髪の毛で遊べないハゲは、ヒゲやメガネでおしゃれを楽しむべし

 海外では“色気”としてもてはやされる薄毛も、日本では馬鹿にされることが多い。当事者も隠すことばかり考えて、見せることには無頓着だ。しかし、そうした中にも魅力的なハゲとして生きる者がいる。ヒゲやメガネを生かしたファッションスタイルで、“ダメハゲ”から“イケハゲ”になる術を探っていく。

◆髪の毛で遊べないハゲはヒゲで遊べばいい

「頭が薄くなれば、のっぺり顔の日本人は印象に残らない顔立ちになります。でも特徴が薄くなるからこそ、ヒゲで遊ぶことで新しいイメージを打ち出せるのです」

 ヒゲデザインのプロ集団「ヒゲ倶楽部」のリーダーである丸山尊人氏も、かつてはハゲだった。

「理容室を開業した当初、お客さまがほとんど来ないストレスから円形脱毛症だらけになり、スキンヘッドにするしかありませんでした。髪形にこだわれず、代わりにヒゲで遊び始めたのが興味を持ったきっかけです。そこから研究を続けた結果、今ではその道のスペシャリストになることができた。髪を失い、ヒゲへのこだわりを貫いたからこそ自信に繫がったんです」

 ハゲを生かしたヒゲスタイルをつくる上で、顎ヒゲは絶対に欠かせないという。その理由とは。

「頭頂部からもっとも離れた場所にある顎。ここにヒゲがあることで他人の視線を髪の毛から逸らし、そのデザインが持つイメージを強く印象づけられます。また、トリミングによって濃淡、凹凸を整えることで平面的な顔に立体感を生むことも重要です」

◆ハゲにおすすめのヒゲスタイルとは

 清潔感を保つ意味もあるが、日本人は毛量が少ないので短く揃えるのが鉄則。そして数あるデザインのなかで、男の色気を感じさせたいならアンカースタイルがおすすめ。

「『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジョニー・デップが生やしていたヒゲの形です。セクシーさではなく、知的な雰囲気を醸し出したいなら、クリス・ペプラーのようなカコミ。ほかにも、貫禄や威厳を放つリンカニックや、男らしいワイルドさを伝えるヴァンダイクなんかもインパクトはある。他人の視線をヒゲにクギづけできます」

 ハゲが愛でる毛はヒゲ。さまざまなヘアアレンジを楽しもう。

1:ヴァンダイク

男らしくワイルドに見せることができる。口と顎のヒゲを繫いだスタイルがフルベアードで、ミステリアスな空気を漂わせる

2:アンカースタイル

大人の色気を醸し出すデザイン。刈り込まれた唇下のヒゲと、船の錨のように尖った山羊ヒゲにより構成されている

3:リンカニック

貫禄と威厳を放つ。毛量の少ない人は、短く切り揃えたほうがおしゃれに。特に、四角い輪郭の男性にハマるデザイン

4:カコミ

清潔感もあり、知的な男性をにおわせる。毛の量にかかわらずつくれて、口ヒゲの形を変えていろいろと遊ぶことができる

◆ハゲは白いキャンバス。派手なメガネで若づくりを

「ハゲは白いキャンバスのように自由である」と語るのは、メガネ専門スタイリストの森一生氏。ハゲはメガネ向きだという。

「メガネ選びで難しいのは、髪形とのバランスを取ること。でも、ハゲの人は頭髪の印象が薄いので、髪形が邪魔になりづらく、似合うメガネの幅が広いのです。特に丸刈りやスキンヘッドはなんでも似合いますよ。髪の毛がない分、メガネのアイデンティティが前面に出ます。知的、優しそう、オシャレっぽい、クリエーター風など、メガネのイメージが自分の印象になると思って選んでください」

 ハゲを生かすメガネ選びのコツは、なりたい自分のイメージに近いメガネを見つけることだとか。

「人は見慣れたものを『似合う』と思い込むので、顔に変化をもたらさない地味なメガネを選びがちです。しかし、印象の薄いメガネだと、顔より頭部に視線が集まり、老けて見えます。思い切って、太いフレームのメガネを選びましょう。日常的に帽子をかぶる人なら、帽子と合わせてもうるさくならない細フレームの黒縁がおすすめです」

 老けて見られがちなハゲも、メガネのもたらす若見え効果によってリカバリーが可能だ。

「メガネのフレーム効果を味方につけ、目元をはっきりと強調すると若々しく見えます。ハードルが高く思われがちですが、派手なメガネはフレームの印象が強い分、実はどんな人にも似合いやすい。自然と視線も顔に集まります」

 派手なメガネをかければ、ハゲを視線からかわしつつ、若々しく見せられる。一石二鳥だ。

◆ハゲを生かすメガネ選びのコツ

1:スキンヘッドには個性

髪形が干渉しないので、攻めた直線的なデザインの個性的なメガネが似合う。黒が強すぎるという人は肌馴染みのいい茶色系を。

2:薄毛には太フレーム

頭が寂しい分、メガネはフレームの印象が強いものを。太フレームを選ぶと若く見える。視線をメガネに集めることで枯れ感をカバー。

3:帽子に合わせるなら黒縁

帽子とケンカしない、控えめなデザインがおすすめ。ただし、細フレームは、黒縁など目元をはっきりさせるデザインでないと老けて見えるので注意。

【丸山尊人氏】

BARNEYS BARBER'S SHOPの代表責任者および、理髪店Bコレクターの代表。ヒゲデザインのプロ集団「ヒゲ倶楽部」のリーダーを務めている

【森 一生氏】

メガネに特化したスタイリスト。ドラマ、映画、広告などでメガネのスタイリングを多数手がけ、メガネブランド「Re:See」のプロデューサーを務める

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[イケてるハゲの極意]―

2021/6/14 15:52

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