デーブ・スペクター「YouTubeはつまらないものばっかり」どこまでもテレビにこだわる理由

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 日本のテレビ業界に長くいますけど、常に楽しさが感じられる仕事は、「コメンテーター」ですね。それも、生放送の情報番組が一番です。

 政治や経済から、芸能やスポーツ、天気まで、あらゆるネタを扱うじゃないですか。だから僕も、日々の情報収集が不可欠。自宅では5台のモニターを点けっぱなしにして、日本のテレビ各局を見ていますし、毎日、国内外の新聞を10紙以上読んでいます。まあ、日本の新聞はネットで読むことが多くて、実際に手に取るのは『東スポ』くらい。やっぱり『東スポ』は紙じゃないと落ち着かない。

 ただ、今のテレビは、生放送の番組以外、ドラマにしてもバラエティにしても、内容的には低調になっている気がします。

 広告収入が減っているから予算も限られているし、コンプライアンスという概念が定着してからは、みんなクレームを恐れて、番組作りで冒険できなくなっているんです。

 そんな中、ネットフリックスやユーチューブといった動画配信が一気に普及して、自分が見たいものをいつでも選べるようになった。テレビを見ない人が増えたわけです。

 だからといって、僕は、ユーチューブで何かを作りたいとは思わないんですよ。だって、スケールが小さいじゃないですか。

 基本的に作り手は、ほとんど素人。安い機材を使っていて、内容もつまらないものばっかり。最近ようやく、大物芸能人がプロのスタッフとともに参入するケースが増えましたけど、動画を見るとクオリティが圧倒的に違いますよね。

 テレビ局には、優秀なスタッフが数多くいます。しかも、何十年にもわたる映像の資料を持っているから奥が深いし、海外の主要都市には支局まで持っている。人気が落ちているから軽く見られがちですけど、テレビには底力があるんですよ。だから、スケールもクオリティも全然違うユーチューブやSNSと対等に扱うのはいいと思えない。

 僕は、情報収集の一環で、メイクの人とかタクシーの運転手とか、テレビ関係者ではない人たちに、いろいろと話を聞きます。すると“テレビ離れ”といわれながらも、まだテレビを好きな人は多くいるんですね。

■テレビ局の人たちには“バンドやろうぜ”という言葉を贈りたい

 だからこそ、今、テレビ局の人たちには“バンドやろうぜ”という言葉を贈りたい。昔、『BANDやろうぜ』という音楽雑誌があったんですが、この言葉は僕のモットーでもあるんです。バンドをやったことはないけど(笑)。

 みんなが集まって、自分たちが目指すものを、ガムシャラになって生み出していく。そのとき、周りのことなんて、気にする必要はない。

 それは、テレビ界にも同じことが言えて、1980年代や90年代のテレビは、まさにそうだったんです。

 特に、フジテレビは、「楽しくなければテレビじゃない」をキャッチコピーにして、『オレたちひょうきん族』という、ぶっ飛んだバラエティ番組を作っていた。出演者だけではなく、プロデューサーやディレクターにも面白い人たちが集まっていて、誰もが“視聴者を楽しませたい”という一心だった。そのためなら“他のことはどうでもいい”という感じでしたよ。

 僕は、子どもの頃からテレビが大好き。仕事でもずっとテレビに関わってきましたし、自分自身、生粋の「テレビ人」だと思っています。もしかしたら、心臓は真空管なのかもしれない(笑)。

 テレビがなくなると悲しいので、今こそ“バンドやろうぜ”という気持ちを持って、テレビの底力を見せつけてほしいんですよね。

デーブ・スペクター(でーぶ・すぺくたー)
アメリカ・シカゴ生まれ。ABC放送のプロデューサーとして来日後、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)出演を機に、独特のユーモアや的確なコメント、豊富な知識などが注目され、ブレイクを果たす。以後、拠点を日本に移し、タレント、コメンテーター、放送作家など、テレビ業界のさまざまな分野で活躍。“ダジャレを発するアメリカ人”としても人気を集め、毎日、ダジャレを中心に更新される自身のツイッターは、フォロワー数187万人を超える。

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  • 6/14 17:00
  • 日刊大衆

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