大阪・梅田のコリアンタウン化。コロナ禍で急加速のワケ

◆梅田がリトルコリア化

 大阪のコリアタウンといえば鶴橋にある22000人以上の朝鮮系の人が暮らす生野コリアタウンが有名だった。しかし現在は、大阪を代表とする繁華街の梅田(通称:キタ)がリトルコリア化しているのだ。

 コロナ禍での韓国料理店のオープンラッシュ、新たに誕生したリトルコリアには大勢の若者が集まっているという。新たにオープンした韓国系料理店が多く軒を連ねる阪急東通り商店街で話を聞いた。

 リトルコリア化しているのは、JR大阪駅の東側を南北に伸びる新御堂筋の東側にある阪急東中通商店街だ。以前は大衆居酒屋や風俗の無料案内所などが並ぶサラリーマン向けの商店街だったが、今ではピンクや紫のネオンが光る韓国居酒屋が並んでおり若い女性客で賑わいを見せている。

◆客層がサラリーマンから若者へ

 梅田のリトルコリア化に一体、どんな背景があったのか。東通り商店街の事情に詳しく自らも飲食店を経営している男性に話を聞いた。

「梅田は元々、飲食店の流行の変化が激しい街。古くは個室居酒屋から食べ放題、数年前に流行ったタピオカや肉寿司など、その時々のブームに合わせた飲食店がオープンしてまた次の店へ……と移り変わっていきました。そのため、ここ数年で梅田に来る客層はサラリーマンから若者へと変化していきました。

 現在、リトルコリア化しているのも韓国や東京の新大久保で流行っているネオン系韓国居酒屋をオープンして、その二番煎じで韓国系の店が続々オープンしたんです。コロナ禍にも関わらずネオン系韓国居酒屋は、私が知っているだけでも10店舗以上はオープンしていますね」

◆ミナミの地代が高くてキタに流れた飲食店

 一昔前まで、大阪の若者が集まるのは心斎橋やなんば駅のあるミナミで、キタ(梅田)はサラリーマンが集まるオフィス街として知られていた。若者がミナミではなくキタに集まるようになったのは他にもこんな理由があるという。

「数年前のインバウンドブームでミナミに外国人観光客が増加したときに『若者のミナミ離れ』が進んだんです。また、外国人オーナーも多く参入してきて、当時はミナミの中抜き物件でも高額家賃をとるなど、まさにミナミは地価バブルでした。そのため、ミナミでは飲食店の新規参入が難しかったんです。その点、梅田は外国人オーナーの物件がほとんどないし家賃もミナミに比べると遥かに安い。

 また、コロナ禍においてミナミが感染の中心地として名指しされてしまったのが痛かったですね。梅田はコロナ禍でもそれほど注目されなかったので、昨年8月のミナミの時短営業要請のときも東通り商店街は普通に営業していました。『まん延防止等重点措置』で午後8時までしか酒類を提供できなくなったときも梅田では営業時間を早める店が増えて、昼飲みを求める若者で賑わっていました」

◆おじさんはなかなか入りづらい

 リトルコリア化ととともに増加する梅田のネオン系韓国居酒屋。一方で、元々梅田で飲んでいたサラリーマン達は来づらくなってしまったのではないだろうか。梅田のオフィス街に勤務する40代の男性に聞いてみると意外な答えが返ってきた。

「確かに、ここ1年ほどでリトルコリア化とともに若者が多く来るようになり、おじさん達は入りづらい店が増えました。特に今は休業要請下なので営業している飲み屋が20代の若者で満席……なんてこともあります。おじさん達は、大阪駅の駅ビルに追いやられて立ち呑み屋で静かに飲んでいます。

 でも、梅田がリトルコリア化したことでいいこともありました。パパ活やキャバクラの同伴で連れて行くと女のコが喜ぶんですよ。少し前ならパパ活や同伴で行くのは焼き肉や高級中華が当たり前で2人で2万円は下らなかったのですが、韓国系居酒屋なら5000円程度とリーズナブル。流行最先端なので女の子のほうから『行きたい』と言ってきますね」

 なんとも言いようがない返答に、思わず首をかしげてしまった。

◆新たなスポットとして定着するか

 インバウンドの影響やコロナ禍における若者のミナミ離れに伴い、新たな若者スポットとして生まれ変わった大阪梅田。

 リトルコリア化は一時のブームにしか過ぎないとしてもコロナで海外に行けない今、非日常ブームとしてしばらく続くのではないだろうか。

取材・文/カワノアユミ

【カワノアユミ】

東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano

2021/6/23 15:54

この記事のみんなのコメント

1
  • あきひろ

    6/27 19:09

    中国のみならずコリアにまで買い叩かれる日本。

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