『ドラゴン桜』第8話 高橋海人と平手友梨奈の「あまりに美しい涙」…近づく最終章

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ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)の第8話は、親子関係の難しさが描かれた。親の夢が子どもの夢と同じなのは幸せなことだが、進路や人生までは決められない。それは情熱をかけてきた分だけ強い失望であり親としては受け入れ難いだろう。そして、子どもがそれを見越した上で、覚悟を決めて意思を伝える勇気に胸が熱くなった。

 なんて美しい涙だろう。瀬戸(高橋海人/22)にとって楓(平手友梨奈/19)はまぶしくて儚い美しさを持つ存在だ。それは視聴者の誰もが感じたことだろう、楓の強さや真っすぐな生き方に惹かれたし、応援したくなる人物だ。一方で、最終回に向けて徐々に締めが掛かってきているのを感じた。今回の特別講師は東大専科の生徒だと伝えた際の、瀬戸の台詞に聞き覚えがあった。

「俺やるよ。目指せ“脱E判定”もう夏目前だし、四の五の言ってられねえしな」

 そう、3月にリリースされたティザー映像で、桜木(阿部寛/56)が画面の向こうから指を差して断言しいていた「四の五の言わずに東大へ行け!」に重なる。中学生の基礎から勉強を始めた東大専科の生徒が四の五の言っている場合ではないのだが、一筋縄でいかない問題に直面する。それもドラマだ、蛇行しながらも前に進んでいく生徒たちを見守りたい。

■瀬戸と楓の微妙な関係にドキドキ

 楓のターニングポイントになるシーンには必ず瀬戸が関わっている。楓は気付いていないが、瀬戸はい つも遠くから近くから見守っていて、不利な状況にならないように働きかけている。楓がコンビニで万引きしたのを見ていた桜木を学園から追い出そうと嫌がらせを仕掛けたり、桜木の寝泊まりするテントから出火したボヤ騒ぎには放火犯に名乗りを上げ、高校最後の試合会場で気丈に振る舞いながらも寂しく立ち去る背中を見守り、東大模試の会場には待ち合わせをしたのか連れ立って教室に入るし、お昼の時間も一緒にお弁当を食べる。二人の関係がどのようなものなのか、幼馴染みだとか同じ中学だったとか過去設定が明かされていないが、瀬戸は楓が好きだし、楓は仲のいい男友だちに見ているように感じる。

 岩井(西垣匠/21)や小橋(西山潤/22)も楓を名前呼び捨てにしているが、瀬戸に対してはちょっと違う。心配や愚痴をこぼす相手は瀬戸だし、逆に瀬戸の実家に危機が迫っていた時には心配しつつも信じて待つくらいに信頼関係がある。そんな二人の関係にくさびを打ったのが、岩井と小橋が漏らした何気ない言葉だった。桜木と水野(長澤まさみ/33)に対する嫌がらせをしていたことを問いただされた時、「あれは楓のため」「楓がやばいって輝から聞いたから協力した」とサラリと明かしたのだ。

 楓が驚いた顔をして瀬戸を見るのだが、その時の瀬戸の表情にこっちまでムズムズしてしまう。楓のためだと知られて気まずい微妙な表情は、見ているこっちまで気持が伝染してきた。楓はどう思っただろうか…、微妙な空気を打ち消したのは楓の携帯に着信があって場が転換したからだ。それは東大を目指すことをまだ伝えることが出来ていない父親からの電話だった。

■楓の強さと美しさに惹きつけられる

 日本ユニシスのバドミントン部は、現実の世界でも実業団としてトップレベルだ。ここで行われる特別練習に参加が許されるというまたとないチャンスが巡ってくる。ただし、期間は1ヶ月の厳しい特訓で、これでは東大受験のネックになるのは分かり切ったことだった。

