【地上波洋画劇場】アメコミ映画の礎を築いた先駆者的作品『バットマン』(1989)

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今宵の地上波洋画劇場は、鬼才ティム・バートンが手掛けた元祖DC映画『バットマン』の魅力を紹介!未だマーベル・シネマティック・ユニバースはおろか、「ダークナイト・トリロジー」やサム・ライミ版『スパイダーマン』も登場していない時代に作られた、アメコミ映画の先駆者的作品である。

【地上波洋画劇場】とは、地上波洋画放送全盛の時代とは異なり、いまやTVで映画を楽しむ機会が減ってしまった全日本人にもう一度、映画の楽しさを再発見してもらいたい一心で始まった企画である。
ここでは、「午後のロードショー」や「金曜ロードSHOW!」、「土曜プレミアム」などで放送が予定されている作品の見どころや鑑賞の際のポイントを紹介していく。

今宵の【地上波洋画劇場】で取り上げる作品は、「午後のロードショー」にて2021年6月15日に放送予定となっている、1989年公開の映画『バットマン』。

アメコミの老舗DCコミックスが誇る「バットマン」とは?

アメコミ界の老舗ブランドDCコミックスを代表する「バットマン」は、1939年に、ボブ・ケインとビル・フィンガーの手によって生み出され、ディテクティブ・コミックスの1939年5月号にてデビューを飾った。

Batman Vol.1

https://dc.fandom.com/wiki/Batman_Vol_1

1940年には単独作品『バットマン』が発刊され、今なお愛され続けるシリーズがスタート。
デビュー当初はシリアス傾向の作品であったが、しばらくしてコメディ路線へと路線変更、さらにその後はシリアス路線に戻るなど、幾度となく雰囲気を変え、ファンに新鮮味を与えてきた。

1966年には『怪鳥人間バットマン』としてTVシリーズ化もされ、コミックスを読まない視聴者からの支持も集め、1986年には鬼才フランク・ミラーが手掛けた『バットマン:ダークナイト・リターンズ』で、その人気は最高潮に達した。
実写映画としては、1989年にティム・バートン監督による映画『バットマン』が公開され、『バットマン リターンズ』(1992)、『バットマン フォーエヴァー』(1995)、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)と2、3年のスパンで新作映画が続々と公開。
一時の休息期間を経て、2005年からはクリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト・トリロジー』が公開となり、その時代その時代で、アメコミ映画の在り方を変える役割を果たしている。
そのほか、『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ジャスティス・リーグ』(2017)といったDCエクステンデッド・ユニバースでも活躍し、2022年には新たな単独映画『ザ・バットマン』の公開を控えている。

ティム・バートン版の『バットマン』はアメコミ映画界に革命をもたらした一本

『バットマン』(1989)

https://www.imdb.com/title/tt0096895/mediaviewer/rm1225693184?ref_=tt_ov_i

今回、ここで紹介させていただく作品は、1989年に公開されたティム・バートン監督作『バットマン』だ。
物語の舞台は、欲望渦巻く混沌とした街・ゴッサムシティ。
日々、凶悪犯罪が横行するこの街に、一人の救世主が現れる。
コウモリをモチーフにしたスーツに身を包み、暗闇の中から颯爽と姿を現す、バットマンだ。
その正体は、大富豪ブルース・ウェイン(マイケル・キートン)で、彼は幼き頃に両親を強盗に殺された過去を持っており、そのトラウマから抜け出すために、彼はバットマンとなったのだ。
一方、ゴッサムの裏社会を牛耳るマフィアとして有名なグリソムの右腕であるジャック・ネーピア(ジャック・ニコルソン)は、ある日、グリッソムにハメられ、化学工場で警官隊やバットマンと交戦。
その最中に、化学薬品の液槽に転落してしまったことから、怪人・ジョーカーと化してしまう。
復讐に燃えるジョーカーは、手始めに次々と裏社会の大物たちを狂気に満ちた‘‘笑顔’’で殺害してゆくのだった・・・。

『バットマン』(1989)

https://www.imdb.com/title/tt0096895/mediaviewer/rm411171328?ref_=ttmi_mi_nm_sf_27

1989年に公開された『バットマン』は、その後のアメコミ映画全盛期へと向けた礎を築いた作品である。
当時のアメコミ映画は「リアル指向」にまさに切り替えようとしていた。そんな中で、ダークな世界観と深いメッセージ性を孕んだ作品に定評のあったティム・バートンが監督として起用されたことにより、かなり説得力のある作品に仕上がったのだ。
まるでノワール映画を観ているかのような映像表現とバートンらしいダークファンタジー的な部分が相まって、見事に架空の町であるゴッサムシティがそこに存在しているのだ。
‘‘漆黒のヒーロー’’と‘‘白きヴィラン’’の対決。
外連味に溢れたその世界観はアメコミ映画のあるべき姿を体現しており、後世のアメコミ映画に多大な影響を及ぼしたのである。

ジャック・ニコルソン演じるジョーカーの魅力

本作でバットマン役に扮しているのは、『ビートルジュース』(1988)に続き、ティム・バートンとのタッグとなった、マイケル・キートン。

『バットマン』(1989)

https://www.imdb.com/title/tt0096895/mediaviewer/rm3989089025?ref_=ttmi_mi_nm_sf_13

製作開始当初は、原作コミックスとあまりにも似つかないキートンがバットマン役に起用されたことで、ファンから批判が続出したと言われているが、映画が公開されると共に、その不満を払拭。
歴代バットマン俳優の中でも、その影を抱えた演技は高く評価されている。
のちのヴァル・キルマーやクリスチャン・ベール、ベン・アフレックらと比べると、圧倒的に筋肉量という点では劣るのだが、ブルース・ウェインの内面を深く掘り下げた表情の数々は素晴らしいの一言に尽きる。

そんなバットマン=ブルース・ウェインと相対する悪役のジョーカー役に扮するのは、名優ジャック・ニコルソンだ。

『バットマン』(1989)

https://www.imdb.com/title/tt0096895/mediaviewer/rm4173638401?ref_=ttmi_mi_all_sf_19

当時はアメコミ映画にハリウッドの第一線で活躍する俳優が出演するなんてことは考えられなかった。
しかし、名実共にハリウッドの頂点に君臨するニコルソンが『バットマン』に出演し、あまりにも魅力的なジョーカー像を築き上げたことから、時代が大きく変わっていくのだ。
ジョーカーと言えば、2008年の『ダークナイト』で映画史にその名を刻んだヒース・レジャーや2019年公開『ジョーカー』でタイトルロールを演じたホアキン・フェニックスなど、どちらかといえばシリアスな残虐性を纏ったヴィランと思われがちだ。
しかしながら、ニコルソン版のジョーカーは、極悪非道な残虐性を発揮しながらも、どこか憎めないキャラクターとして存在している。
その存在感は可愛らしさすら感じさせるもので、演じるニコルソンの陽気な演技もまた素晴らしい。
‘‘シリアスすぎない’’ジョーカーもまた非常に魅力的なのである。

アメコミ映画の在り方を変えた、傑作DC映画『バットマン』。
この作品がなければ、マーベル・シネマティック・ユニバースの大ヒットはあり得なかったと言っても過言ではない。
それほどまでに、後世に与えた影響というのは絶大なものである。

DC映画『バットマン』は、2021年6月15日「午後のロードショー」にて放送!

(文・構成:zash)

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