おすすめコンビ監督8組とおすすめ映画13選
ジャスティン・ベンソン&アーロン・ムーアヘッド
一風変わったSF作品を多く手掛けていることで知られる、ベンソン&ムーアヘッドは今大注目のコンビ監督。
人里離れた山小屋で親友二人が奇妙な現象に襲われる『キャビン・イン・ザ・ウッズ(原題:Resolution)』が話題を呼び、その姉妹版ともいうべき『アルカディア』では監督二人が兄弟役で共演。互いの関係性を示すような興味深い役柄で、コンビの絆も感じさせる作品になっています。
アルカディア
かつて、カルト宗教の村で暮らしていた兄弟。逃げ出して平穏な生活を続けていた二人は忌まわしい記憶との決別を胸に、再び村を訪れる。しかし再会した住民たちの見た目はあの時とまるで変わらず、不気味な出来事にも遭遇。この村で一体何が起きているのか……。
終始不吉な空気が漂うコズミックホラー風味のオカルトSF。
シンクロニック
今年「未体験ゾーンの映画たち2021」で日本公開された最新作。
管轄内での不審死が相次ぐことに疑問を抱いた救急隊員。やがて事件と関わりのあるドラッグの存在が浮き彫りになる。なんとそれはタイムトラベルが可能なドラッグだった!
相棒の娘がドラッグのせいで行方不明になり、彼女を探すために救急隊員は時空を越えるが……。
主人公をアンソニー・マッキー、その相棒をジェイミー・ドーナンが演じています。男同士の友情ドラマとしてもアツい!
フィル・ロード&クリストファー・ミラー
現在、コンビ監督を代表する一組と言っても過言ではない、この二人。『くもりときどきミートボール』(監督・脚本)や『スパイダーマン・スパイダーバース』(製作・脚本はロード)などのアニメ作品も多く手掛けています。
実写作品ではチャニング・テイタムとジョナ・ヒル共演のコメディ『21ジャンプストリート』 があります。
ハチャメチャなのにぐっとくる、笑って泣けるようなコメディ作品を得意としています。
レゴ・ムービー
ブロックのおもちゃ「レゴ」をモチーフにしたCGアニメーション。
「お仕事大王」に支配されたレゴの世界「ブロックシティ」を救う救世主に選ばれたエメット。しかし彼はどこにでもいる平凡な青年で……。
「レゴ」である必然性にぐっとくる、大人にも子どもにも観て欲しいファンタジーアドベンチャーです。
ジーク・アール&クリストファー・コールドウェル
長編作品はまだ一作ですが、今後の活躍が期待されるコンビ監督のうちの一組。
独自の世界観を持ったSF作品を作りあげています。
プロスペクト
2014年に製作した短編をもとに長編映画化したSF映画。
有毒な大気の惑星で一攫千金を狙い鉱物を採取する父子。しかし、ならず者に襲われ父親が死んでしまう。娘は成り行きからそのならず者と行動を共にすることになるが……というサバイバルSF。
きらめく塵が漂う惑星という舞台設定やレトロなガジェット、音楽の使いどころにセンスが感じられる一作です。個性的な世界観が素晴らしい。
Taste(2019)
ソニーのスマートフォン、Xperiaのプロモーションとして作られた短編。女性シェフが世界中を旅しながら「未知の味」を追い求める姿が描かれます。奇妙なガジェットと設定に、監督の持ち味が発揮されています。
その他の作品として、宇宙人に遭遇することを夢見る少女を描いた情緒的なSF短編『In the Pines』などがあります。
ダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン
同じ名前を持つコンビ監督、シャイナート&クワン監督。
二人が「ダニエルズ」名義で監督した長編デビュー作『スイス・アーミー・マン』は、ダニエル・ラドクリフが死体役という異色の映画で話題を呼びました。
スイス・アーミー・マン
自殺を試みようとした男と喋る「万能死体」の珍道中を描く、ファンタジックなサバイバル映画。
ポール・ダノが主人公を演じています。
シャイナート監督は2019年に単独で、実話をもとにしたブラックコメディ『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』を製作。
人を選びますが刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる、そんな作品を作る人ですね。
現在二人は、A24配給のSF映画『Everything Everywhere All at Once』をミシェル・ヨー主演で製作中。
監督いわく「50歳くらいの中国人女性が税金を払えない、みたいな作品」とのこと。まったくもって内容が想像のできない(笑)。楽しみ!
