「洗濯機が入らない!」家電トラブルが急増。箱から出した時点で返品が効かない

◆せっかく買ったのに設置できない

 今年4月、日本電機工業会が2020年の白物家電出荷額を発表した。冷蔵庫やエアコンなどの白物家電の出荷額は前年度比6.5%アップとなる2兆6140億円となり、24年ぶりの高水準を記録。

 これは新型コロナウィルスの感染拡大による「巣ごもり需要」によるものだと考えられる。昨年の特別定額給付金支給も追い風となり、家電業界は不況のなか数字を伸ばした数少ない業界だ。しか販売台数の増加と共にトラブルも急増している。特に声が多かったのが洗濯機の買い替え、そして設置によるトラブルだ。

 買った結果「家に入らなかった」や「設置できなかった」というトラブルが相次いでいるという。もちろん購入する側も、しっかり測って購入する人がほとんどだが、それでもここまでトラブルが起こってしまうのはなぜだろうか。

◆家電量販店で購入したのに…

 トラブルに見舞われた都内在住の30代会社員に話を聞いた。

「洗濯機の家に入らないトラブルは多いと聞いていたので、確実にトラブルが起こらないよう、ネットではなく家電量販店に買いに行きました。販売員の方に『今この洗濯機を使っているので、これと同じ大きさの物をください』と言って購入したんです。

 数日後、家電の設置をする委託業者の方が家に洗濯機を持ってきたのですが、『この洗濯機はこの家に入れられません』と。

 理由を聞くと、『ウチ(設置業者)の基準だと、蛇口から本体までの間は5センチ以上なかったら危険だから請け負えないと決まりがあるんです。もし、入れる際に蛇口が引っ掛かって水道管が壊れた場合、壁の中に水が溜まってしまって大変なことになってしまいます。だからうちでは請け負えないんです』とのことで、一回その洗濯機を持ち帰ってもらうことにしました」

 その後、男性は家電量販店と再度話し合うことになり、「前は入れてもらえたのに次は入らないなんておかしい」とクレームを入れたところ、「そういったことは委託した施工業者によっても変わる」との説明を受けたという。設置業者によって基準が統一されていないことが、非常にやっかいな話を引き起こしてもいるようだ。

◆購入前に業者による見積もりを取ってもらうことは必須

 そして今度は、買い換える前の洗濯機を設置した業者に見積もりから依頼することになった。それでもやはりギリギリだったようで、最初は「一度チャレンジしてみますか?」という曖昧な返答だったとのこと。

 結果的にその業者が設置して事なきを得たそうだが、トラブルが起こらないように対策をした上で購入したにもかかわらず、すんなりとはいかなかったことは釈然としなかったと語った。

 このようなトラブルを回避するためにはどのような対策をしたらいいのだろうか。大手家電量販店の営業担当者に話を伺った。

「そういった場合は、必ず見積もりをしてもらった方がいいです。見積もりは設置業者が2000〜3000円でやってくれます。間違ってもやってはいけないのは、自分で箱から出して入るかどうか試すこと。箱から出した時点で返品が効かなくなってしまうので、現場でもそういったことを設置業者の方に無理強いすることは絶対にやめてください」

◆引っ越し先で冷蔵庫が入らないケースも

 こうした設置できないというトラブルは購入によるものだけでなく、引っ越しで起こることが多いという。引っ越し業者にも、今回のケースについて話を伺った。

「築10年以内のマンションなら大概入りますが、それ以上となると蛇口の位置によって入らないことがあるんです。洗濯機の下にあるパネルの大きさは統一なんですけど、蛇口の位置は統一ではないので、蛇口に引っ掛かって入らないというトラブルはよくあります。怪しい場合は必ず見積もりをしてもらった方がいいです。もし現場で入らなかったときは、私たちがお金を出して引き取ることになってしまいます」

 また、入らないトラブルに関しては、他の家電も往々にしてあるようだ。

「冷蔵庫は玄関から入らないケースがあります。とあるマンションでは、玄関から入らなかったため、廊下に面した鉄柵を全て外して窓から入れたこともありました。玄関からは入らないのに窓から入るなんて考えにくいかもしれませんが、こういうこともたまにあることなんです」

◆家電の大型化を想定していない昔の建物

 この引っ越し業者によると「そもそも昔のアパートやマンションはここまで家電が大きくなると想定していなかったと思う」という。では、対処方法はないのだろうか。

「蛇口を壁にピッタリくっつける壁ピタと呼ばれる蛇口に変えることで、出っ張りを押さえることはできます。まぁ、それでも数センチは出っ張るので、洗濯機に関しては購入も設置も業者に頼んで見積もりを取った方が絶対にいいでしょうね」

 コロナ禍において家電需要が増えたが、少しでも人との接触を避けるためにネットで購入する客も増えている。しかし、「家に入らないトラブル」が起こってしまうと、かえって人との接触が増えてしまう可能性が高い。長期スパンでしか買い換えることのない、サイズも金額も大きな買い物は、しっかりと専門業者に見積もりを行ってもらった上で購入するのが1番無難だろう。

〈文/セールス森田〉

【セールス森田】

平成生まれのパチンコライター。CS放送のパチンコ番組などに出演する際は、信頼度のパーセンテージを他の事柄に例えるネタを披露している。現在はweb媒体を中心に活動中

2021/6/11 15:53

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