日本名輪会・山口健治の「江戸“鷹の目”診断」/清水が断然の主役で対抗は山田の底力

【「久留米記念」ヤマケンが注目する「決勝戦進出」有力候補12人!】

◎清水裕友/○山田英明/▲野口裕史/△野原雅也/佐藤慎太郎/森田優弥/渡部哲男/田中誠/稲川翔/岩本俊介/吉田拓矢/取鳥雄吾

 叩き合いになっても主導権を取ろうとするのは、先行選手の本能である。

 前半戦最後のグレード戦となる「久留米記念」(6月26日【土】~29日【火】)。徹底先行が売りの若手機動型がそろい、残り1周半の打鐘から、出入りの激しいスピード戦となるのは必至。直線は脚を温存した差し・追い込み勢による差し比べになるとみた。

 SS班3年目の清水裕友が断然の主役を務める。まだ26歳だが、ヨコにも強い自在脚は、ベテラン選手を思わせる。取鳥雄吾との前後は微妙も、展開を冷静に読んで抜け出し、今年の記念初優勝を飾る。

 対抗は山田英明。GI制覇にあと一歩まで迫りながら戴冠できずにいるが、その底力は誰もが認めているところ。清水の番手にハマるようなら逆転もある。

 あとは、主導権を取れば粘る野口裕史と、好調な野原雅也の台頭か。

 有力候補に入らなかったが、地元の野田源一も怖い存在。単騎になってでもまくり一本にかける戦いぶりは、職人を彷彿とさせる。大駆けがあってもおかしくない。

 今年、FIでも優勝していない吉田拓矢には喝を入れたい。清水より早くに頭角を現し、関東の期待の星でもあった。119期で有望視される弟の有希がまもなくデビュー。うかうかしてはいられないはずだ。

 伏兵の1人目は眞杉匠(栃木・113期)。伏兵として過去に何度か注目してきたが、今回が最後になるかもしれない。京王閣ダービー(【2】【1】【2】【8】)で大活躍したからではなく、その積極性が大バケを予感させるからだ。7月からは1班。ファイナルで先行争いの激流に加わる雄姿が見られる日も近いか。

 門田凌(愛媛・111期)は、GIIIでの好走が目立つ。1月松山と4月奈良の両記念、そして前走のトラック競技支援松山(【1】【1】【8】【1】)は、全て準決勝に乗っている。戦闘力は高く、ここも四国の先頭で押し切りを狙う。

 九州の追い込み勢から頼りにされるのが原口昌平(福岡・107期)。3月GIII広島(【2】【9】【2】【9】)での2着2回は、九州の番手選手の勝利に貢献した。初日は1、2着で。

山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

2021/6/23 17:58

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