ブレット・ピアース&ドルー・T・ピアース
コーエン兄弟やルッソ兄弟、ウォシャウスキー姉妹など、きょうだいで作品を手掛けるコンビも多いですね。
同じ環境で育ってきたからこその方向性の一致や役割分担など、絶妙なコンビネーションが見られます。
そんなきょうだい監督の中でも個人的に注目しているのがブレット&ドルーのピアース兄弟。父親は『死霊のはらわた』のSFXアーティスト、バート・ピアースです。
長編デビュー作の『ゾンビヘッズ 死にぞこないの青い春』はゾンビ映画の新たな傑作。
サム・ライミも絶賛した2020年の『ウィッチサマー』はコロナ禍で異例のヒットを記録しました。
ゾンビヘッズ 死にぞこないの青い春
半ゾンビの男二人組が恋人へのプロポーズのために旅に出るロードムービー。
ゾンビネタに笑いながらも、意表をついたオチにほっこりホロリ。新時代ゾンビコメディの新たなマスターピースです。
ウィッチサマー
離れて暮らす父親と夏休みを過ごすことになった少年は、隣人の様子に異変を感じる。奥さんが記憶を奪う魔女だと気づいた少年は、恐怖に巻き込まれていき……。
『未体験ゾーンの映画たち2021』でも公開された魔女ホラー。ゾンビコメディの次にここまで王道なホラー作品を撮るとは……。その引き出しの多さに驚く。
ほかのきょうだい監督といえば、ドイツ生まれのオーストラリア監督、ピーター&マイケル・スピエリッグ(『デイブレイカー』など)、香港生まれのオキサイド&ダニー・パン(『リサイクル死界』など)がいます。
ともに双子で映画製作に携わっているコンビ監督です。
ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ
フレンチホラー界を代表するモーリー&パスティロは、フレンチスプラッターの傑作『屋敷女』のコンビ。
グロテスクな中に美意識を感じさせる作風が特徴。
夫を喪った妊婦の女性が自分に襲い掛かってくる不気味な女と攻防を繰り広げるスプラッターホラー。女を演じるベアトリス・ダルがめちゃくちゃ怖いです。
『インサイド』のタイトルでリメイクもされています。
2021年7月には残酷描写に手を加えていない、「ノーカット完全版(無修正版)」が日本初公開。
ジョナサン・ミロ&カリー・マーニオン
デザイン学校で出会いコンビを組んで映像製作を行うミロ&マーニオンのコンビ。
小学校を舞台にしたゾンビパニック『ゾンビスクール』、突如戦闘がはじまった街でサバイバルがはじまる『ブッシュウィック 武装都市』など、意表をついたジャンル映画を手掛けています。
ゾンビスクール!
脚本に『SAWソウ』のリー・ワネルが参加している、『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッド主演のゾンビコメディ。
給食のナゲットから子どもだけに感染するゾンビウイルスが蔓延。学校に取り残された教師たちは凶暴化したキッズゾンビから逃れるためサバイバルを開始する。
生意気な子どもたち(ゾンビ)をぶち殺すという展開は『ザ・チャイルド(1976)』の新解釈といえるかも?(ほんとか?)
Becky(2020)
父とその恋人と休暇を過ごすことになった複雑なお年頃の少女ベッキー。しかし脱獄囚たちが現れ父親を殺されてしまう。ぶちギレたベッキーは、元来のサイコパス気質を生かし屈強な男たちに反撃を開始する!
「怒れるキッズ」のバイオレンスリベンジ映画。
ダスティ・マンチネッリ&マデリン・シムス‐フェワー
ジェンダーや性暴力を題材にした作品を多く手掛けているカナダの男女コンビ監督です。
2018年の短編『Woman in Stall』はトイレの個室を舞台に、男女の溝を描いたスリリングな会話劇。
最新作はトロント国際映画祭でも話題となったレイプリベンジもの『Vioration』。アート性もありながらこの手のジャンル映画としてのたしなみも忘れない、傑作スリラーです。
Woman in Stall(2018)
一人の女性がトイレの個室で着替えをはじめるが、扉の向こうから男性が呼びかける声が聞こえてくる。真意がわからない女性は困惑、会話を続けるが……。
男女の間に横たわるのは壁ではなく、固く鍵を閉ざされた「ドア」なのかも?世界の見え方の違いを浮き彫りにする、緊迫の10分間。
(上記動画で鑑賞できますが、日本語訳が少しおかしいです……)
Violation(2020)
姉夫婦の家に遊びにやって来た妹が経験する、残酷な裏切り。苦しみと悲しみ、孤独に苛まれた彼女は復讐を決意する……。
数々の映画祭でも話題となったショッキングな問題作です。
というわけで、以上です!
単独監督とはひと味違う、コンビ監督映画。参考にしていただけましたら幸いです!
関連リンク
- 6/11 23:11
- 映画board