【勝負の分かれ目 ユニコーンS】騎乗馬を知り尽くした坂井騎手が爆発力を引き出し、スマッシャーが重賞初制覇
芝コースに置かれたゲートが開くと、14番カレンロマチェンコ、15番サヴァ、13番ピンクカメハメハといった外枠の馬がまず前に出た。
1番人気のラペルーズは先頭から6、7馬身離れた中団、2番人気のルーチェドーロはその外にいる。
それらの2馬身ほど後ろに坂井瑠星が騎乗する7番人気のスマッシャーがつけている。
前を行くピンクカメハメハが急に内に切れ込み、内埒に激突して鞍上が落馬するアクシデントがあった。その後ろの外にいたスマッシャーは、坂井の手綱の操作でさらに少し外に逃げたが、影響はほとんど受けなかった。
「アクシデントがあったのは残念ですが、馬自身は冷静にこなしてくれました」と坂井。
スマッシャーはそのまま前に有力どころを見ながら3、4コーナーを回り、直線へ。
直線入口で前の馬たちが内に寄ったため、スマッシャーの前が開いた。自分にとって走りやすいストライドで、綺麗な弧を描いて回ってきたスマッシャーは、そこからスムーズに加速する。
ラスト400m付近でサヴァが先頭に立った。
2番手は内のプロバーティオ、直後にゲンパチフォルツァ。
スマッシャーはサヴァから4馬身ほど後ろにいたが、豪快に末脚を伸ばし、1完歩ごとに差を詰める。
ラスト200m地点でもまだサヴァが2馬身ほど前にいる。
しかし、勢いが違った。スマッシャーはそのまま大きなストライドを伸ばし、内のサヴァに並んだと思ったらすぐに抜き去り、1馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。1分34秒4のレースレコードで重賞初制覇を遂げた。
「レース自体すごくスムーズだったので、進路ができてからはもう届くだろうという感じでした。レコードは力のある証ですし、本当に素晴らしい馬だと思います。未勝利戦を勝ったときからここを目標にやってきたので、頑張ってくれました。今日は1600mをこなしてくれましたし、まだまだ伸びしろがある馬だと思います」
昨年の夏、この馬に実戦で初めて騎乗してから6戦目となった坂井はそう話した。
騎乗馬の特性を知り尽くした坂井が自信を持って脚を溜め、見事に爆発力を引き出しての勝利だった。
(文:島田明宏)