夫がコロナ感染、ワンオペ育児で家庭崩壊寸前「受験に失敗したらパパのせい」
現在は、職場の同僚や友人・知人などの身近なところでも「コロナ陽性者」や「濃厚接触者」が珍しくなくなった。だが、実際に自分が感染したり家族がそうなってしまった場合は、どのような生活が待っているのか。仕事や家事・育児はどうなるのか。
東京都内在住の有彩さん(仮名)は「先日、その大変さを身をもって知りました」と話す。彼女に待ち受けていた“地獄の2週間”とは!?
◆ワクチンの副反応に苦しむなか…
医療従事者である彼女は、一足先にワクチンを接種した。
「1回目は本当になんともありませんでした。ただの注射。私は痛みにも強いほうなので、チクッとしただけでした。仕事にも子育てにも何の支障もなかった。『副反応は人によるんだな』と思っていました」
ところが、2回目のワクチンを打った後は、全く違っていたという。
「痛さに変わりはないんですが、ワクチンを打った翌日から倦怠感がひどかったんです。とにかくだるい。普段のだるいなんてものじゃなくて、寝返りをすることもできないレベル。寝ても覚めてもすごい疲れている。高熱のときの倦怠感とはまた違う。今まで感じたことがないような感覚。正直、副反応ではなく、何かほかの病気ではないかと疑ってしまうほどでした」
そんな状況のなか、まさかの事態に陥る。
◆夫がコロナに感染、家庭内はひどい有様に
「まさかの旦那がコロナに感染したんです。『いや、あんたまで?』っていう。心のどこかで、旦那がいるから家事や育児などもやってもらえば大丈夫と思っていました。その頼みの綱がコロナに感染。驚きを通り越しました」
夫は指定されたホテルに隔離されてしまい、有彩さんは副反応でツライなか、子ども2人を1人で面倒見るしかない状態となってしまう。
「うちは長女が中3の受験生で下が幼稚園の年長さん。長女は、旦那のコロナ感染で濃厚接触者となり、学校には行けない。そのストレスで『高校受験に失敗したらパパのせいだから!』と、ずっとイライラしている。下の子は、なんで自分が幼稚園に行けないのか理解できなくて、泣き続けている。私も毎日泣きたかったです」
◆家計にもダメージ、2週間ぶんのパート代が入らない
PCR検査の結果、子どもたちは感染していなかった。だが、元気なのに家にいなければいけないというストレスは、見るに耐えなかったそうだ。また、夫のコロナ感染は家計も圧迫したと話す。
「夫は正社員なので休んでも給料が出るんですが、私はただのパートなんで。出勤しないとお金はもらえません。私も濃厚接触者なので外出は禁止。2週間ぶんのパート代が消えてしまったので、翌月の生活のことを考えるとテンションが下がりました」
有彩さんはワンオペ育児も大変だったというが、もうひとつ大変だったことがあったそう。
「旦那は隔離先のホテルで毎朝同じ時間に起こされて、他人に生活を管理されてることが耐えられなかったみたいです。それが嫌で、私にすごい頻度で電話やLINEをしてくるんです。暇だからってLINE電話がくるけど、私は長女の受験勉強を見てあげたり、下の子にもかまってあげたりしないといけないので、旦那の面倒までは無理だったんです」
◆地獄の2週間「コロナは意外と身近だった」
現在、夫は退院し、有彩さんもパートに復帰した。子どもたちも中学校と幼稚園に通っているが、当時を「地獄の2週間でした」と振り返る。
「自分が過去に経験したことならアドバイスができるけど、私もコロナは初めてだから、対応に困ってしまいました。わからないんですもん。どこかで“自分の家は大丈夫だろう”と思っていましたが、なるときはなるんだなって思いました。本当にコロナは、意外と身近なことだったんです。いくら家族とはいえ、毎日ずっと一緒にいるのは本当にしんどかった。忘れられない体験です。もう2度と経験したくないですけど」
<取材・文/吉沢さりぃ>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。Twitter:@sally_y0720