30億稼ぐ投資家の自宅に誘われて行ったら…。ドアを開けた瞬間に見てしまった、まさかの光景

アッパー層が集結する街・東京。

その中でも特に裕福な、純金融資産“1億円”以上の富裕層はどのくらいの割合か、ご存知だろうか?

ある統計によると 「日本の全世帯のうち2.5%程度」というデータがあるらしい。

なかなか出会えない、2.5%の富裕層たち。

レアな生き物である彼ら"かねもち"たちの、ちょっと変わった生態を覗いてみよう。

▶前回:「ネイルが紹介で半額♡」の罠。富裕層が支払う本当の“お友達価格”とは

投資勉強中の女子大生・梨花(22)


「うわぁ、何これスゴ…!ホテルみたい」

品川駅近くのタワーマンション前でタクシーを降りた私は、思わず感嘆の声をあげた。

磨き上げられた御影石のロビーを落ち着かない足取りで進み、インターホンであらかじめ伝えられていた42階の部屋番号を押す。

「梨花ちゃん、いらっしゃい。中にもあと2つインターホンがあるんだけど、部屋番号押したら開くから上がってきて」

「は、はい!」

スピーカー越しに聞こえてくるマナブさんの声に、思わず背筋がピンと伸びる。

― ついに、ついにここまで辿り着いた。家に呼んでもらえたってことは、もしかして今日、彼女にしてもらえるってことも考えられるよね…?

保土ヶ谷の実家と慶應SFCを往復するだけの3年間。この1年は授業もリモートばっかりで、やっと出た内定先もショボめの中堅メーカー。

そんな神奈川の片田舎で燻る女子大生にとって、今の状況はまるでおとぎ話みたいな展開。なにせ“億り人”な天才投資家・マナブさんから、家デートに誘われたのだ。

― まさか3ヶ月前の出会いから、こんなことになるなんて…!

高層階へと急上昇するエレベーターの中で、私はマナブさんとのちょっと特殊な出会いを思い返していた。

平凡な女子大生投資家が、億万長者の男と出会った場所とは

マナブさんと出会ったのは、就活を終えた3月頃。

何か新しいことを始めたくて参加した、投資系のオンラインセミナー。そこにゲストスピーカーとして呼ばれていたのが、15年で元手700万を30億にした男・マナブさんだったのだ。

13歳年上で35歳のマナブさんは、かなり先輩ではあるけれど同じSFC生。

セミナー後にTwitterでいろいろ質問させてもらってから話が盛り上がり、その後は何度かMeetで投資の相談に乗ってもらったり、他愛もない会話をたくさんした。

そして、今日。

「タクシー代出してあげるから遊びにおいでよ」と言われ、ついにお家デートに至ったというわけなのだ。

オンラインでは何度もデートしていて、マナブさんのことを「いいな」と思っているけれど、実際に会うのは初めてになる。

私はドキドキと高鳴る胸の鼓動を鎮めながら、いくつものセキュリティを経て辿り着いた部屋のドアホンを押した。

「どうぞ、開いてるから入って」

「お邪魔します。…わ!」

マナブさんの声に促されて、玄関のドアを開ける。すぐ目に飛び込んできたのは、まさに“新富裕層”といった光景だった。

30畳以上はありそうなLDK。一面の窓に広がる東京の絶景。モダンでミニマルなインテリア。ガジェット系のITメディアで見たことのある、最新家電の数々。

圧巻のあまり私は、自分の部屋くらいあるフラットな玄関で立ち尽くしてしまう。その横をすり抜けるように、ハウスクリーニングのスタッフが3人、ハキハキとお礼を言いながら退出していった。

そして、奥から現れたのはマナブさんだ。

後ろでまとめた長髪に、穏やかな笑顔。細身の体を包む毛玉だらけのスウェットに、首元がダルッダルに伸びきった中学生の私服みたいなTシャツ。

ハイセンスな環境にそぐわない、マナブさんのヤバいファッション。一瞬混乱したものの、私はなんとか取り繕って笑顔を浮かべる。

そんな私にマナブさんは、いつも通りの落ち着いた声で言った。

「食事するよね?ウーバーで頼むけど、何にする?」


「配達時間5-15分」の枠の中で注文したメキシコ料理は、その予告通りあっという間に届いた。

初デートがいきなり部屋&デリバリーランチなことに、違和感がないわけじゃない。

でも、こういう時期だからこそリスクをきちんと回避する危機管理能力の高さは、いかにもマナブさんらしくてむしろ好感度は上がる。

届いた料理をシンプルなコーヒーテーブルに並べ終えると、これまたスタンダードなチャコールグレーのソファに腰を下ろし、会話を楽しんだ。

「なんだかせわしなくてごめんね、梨花ちゃん。ハウスクリーニングが終わる時間が長引いちゃってさ」

「いえいえ、いいんです!やっぱりマナブさんくらいのおかねもちになると、お掃除も外注なんですね」

「家事に割く時間がもったいないからね。週3、4回は家事代行サービスが来てるかな」

「えー、すごーい!私も投資頑張って、それくらいリッチになりたいなぁ」

大袈裟なくらいにはしゃいだ相槌を打ちながら、私はマナブさんの横顔をうっとりと見つめる。2人の間に流れる空気は、間違いなくちょっといい感じだ。

― やっぱり、デキる男の人ってカッコいい。もしマナブさんと付き合えたら、私もこのリッチな生活に入れてもらえるのかなぁ。

かなり引きそうになったヤバめのヨレヨレファッションも、逆にトレーダーっぽくてこなれてるような気もしてきた。

だいたい、こんな素敵な部屋に住んでいる人のセンスがヤバいわけないのだ。逆に、部屋着を見せてくれるくらい気を許してもらってる…って考えれば、キュン度も高い。

でも、うっとりとマナブさんの話を聞いていた私は、次の瞬間、耳を疑った。

「それでさ、せっかくこうして梨花ちゃんと仲良くなれたんだけど…。状況が落ち着いたら、思い切ってシンガポールに拠点を移そうと思ってるんだよね」

付き合う直前の彼から衝撃の告白。その真意に気づいて…?

