片道2時間半を徒歩で通勤する青年 1人の小さな親切が大きな助けに繋がる(米)

太陽が照りつける初夏の暑さだった今月15日、米オクラホマ州ムーアで車を運転していたマイケル・リンさん(Michael Lynn)は、シャツを脱いで歩く1人の青年の姿を見つけた。

「暑そうだな」とマイケルさんは思いつつも、用事を済ませるためにそのまま青年の横を通り過ぎた。しかしその帰り道、再び同じ青年が歩き続ける姿を発見したという。

驚いたマイケルさんが「今日は本当に暑いな。乗っていくかい?」と声をかけると、青年は「お願いします!」と答えた。

マイケルさんは「君がずっと歩いていたのを見かけていたんだ。どこへ行くんだい?」と尋ねると、車に乗ったドンテ・フランクリンさん(Donte Franklin、20)は、チェーンレストラン「Buffalo Wild Wings」へ仕事に行く途中だったことを明かした。

ドンテさんはこの店の調理場で働いており、片道2時間半の距離を毎日徒歩で通っているというのだ。そして仕事を終えて疲れ果てた状態で、再び2時間半の道のりを歩いて帰路につく。

これを聞いたマイケルさんは「徒歩2時間半もかけて仕事に行くなんて、僕だったら無理だよ」と驚いたという。

道中はマイケルさんが質問し、ドンテさんは自身を取り巻く状況を話した。シフトのある日は必ず始業の3時間前には家を出ていると言い、これまでに一度も遅刻したことはないそうだ。

また過酷な通勤にもかかわらず、ドンテさんがこれほどまでに仕事に熱意を向けるのは、16歳の時にC型肝炎で亡くなった母親の影響があることも明かした。母親との思い出までは語らなかったが、ドンテさんはその後兄弟に育てられたと話しており、辛く厳しい経験をしてきたようだ。

そして店に着いてマイケルさんが「今日のご飯を食べるお金は持っているの?」と尋ねると、ドンテさんは「持っていないです」と言うのでマイケルさんは20ドル(約2200円)を手渡して別れたそうだ。

母を亡くすという辛い経験を経て、家計を助けるために懸命に働くドンテさんの姿に感銘を受けたマイケルさんは、自身のFacebookに今回の件を投稿し「私はただ彼の幸せを祈りたいと思いました。神のご加護がありますように」と綴った。

マイケルさんにとっては日常生活の中で偶然見かけた青年のために行った小さな親切だったが、これがドンテさんの人生に大きな助けをもたらすきっかけとなった。

マイケルさんはドンテさんが通勤するための車の購入資金を募るため、2000ドル(約22万円)を目標にクラウドファンディングサイト「GoFundMe」で支援ページを立ち上げた。するとマイケルさんのFacebook投稿が話題を呼んだことも手伝って、日本時間26日の時点で50265ドル(約560万円)が集まったのだ。

しかもドンテさんへのさらなる親切が続いた。マイケルさんの投稿でドンテさんのことを知ったケリー・コリンズさん(Kelly Collins)という女性が、自転車をプレゼントすることに決めたのだ。夫が創設したバイカーのための慈善団体「My Riding Buddies Oklahoma」でマネージャーを務めているケリーさんは「オクラホマのどこかで助けを必要とする人の投稿を見かけたら、すぐに駆けつけますよ」と明かしており、仕事へ向かう前のドンテさんに会いに行き、新しい自転車を手渡した。

新しい自転車をもらえるとは思っていなかったドンテさんは「天の恵みだ。本当に感謝しかありません」と笑顔を見せた。ドンテさんは運転免許を持っていないそうで、取得するまではこの自転車で通勤することになるという。

マイケルさんは今でもドンテさんと連絡を取り続けており、「これからも彼が望む限り、この関係を続けていきたいですね」と述べている。

画像は『Michael Lynn 2021年6月16日付Facebook「Friends I gotta share this with you!!!」』『Upworthy 2021年6月21日付「He walked 17 miles a day to work until a stranger gave him a ride and changed his life forever」(Michael Lynn / Facebook)』『KESQ 2021年6月21日付「Man who walks 17 miles for work surprised with new bicycle」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 iruy)

2021/6/26 21:50

この記事のみんなのコメント

2
  • いち(

    6/27 7:02

    初めての遅刻を経験しそう。

  • あきひろ

    6/27 5:52

    日本人には真似できないね。

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