない、ほどよいバランスとなっています。

 ただし、現代のトレンドにおいてはあまりのベーシックシルエットゆえに上手に着こなさないと「普通」とも感じられるもの。

 世界中で認知の高いシルエットだけにベーシックアイテムではありますが、「これさえ履けばおしゃれになれる」というものでもありません。

 ベーシックゆえの難しさもあるでしょう。

◆▼リーバイス初のおしゃれ着デニム、「505」のシルエット

 1967年誕生の「モデル505」。

 実はこちらはリーバイス史上初めての「おしゃれ着専用ジーンズ」なのです。

 上記の通り、従来は作業用として作られていたリーバイスデニムですが、ファッションアイコンとしての広がりを意識し、はじめて実用性よりもシルエットや美しさに目を向けて開発されたのがこの505。

 モデル501を改良したようなシルエットになっており、501よりもわずかに裾に向けて細くなったテーパード型。といっても自然に細くなった程度であり、スキニーのような大胆な細さはありません。

◆都会的なスッキリとした印象に

 裾にかけて少し細くなったラインがスラックスを彷彿とさせてくれる、裾をしっかり直して履けばスラックスのようなスラリとした印象になります。

 501はやや太さがある分、どうしても野暮ったさがあるのですが(それが魅力なのだけれど)、505は都会的なスッキリとしたシルエットに。

 古着市場でも需要が高く、やや値上がり傾向にあります。

 また、505は初めて股部分がZIPになったモデル。今までは止めにくいボタンフライだったのですが、このモデルからZIPフライが誕生したわけですね。

◆▼今後トレンドになると予想される「517」のシルエット

 さらに昨今トレンドアイテムとして再び注目を浴びているのが「モデル517」。

 1971年に登場したブーツカットモデル、通称サドルマンパンツ。ヒッピームーブメントの70年代において幅広く支持されたシルエットです。

 ジョン・レノンなどのヒッピーを想像するとき、パンツの裾はたいがい広がっているでしょ? あのパンツが517です(646などもありますが)。

◆今後も70年代ファッションのトレースが続く?

 実は「2020年以降のトレンドは70年代のトレンドをトレースしている」と言われており、タイダイ柄やフラワーモチーフ、フレアパンツなどはそれらの象徴的アイテム。

 先日、発表された2022年春夏のディオールなどはほぼ全スタイルがフレアパンツとなっており、今後、メンズパンツ市場はブーツカットが大きく増えていくと予想されます。

 517はそんなフレアパンツの先駆け。ウエストから膝にかけては細いのに裾に向けてグッと広がりを見せる特殊な形。どんなゴツいブーツやスニーカーを持ってきてもクッション(パンツの裾が靴と当たった際に生まれるシワ感のこと)が出にくく、脚長効果が抜群にあるのが大きな特徴。

 細身スキニーのトレンドが収まりを見始める中、ネクストスキニーとして注目を浴びているのがこの517です。

 以上、リーバイスの代表的な3モデルについて紹介しました。デニムが本格的に流行る前に、チェックしておくことをおすすめしますよ!

 タンスの中にしまってあるデニムを今こそ引き出すチャンスです。ご参考に!

―[メンズファッションバイヤーMB]―

【MB】

ファッションバイヤー。最新刊『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

2021/6/30 8:54

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