「ええっ!日本からいなくなっちゃうんですか?」

ショックを受ける私に、マナブさんは眉尻を下げる。

「結局は投資ってタイミングだから。このマンションもいま価格が4割近く上がってて、そろそろ売りどきなんだよね。シンガポールは税率も低くて金融インフラも整ってるしさ」

― ええ…?じゃあ、そろそろ付き合うのかも、なんて思ってたのは私だけ?

がっくりと肩を落としそうになるが、私はすぐに思い直す。

多分ここが正念場。きっとマナブさんは、私の反応を確認してる。

もともとリモートで始まった関係だし、ここでもう少しマナブさんへの好意をアピールできれば、もしかしたら「いずれは梨花ちゃんも一緒に…」みたいな話もあるかもしれないのだ。

そう確信した私は、寂しさと明るさが混在した絶妙な表情を浮かべながら、マナブさんに向き直った。

そして、つとめて明るい声のトーンで、ちょっとおどけてみせる。

「いいなぁ、シンガポール!エアラインはJAL、それともシンガポールエアライン?やっぱりファーストクラスって乗り心地最高なんですか?」

ここで話題に乗ってきたマナブさんをベタ褒めして、ますます距離を近づける…つもりだった。

それなのにマナブさんから返ってきたのは、意外すぎる言葉だったのだ。


「俺、ファーストクラスなんて乗ったことないよ。飛行機はエコノミーだし、新幹線は自由席。だって、着く時間は一緒じゃん?」

「…えっ?」

30億円も持ってるのに、ファーストクラスどころかグリーン車にも乗ったことがないというマナブさん。そのキョトンとした顔を前にして、私は薄々気づき始める。

「もしかして今日ウーバーでメキシカン頼んだのって、感染症対策じゃなくて…」

「店に行くより、届けてもらった方が早いじゃん?メキシカンは配達時間5分って書いてあったし」

「私をタクシーでここに来させたのは…」

「お互い移動時間かけるのってムダだし、家が広い方に来てもらった方が効率的じゃない?」

これまで私がマナブさんに抱いていた疑念が、確信へと変わっていく。

「家事代行を頼んだり、最新家電が揃ってるのは…」

「家事の時間ってムダでしょ?俺がやる意味ってないし、その時間があればもっと稼げるし」

「あの、すごーく不躾かもしれないですけど、クレジットカードってプラチナとか…?」

「普通の楽天カードだよ。ステータスとか優越感にお金使うとか、バカでしょ」

マナブさんは「ほら」と言いながら、無邪気にクレジットカードを取り出し、ポイントの利率についてウキウキと語り始める。

カードを取り出した財布は、東南アジアの道端で売ってそうな謎の合皮製。しかもポイントカードがミッチリ詰まっていて、はち切れそうだ。

― な、る、ほ、ど…。そういう感じ、ですかぁ。

そっと目を閉じ天を仰いだ私は、これまでのマナブさんとのやりとりを思い返す。心当たりはたくさんあった。投資を始めたキッカケも「効率よくお金を稼ぎたかったから」って言ってたっけ。

つまり彼はとんでもないおかねもちだけれど、お金を使う対象は“効率”と“時間”だけ。

この素敵すぎる住まいも、マンション自体は資産価値のある駅近のタワマンだけど、家具には全然こだわってない。

無造作に束ねた長髪も、やっぱりどう考えてもおかしいファッションセンスも…。時間もお金も生み出さないところにはまっっったく興味が無い、というわけなのだ。

高いブランド物が欲しい。美味しいレストランに行きたい。美容にとことん注ぎ込みたい。ゴージャスな旅行がしたい。

投資でリッチになった先にアッパー感のある生活を夢見ている私とは、かなり価値観が違うようだ。

そう思った瞬間、目の前で光り輝いていたはずの素敵なマナブさんは、急にヤバめの服を着た恋愛対象外のオジサンになってしまった。

― やっぱり憧れの生活は、自分の力で叶えるしかないってことかぁ。

カードのお得さについて一通り話しきったマナブさんは、いつのまにか熱っぽい眼差しをこちらに向けている。

恋人としては無理でも、やっぱり投資家としてはリスペクト。すっかり割り切った私は、そんな“尊敬する投資家”であるマナブさんに、ニッコリと微笑みかけながら言った。

「じゃ、シンガポールでもお元気で!…あと、仮想通貨ってまだ買う余地あると思います?」


■かねもちのへんな生態:その2■

どれだけ余っていても「時間」以外には絶対にお金をかけないかねもちがいる


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超・資産家一族の彼氏。その家族にご挨拶へ行ったときに起きた、奇妙すぎる事件とは

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