実現しなかった【ジェームズ・キャメロン監督】の『X-MEN』にまつわる真実7選
1984年にプロジェクトが開始
「X-MEN」はマーベル・コミックスの人気作で、遺伝子の突然変異で超人的パワーを持って生まれたミュータントの一団“X-MEN”が、マグニートをはじめとする悪に立ち向かっていく姿が描かれます。
「X-MEN」シリーズが初めて映画化されたのは2000年ですが、最初に企画が立ち上がったのは1984年だったとのこと。それから5年後となる1989年に、「X-MEN」を映画化するプロジェクトがジェームズ・キャメロンの元へ持ち込まれました。監督はプロデューサーとして映画版に携わる予定で、大手映画スタジオから資金を獲得するために先頭に立ち、映画化へ向けて動き始めたそうです。
『エイリアン』を大ヒットさせたキャメロンに白羽の矢が立った!
では、それまでアメコミ作品とは無縁だったジェームズ・キャメロンが、なぜ「X-MEN」の映画版で声が掛かったのでしょうか?
キャメロンの元へ「X-MEN」の話が持ち込まれた1989年といえば、監督がメガホンを取った『エイリアン2』(1986年)が世界的に大ヒットした後で、キャメロンはハリウッドで最も熱い監督の一人となっていました。
その数年前となる1984年には『ターミネーター』がサプライズヒットとなり、『エイリアン2』でキャメロンはハリウッドでの地位を確固たるものにしたため、マーベルは「キャメロンになら任せられる!」と思ったようです。
映画のタイトルは『Wolverine And The X-Men』
20世紀FOXが製作した映画シリーズ第1弾となる『X-メン』が2000年に公開された後、スタジオはヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン/ローガンが一番人気が高いキャラクターだと知ったとのこと。
映画の公開時にハリウッドでヒューは無名だったため、FOXも彼の人気爆発は意外だったのかもしれませんね。その人気ぶりを受け、スタジオはウルヴァリンを主人公にした単独トリロジーとなる映画、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)と『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)、『LOGAN/ローガン』(2017年)を製作しました。
ファンに応えたFOXに対し、ジェームズ・キャメロンはどのキャラクターが最も人気が高いか市場調査をする何年も前に、ウルヴァリンを主人公にした映画版を製作しようと考えており、タイトルは『Wolverine and the X-Men』になる予定だったそうです。
ジェームズ・キャメロンの元妻が監督候補だった!

BEVERLY HILLS, CA - NOVEMBER 09: Director Kathryn Bigelow attends the BAFTA Los Angeles Britannia Awards at The Beverly Hilton Hotel on November 9, 2013 in Beverly Hills, California. (Photo by Jason LaVeris/FilmMagic)
マーベルから声を掛けられ、映画版「X-MEN」に携わることになったジェームズ・キャメロンは自分でメガホンを取るつもりはなく、その当時に彼の妻だったキャスリン・ビグローに監督の座を委ねるつもりだったのだそう。
80年代に女性監督は数少ない存在でしたが、ビグローはスタイリッシュなホラー映画『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987年)で監督&脚本を務めて注目されていました。その後、監督はキアヌ・リーヴスとパトリック・スウェイジが共演した犯罪アクション映画『ハートブルー』(1991年)を監督。
女性とは思えない、激しいアクションが炸裂するスリリングな演出が高い評価を受けていただけに、ビグローがメガホンを取り、キャメロンとタッグを組むはずだった『Wolverine and the X-Men』が実現せずに本当に残念…!
そして、ビグローは戦争映画『ハート・ロッカー』(2008年)でアカデミー賞監督賞に輝いた初の女性に。これまでにビグローはアメコミ映画でメガホンを取っておらず、将来的に彼女がスーパーヒーロー映画を手掛ける日が来るのか注目しておきたいと思います。
ボブ・ホスキンスがウルヴァリン役に決定していた!

