【エプソムC】秋の檜舞台に向け、白い花を咲かせるのはどの馬か/長岡一也

【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆近年活躍目立つ4歳馬も目白押し

 この先、秋の檜舞台を目標に見すえるエプソムCの出走馬の多くは、ここで好走することで先への期待を大きくしたいと臨んでくる。特に別定戦になって以降、その点を注目するGIII戦と言っても過言ではなくなった。

 正に、新緑のこの時期にぴったりだ。ちょうど今ごろ、ツユクサ科の多年草、ヤブミョウガが鮮やかな長楕円形の葉を大きく伸ばしている。地下茎を伸ばして群生するので、初春すぎからいつの間にか姿を見せ、5月頃から発芽し、茎の先端にいくつかの白い小さなつぶつぶができ、それが8月頃、まっすぐ上に伸ばし白い花を咲かせる。

 そして初秋にかけ直径5mmほどの球状の実となり、緑色から青紫色になっていく。その成長課程が、ターフを駈ける馬たちにオーバーラップするのだ。

 エプソムCの成績を見ると、年代別では4歳馬の活躍が目立っている。この10年で7勝もしていて、連対馬は実に13頭も数える。ここまで思うような調整ができなかった馬で可能性を秘めているのは若い馬たちに多いとは、容易に納得できる。

 デビューが遅かったり、体が十分に出来上がっていなかったり、それぞれが様々な事情をかかえている。4歳のこの時期、ようやく競走馬としての真価を問える状況で迎えるGIII戦、なんとか次につなげるレースであってほしい、その思いは、この一戦では強い。最近では、6年前のエイシンヒカリを思い出す。

 体質の弱かったこのディープインパクト産駒は、デビューが3歳の4月と遅かったが、そこから一気に5連勝。そのアイルランドTでは大逃げを打って、直線で外ラチまで大きく寄れながらも2着に3馬身半差もつけ、ファンの度肝を抜いていた。

 気分を害さないで走らせる、このムズカシイ課題を背負い、5ヶ月の休養を取って出走した前走のオープン特別1800米を、大きく引き放して逃げ切って7戦6勝で迎えたここでは、コンビ2戦目の武豊騎手は5F59秒2の我慢のマイペースで逃げ、そのまま凌ぎ切って重賞初制覇をもたらしていた。

 イメージ一新、幻惑の逃げと称えられたが、その後、毎日王冠、香港Cを勝ち、翌年は渡欧し、仏イスパーン賞1着からアスコットに遠征するまでに成長していた。秋の天皇賞は2度出走して上位には入らなかったが、1800米では活躍できていた。

 このあと5年でルージュバック、サトノアーサー、レイエンダと4歳馬は勝ってきたが、今年も、アルジャンナ、サトノフラッグ、ファルコニア、マイラプソディ、ヤシャマル、アドマイヤビルゴ、ガロアクリークと目白押し。どの馬が秋へステップアップできるか。

 こうした中、7歳馬が4頭出ていて、そのうち今日が9戦目というセダブリランテスにも注目している。骨折や脚部不安で2年以上も休養期間があり、ベストの距離でどこまでやれるか。とにかく興味深い。

「もしかして 秋への飛躍 ここからか」

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2021/6/12 12:00

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