  膝の怪我でバドミントンの強豪大学への推薦も消え、最後のインターハイへの出場さえも断念せざるを得ないことに、両親を失望させてしまったことに負い目を感じている楓に、特訓を断る勇気はなかった。楓の両親は自分たちの夢、オリンピック出場を楓に託してきた。それを楓も望み、幼少のころからバドミントン一筋でここまできたのだ。

 どんな日でも両親が付き添い、何よりもバドミントンが優先されてきた日々を積み重ね、全国レベルの選手になるまで成長したのだ。怪我によってバドミントンが続けられないのはつらいだろう、しかしそれ以上に両親の期待に応えたい気持ちの方が強いのに泣けてくる。過労と睡眠不足で倒れるまで、何とか同時進行できないか精一杯頑張っていたくらいだ。どっちつかずの中途半端だったとは思えない、両方に全力だったと言えるだろう。

 それでも、桜木が言うように「お前にはお前の人生がある」のだ。これについては、楓もとうに分かっていたはずで、そうでもなければ東大へ行きたいという意志は芽生えていなかっただろう。楓の葛藤と複雑な感情をしっかり描いたことで、決意を固めた楓の言葉が強いものになった。親子の縁を切る覚悟で両親に自分の意思を伝える楓は強くて美しかったし、少し離れたところから見ている瀬戸が流した涙は、視聴者全員が流した涙と同じものだった。

■瀬戸が泣く時はドラマのメインシーンになる

 瀬戸が泣くところは見たくない、でも見たい。

 瀬戸が涙を流す時は、必ずドラマの山場になる。瀬戸屋が危機だった時に見せた涙は、借金返済という重くて苦しい事実と姉が無理して笑うのを見たくないという強い思い。勉強をしたいという気持ちが芽生えて伸び始めていた時期だったし、両親を亡くしているハンデが重く圧し掛かって潰れてしまいそうだった。それを救った桜木が立ち去った後に見せた安堵の表情と涙も美しかった。

 今回は楓が両親に自分のやりたいことと将来を伝えたシーン。父親に頬を叩かれてもひるまずに、知識だけでなく人生で必要なことも教えてもらっているし大切な仲間もできたと伝えた。ここで流した瀬戸の涙が美しかった。

 左目から一本の筋がツーッとほほを伝って流れたのは女優か子役と見紛う程だった。また、長回しで撮影したシーンだったのだろう、涙が喉の辺りまで濡れていたのがまたきれいだと思った。これは演じる高橋が持つ魅力の一つで、泣きの芝居が本人の涙として見えるということだ。激しい感情を見せながら泣くのも、静かに泣くことも出来るのは魅力的だし、泣かせてみたいとさえ思えてくる。

 そして次回予告でも、瀬戸が泣いているではないか。見るからに蜜状態で夏休みの勉強に集中している東大専科の生徒たちがあまりに可愛くて、全員が合格してほしいと強く願う気持ちで胸がいっぱいになった。これからどうなるのだろう…、次回を楽しみに待ちたい。
(文・青石 爽)

『ドラゴン桜』は、2005年7月期に放送され社会的ブームを巻き起こした同名ドラマの続編となる新シリーズ。原作は『モーニング』(講談社)にて連載中の三田紀房氏による『ドラゴン桜2』で、前作ドラマの15年後のストーリーをオリジナル展開で描く。偏差値32の龍海学園は経営破綻寸前にあり、これを打開すべく学校再建のエキスパート弁護士・桜木建二(阿部寛/56)による再建を図るが、理事長の龍野久美子(江口のりこ/40)は進学校化に反対、生徒は姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝(高橋海人/22)、バドミントン全国トップレベルの選手である岩崎楓(平手友梨奈/19)、優秀な弟に劣等感があり見返してやりたい天野晃一郎(加藤清史郎/19)など悩みや問題を抱えた生徒たち。桜木の教え子であり弁護士になった水野直美(長澤まさみ/33)の奮闘にも注目の学園ドラマである。

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  • 6/19 19:40
  • 日刊大衆

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