「やっと見つけたよ…」アプリで出会った男が“超粘着ネットストーカー”だった話

 近年ではさまざまなマッチングアプリが登場しているため、複数のアプリに登録して積極的に婚活をしている人もいるのでは? 現在32歳の池田美由紀さん(仮名)も、そのひとりです。

「そのほうが効率よく、いい人と出会えそうだなって思っていました。でも、ある男性から執拗に執着されてアプリの怖さを知りました」

◆退会していたアプリに再登録すると…

 美由紀さんが彼と出会ったのは、某大手マッチングアプリでした。

「実は私、一度そのアプリを退会していて、半年ほど経ったころに再登録したんです。そしたら、以前、登録していたときに少しだけやりとりをしていた男性が、また話したいと言ってきてくれました」

 彼は、5歳上。初回トーク(アプリ上のチャット)には「ずっと頭から離れなかったので、またやりとりできることになって嬉しい。これは運命だと思っています」との言葉が。

「前回は彼のことが嫌だったわけではなく、婚活疲れからなんとなく連絡を絶ってしまったので、覚えていてくれたことや、もっと話したいと思ってもらえたことが嬉しくて、もう一度お話してみたいなと思えました」

 トークを交わすうちに、彼は過去に浮気をされ、女性不信になってしまったと告白してきました。美由紀さんも同じく元カレに浮気され、婚活をするようになったため、経験してきた心の傷が他人事だと思えず、彼のことが気になっていきました。

◆トークとは違う彼の姿に幻滅

 似たような傷を抱えていた2人は自然と距離を縮めていき、初めてオンラインデートをすることに。しかし、実際に話してみると柔らかいトークとは違う彼の姿に美由紀さんは幻滅してしまいます。

「私が話すことにはなんでも、『でも』とか『それはダメだね』とか否定してきて。私はフリーのイラストレータ―なのですが、『フリーランスだと時間が自由に使えるから楽でいいね』と笑われ、イラっとしてしまいました」

 価値観が合わない。そう思った美由紀さんはオンラインデート後、彼に「私ではない人のほうが合うと思ったので、今回はごめんなさい」と連絡します。すると彼からは「僕は本当に運命を感じているから簡単に手放したくない。もっとちゃんと僕のことを見てほしい」との返信がありました。

 正直、重いと感じてしまった美由紀さんはマッチングアプリを退会しました。彼との繋がりを絶ち、登録済みだった他のマッチングアプリにて婚活を続けることにしました。

◆Facebookに恐怖のメッセージが…

 しかし、数週間後、なんと美由紀さんのFacebookに彼からメッセージが来たのです。

「仲良く話していたとき、うっかり本名を教えてしまったので、検索したんだと思います。探すのに苦労したことや、他にいい人ができていたら悲しい、もう一度話してほしいなどといった内容が書かれていました」

 恐ろしくなった美由紀さんは返信をせずに、放置。彼のことは早く忘れ、新しい恋を見つけようと考えていました。

 ところが、それから3か月ほど経ったある日。マッチした人に返信をしようと思い、いつものようにアプリを開くと恐ろしいトークが目に飛び込んできました。

「やっと見つけた。このアプリも使ってたんだね。いろんなアプリに登録して、美由紀さんのこと探してました。僕たちはやっぱり何度も巡り合う運命なんですね」

◆トラウマのせいで、マッチングアプリに登録できない

 なんと彼はマッチする段階で避けられないよう、自分の顔を隠し、美由紀さんにコンタクトを取ってきていたのです。ゾッとした美由紀さんは、すぐにアプリを退会し、運営会社に通報もしました。

 この一件以来、美由紀さんはマッチングアプリを怖く思い、使用できなくなってしまったそうです。

「もしかしたら、どのマッチングアプリにも彼が登録していて、私のことを探してるんじゃないかって思ってしまうんです。顔写真を載せたり、個人情報を書いたりすることが、もう怖いです」

 自分たちの出会いを運命だと錯覚し、ネットストーカーと化してしまった男性。美由紀さんのトラウマは、月日が経った今もいまだ癒えていません。

 マッチングアプリは効率的に出会える便利なツールではありますが、このようなリスクも伴うことを、心に留めておいたほうがいいかもしれません。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

2021/6/24 15:47

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