海外では“色気”の象徴。自分らしく薄毛と向き合う「イケハゲ」を直撃
海外では“色気”としてもてはやされる薄毛も、日本では馬鹿にされることが多い。当事者も隠すことばかり考えて、見せることには無頓着だ。しかし、そうした中にも魅力的なハゲとして生きる者がいる。そんな彼らの声を聞きながら、“ダメハゲ”から“イケハゲ”になる術を探っていく。
◆「薄毛になることに悲壮感はなかった」
技術系の職に就く団体職員ののぶながさん(仮名・49歳)は子供の頃からハゲることを予期していた。
「中学生の頃からM字気味だった私にとって、O字の形に薄くなっていた親父は将来の自分の姿だと思っていました。ただ、スーツを着こなす彼は凛々しく男らしかった。なので、薄毛になることにそこまで悲壮感はありませんでした」
◆ヘア事情に合わせてスタイルを柔軟に変える
だが、薄くなる髪とどう向き合うべきか。高校生になると、そうしたモヤモヤ感が心に芽生え始めたという。そんなときに出合ったのが、三島由紀夫のエッセイ集『行動学入門』に収録された「おわりの美学」に出てくる次の一節。
〈個性とは何か? 弱味を知り、これを強味に転じる居直りです〉
「ハゲを個性にすると、植毛や育毛ができなくなるように、画一的な人間になる気がしました。だから、強み・弱み、そのどちらにも属さない“特徴”にすれば、そのときの環境に応じて自分らしくカスタマイズできると考えたのです」
◆自分らしくハゲと向き合う
会議中のひとコマを収めた写真で、頭頂部の地肌が露わになっているのを知ったのが20代半ば。
そこからトップにボリュームが残っていた40歳手前まではオールバックを続けたが、『鉄腕アトム』のお茶の水博士のような髪形になり始めたのを機に、現在の髪形に。決まりすぎるスキンヘッドにはせず、コロナ禍になる前は理容室で2㎜の長さで抜け感のある丸刈りにしていた。
「『ヒゲ・ハゲ・メガネの人』と親近感を持ってくれる人がいる一方で、『薄毛のくせに』と小バカにする人もいました。ハゲを通して、多くの人に出会い、さまざまな考え方に触れられたことで、思考力と精神力が鍛えられました」
<取材・文/週刊SPA!編集部>
―[イケてるハゲの極意]―