NEW YORK - MAY 5: Actor Bob Hoskins attends the special screening of "Unleashed" at Loews 19th Street on May 5, 2005 in New York City. (Photo by Thos Robinson/Getty Images)
2000年に公開された『X-メン』から始まった映画シリーズでウルヴァリン/ローガンを演じたヒュー・ジャックマンは、この役によりハリウッドで押しも押されぬ大スターに!
映画の観賞中は、彼の長身&鍛え抜いた肉体から目が離せないほどでしたが、ジェームズ・キャメロンが製作する予定だった『Wolverine and the X-Men』では、168センチと超小柄な体型で知られるボブ・ホスキンス(『スノーホワイト』)が主演するはずだったのだとか。
映画シリーズのファンは、ウルヴァリン=ヒュー・ジャックマンのイメージが強いと思いますが、コミックスのローガンは意外にも小柄なガッチリ体型で、どちらかというとボブの容姿の方がヒューよりも近いと言えるかもしれません。

アンジェラ・バセット
BEVERLY HILLS, CA - JANUARY 12: Actress Angela Bassett attends HBO's Official Golden Globe Awards After Party at The Beverly Hilton Hotel on January 12, 2014 in Beverly Hills, California. (Photo by FilmMagic/FilmMagic)
そして、映画シリーズでハル・ベリーが扮したストーム役には、マーベル映画『ブラック・パンサー』(2019年)やDC映画『グリーン・ランタン』(2011年)などで知られるアンジェラ・バセットに決まっていたそうです。
映画のためにコミックスでジーン・グレイを甦らせようとしていた!
ジェームズ・キャメロンは、自身が手掛ける『Wolverine and the X-Men』でウルヴァリンとサイクロプスと深い関係があり、マーベル・ユニバースにおいて最も重要なミュータントであるジーン・グレイを登場させたいと思っていたとのこと。
ところが、その前に原作「X-MEN:ダークフェニックス・サーガ」で起きた出来事によりジーンが命を落とし、コミックスの正史シリーズで彼女は登場しなくなっていました。
そこで、原作に関わったクリス・クレアモントはマーベルの編集長だったジム・シューターに連絡を取り、映画の公開に間に合うようコミックスでジーンを甦らせることを話合ったそうです。
その後にコミックスでジーンが復活!
ちなみに、その後にジーンはコミックスで復活していて、実は死んだはずの彼女の正体は、“フェニックス・フォース”という宇宙の超エネルギー生命体が自身をジーン・グレイだと錯覚し、ジーン=フェニックスと名乗っていたことが明らかに。こうして、本物のジーンは生きて救出され、X-MENの一員としてカムバックしました。
そして、映画シリーズでも第1作からファムケ・ヤンセン演じるジーンが登場しており、物語の軸となる重要な役割を果たして活躍。その後、X-MENの誕生を描いた『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)で始まった、新トリロジーの最終章となる『X-MEN:アポカリプス』(2016年)と『X-MEN:ダーク・フェニックス』では、ソフィー・ターナー(『ゲーム・オブ・スローンズ』)がジーン・グレイ/ダーク・フェニックスを演じました。
キャメロン版の『X-MEN』が実現しなかった理由は…?
では、主演俳優も決定して着々と準備が進んでいた『Wolverine and the X-Men』の映画化は、なぜ実現しなかったのでしょうか…!?
なんでも、映画を製作するはずだったスタジオのカロルコ・ピクチャーズが財政難に陥って問題が発生し、プロジェクトが進まなくなったことが大きな原因に…。
そんななか、ジェームズ・キャメロンがR指定の映画版「スパイダーマン」に関心を持ち始めたことで、最終的に『Wolverine and the X-Men』に終止符が打たれてしまいました…。
そして、「X-MEN」から「スパイダーマン」へ乗り換えたものの、こちらも結果的に映画化されないまま頓挫しており、もしかしたらキャメロンはアメコミ作品に縁がないのかもしれませんね…。
その後、サム・ライミがメガホンを取った映画『スパイダーマン』トリロジーが誕生したのは、ご存じの通りです。
関連リンク
- 6/12 20:00
- 映画board