劇中のギョーム・カネは僕の分身と『ベル・エポックでもう一度』ニコラ・ブドス監督が語る

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戻りたい過去をもう一度体験できるとしたら、あなたはいつに戻りますか?  『ベル・エポックでもう一度』はそんな夢のような体験を通じて人生を前向きにとらえるようになった主人公の姿を描いています。監督・脚本を担当したニコラ・ブドスが物語のカギを握るアントワーヌを演じたギョーム・カネについて語りました。

観客を楽しませるロマンチック・コメディ『ベル・エポックでもう一度』

『ベル・エポックでもう一度』は2019年にフランス本国で公開するや、当時全世界でスーパーヒットを記録していた『ジョーカー』から興行ランキングの首位を奪って初登場第1位を成し遂げ、国内最高峰の賞となるセザール賞3部門(助演女優賞・オリジナル脚本賞・美術賞)受賞&8部門ノミネートも果たした大注目の作品です。

主人公ヴィクトルは何もかもがデジタル化された社会の中の変化についていけず、かつては売れっ子イラストレーターでしたが、今では仕事を解雇され、妻のマリアンヌにも見放され、冴えない毎日を送っていました。

©2019-LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIO-FRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA

一緒のベッドに入っても、妻のマリアンヌはバーチャルリアリティーの世界を楽しんでおり、ヴィクトルと会話を楽しもうともしません。

そんなヴィクトルが息子から「タイムトラベルサービス」をプレゼントされます。

それは映画製作の技術を応用して依頼者の戻りたい過去を広大なセットに再現する、体験型のエンターテイメントサービス。

ヴィクトルは〈人生を変えた運命の女性と出会った、1974年5月16日のリヨンのカフェ〉を依頼します。

目の前に記憶通りの過去が蘇り、幸せだった日々を再体験したヴィクトルは、見違えるほどイキイキしていき、人生を改めて愛おしく思うようになり、前向きに生きていくようになります。

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売れっ子イラストレーターだったヴィクトルは自らイラストを描いて1974年5月16日のリヨンのカフェを依頼します。

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運命の女性とのひとときを満喫するヴィクトル

本作の監督・脚本・音楽を担当したのは『タイピスト!』などに俳優として出演し、本作が監督2作目となるニコラ・ブドス。

主人公のヴィクトルには、長きにわたってフランス映画界のトップに立ち続けるダニエル・オートゥイユ。
妻のマリアンヌには、国民的大女優ファニー・アルダン。フランス映画界の至宝と称えられる二人の共演が実現。

さらに「タイムトラベルサービス」の発案者アントワーヌを演じたのはギョーム・カネ。俳優だけでなく監督としての手腕も高く評価されており、第32回セザール賞最優秀監督賞を受賞した『唇を閉ざせ』(06/未)など、これまでに5本の長編を発表しています。

ヴィクトルの人生を変えた運命の女性をタイムトラベルサービスで担当したマルゴを演じたのはドリア・ティリエ。ニコラ・ブドスの初監督作品『MONSIEUR ETMADAME ADELMAN(原題)』(17)では監督と共同脚本を手掛けるだけでなく、主人公のサラ・アデルマンを演じ、セザール賞主演女優賞にノミネートされました。

ニコラ・ブドス監督が若き2人のラブストーリーに籠めた想いとは

今回公開されたニコラ・ブドス監督のコメンタリー映像は、ギョーム・カネとドリア・ティリエが演じた、若き2人のラブストーリーについてです。

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「タイムトラベルサービス」の発案者アントワーヌとヴィクトルの人生を変えた運命の女性を担当したマルゴは恋人同士でした。

ニコラ・ブドス監督は次のように語っています。

「本作はフィクションだけど、その一方で登場人物の性格や感情のすべてが僕にとって身近なものである必要があった。ギョームとドリアは、ダニエルとファニーのカップルを知性的ではない形、つまりより肉体的、より病的に映し出す存在でもあるんだ。2人が演じているストーリーは、ある種の監督、特にヌーヴェルヴァーグ派の有名な名前がいくつか頭をよぎるけれど、彼らが女優をカメラのレンズを通してしか愛せないほど、自分で作った虚構と現実とを混同してしまうような“自己陶酔的な転移”というテーマを取り上げるチャンスだった」

またギョーム・カネをキャスティングした理由について聞くと

「上手いからだよ!それと、彼も監督であることも、決め手の一つだった。アントワーンが日々こだわっていることや、苛立ちを爆発させてしまうことなど、どれもギョームにも心当たりのあることだから、それを演技に活かすことができた。また、彼からも僕と一緒に仕事をしたいと言ってくれた。僕は、キャストでもスタッフでも、やる気と熱意があって善意にあふれた人たちに囲まれて仕事をするように努めているんだ。なぜなら、予算や時間が制限された状況で撮影するのは、ストレスがたまるひどく辛いものになることがあるからね。お互いに理解し合い、尊敬し合っていたおかげで、かなり時間を節約することができた。僕にとって、熱意は、すごく重要なものなんだ」

と答えていました。

ただ、クランクイン前に、ギョームは自分がアントワーヌを演じることでニコラ・ブドス監督がイライラするのではと心配していました。

ニコラ・ブドス監督はそれに対して、こう吐露しています。

「僕が自分で演じることもできたからね。でも演技をしているとスタッフと距離ができてしまうんだ。それにすごくパーソナルなテーマを扱っている脚本なので、スクリーン上に自分の姿を加えたくなかったんだ。くどくなりすぎるから。

撮影開始直後から、2人ともアントワーヌというキャラクターを創りあげていくことを心から楽しめた。ギョーム自身の要素もあの役にたくさん入れてくれた。そのおかげでこの映画がセルフフィクションに留まることなく、豊かなものになった。そういう意味で劇中のギョーム・カネは僕の分身なんだ」

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 一方、ギョームはニコラ・ブドス監督の狙いをこう分析します。

「ニコラは2つの美しいラブストーリーというプリズムを通してノスタルジアを描いている。1つは、僕とドリアが演じる興奮と情熱で沸き立っているラブストーリー。そしてもう1つは、その情熱が完全に消え失せてしまったラブストーリーだ。ニコラはその2つの物語を二重螺旋状に絡ませることで、今という時間を決して見失ってはいけないことを僕らに思い出させてくれる」

「この映画は、“昔はよかった”という姿勢で過去を振り返っているだけの作品じゃない。現代にしっかりと根差しているからこそ、非常に魅力的で感動的な作品になっている」

極めて緻密に創り込まれたストーリーを評価し、ニコラ・ブドス監督を“真の指揮者”と絶賛しました。

今回公開されたニコラ・ブドス監督のコメンタリー映像はこちらです。

『ベル・エポックでもう一度』

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監督・脚本・音楽:ニコラ・ブドス
出演:ダニエル・オートゥイユ、ギョーム・カネ、ドリア・ティリエ、ファニー・アルダン、ピエール・アルディティ、ドゥニ・ポダリデス
2019年|フランス|カラー|シネスコ|DCP|5.1ch|115分|字幕翻訳:横井和子|
原題:LA BELLE ÉPOQUE|R15|
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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