【ネタバレなし】映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』を見た原作ファンの正直な感想 → 〇〇すぎてもう見たくない

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2012年に第1作が公開された映画『るろうに剣心』。漫画の実写化作品としては破格の成功をおさめた人気シリーズも、本日2021年6月4日より公開される『るろうに剣心 最終章 The Beginning』をもって、いよいよその長い歴史に幕を閉じる。

前作『最終章 The Final』に続き、事前に実施されたメディア向け試写会に行ってきたため、25年来の原作ファンの視点から感想をお伝えしようと思ったのだが……一つ困ったことがある。何と言うべきか拙者……できればこの映画は二度と見たくないでござるよ。

・終わりにして始まり

原作でいう「人誅編」がメインに描かれた前作『The Final』。それに対し、本作『The Beginning』が描くのは「追憶編」。つまり剣心の過去である。

幕末の京都で “人斬り抜刀斎” として恐れられた剣心が、なぜ “不殺(ころさず)” の誓いを立てるようになったのか? 左頬の十字傷はどうして刻まれたのか? 剣心の原点であり、そして『るろうに剣心』へと至る最初の物語がこの『The Beginning』なのだ。

・ネタバレなし

本稿には映画のネタバレはないため、未見の人も安心してご覧いただきたいが、『るろ剣』のストーリー自体は把握しているという前提で書いているため、その点はどうかご留意願いたい。さて、それでは本編の話に入っていこう。

映画が始まってまず最初に驚いたのが、画面の彩度の低さである。これまでの『るろ剣』はビビッドで明るいイメージだったが、『The Beginning』は全体的にトーンが暗め。陰影をかなり強調して撮影されている。

・超リアル路線

加えて衣装も地味というかリアルで、前作までの多少のコスプレっぽさはほとんど感じられない(「闇乃武」のメンバーはそれなりに漫画っぽいけど)。この時点で、本作が過去シリーズと比べて明らかに異質であることがよく分かるはずだ。

冒頭から徹頭徹尾シリアスな『The Beginning』は、基本的なストーリーラインは原作に沿っているものの、原作にあったちょっとしたギャグシーンに関しては周到なまでに取り除かれている。そのため、どちらかというと原作よりもOVA版の「追憶編」に近い印象を受けた。

・ほぼ剣心

剣心を演じる佐藤健さんの超絶アクションはますます冴えわたり、当然「おろ」などとは一切言わず、冷酷に人を斬って斬って斬りまくっていく。線の細さも含めたその佇まいは完全に剣心(抜刀斎)そのもので、なんなら佐藤抜刀斎に改名していいレベルで本人だったぞ。

また、個人的に特に盛り上がったのが剣心と〇〇とのタイマンバトルだ。これぞ「原作で描かれることはなかったが、ファンがもっとも見たい対決」の最高峰ではないか。事実、私はこのシーンで思わず「おお!」と叫びそうになってしまった。夢の対決はぜひ劇場にてご確認いただきたい。

・巴

そして本作の最重要人物、雪代巴(ともえ)についてだが、正直な話、巴を演じるのが有村架純さんと聞いた時はあまりピンとこなかった。(和月先生曰く)クールビューティーな巴と、有村さんの柔らかな雰囲気がどうしても結びつかなかったからだ。

で、結論から言うと、そのイメージの乖離(かいり)は映画を見終わった後もまだ少し続いている。ただ、巴が微妙だったのかと聞かれると、実はそんなことはない。むしろ巴でしかなかったと言っていいだろう。意味がよく分からないって?

つまり有村さんは、「ヴィジュアルはあまり巴っぽくない」という私の先入観を、役者としての力でねじ伏せたのである。話し方や目の動きなど細かい要因を挙げたらキリがないが、自分が巴に近付くというよりも、巴を自分の方に強引に引き込むかのような、役者としての凄みを有村さんからは感じた。

・最高傑作

剣心と巴が出会い、夫婦として共に過ごし、そして別れるまで……。すべてを見届けた私の正直な感想としては、本作『The Beginning』こそ問答無用のシリーズ最高傑作。原作至上主義者も絶対に見た方がいい作品であると自信をもって断言しよう。

だがしかし……。

それでも……いくら最高傑作でも……拙者この映画は、できれば二度と見たくないのでござるよ。なぜか? 理由は簡単だ。悲しすぎるからである。もう、ただただ悲しい。もちろん原作の「追憶編」も悲しかったが、本作はあの100倍くらい悲しいのだ。

・悲しすぎる

具体的にどのシーンがどうということではない。ラストに至るまでのすべてが悲しいのである。二人の視線の交差から家の間取りからカメラの置き方まで、すべてが悲しい。なんなら佐藤さんがバラエティ番組に出てるのを見るだけでも悲しいと思うようになってしまったぞ。どうしてくれんねん。

ただ、いわゆる「泣ける映画」とはちょっと違うんだな。そういったチープな感動物語から、この作品は明らかに距離を取っている。それは撮影や音楽や役者の表情からも伝わってくるように思う。余計な湿り気はなく、まるで冬の朝のように乾いているのだ。

・そして時代は流れ

『The Beginning』のエンドクレジットが終わった時、あなたは2012年に公開された第1作『るろうに剣心』をもう一度見たいときっと思うだろう。そのまま3部作、そして『The Final』までを順番に見返したくなるはずだ。それは私も同意見である。しかし……。

この『The Beginning』だけは見たくない。見たらまた悲しいから。悲しすぎるから。でも、『The Beginning』が最高傑作だ。それは揺るがない。でも見たくない……。私のこのアンビバレントな感情は、映画を見てもらえば多少は伝わるだろうか。

小学生の頃からの付き合いである『るろうに剣心』という作品に、いまだこんなに心を動かされるとは自分でも思わなかった。ホント嫌になるくらい悲しいけど、ハードな原作ファンにこそぜひご覧いただきたい作品だ。剣心、とりあえず おつかれさま──。

参考リンク:るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning
執筆:あひるねこ
Photo:©和月伸宏/集英社、©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

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この記事のみんなのコメント

6
  • トリトン

    6/9 13:16

    見る気もおきんわレンタルかテレビのオンエアの時まで待つわ。実写化はつまらんからな。

  • ***

    6/9 12:49

    もう見たくない?と言う事は見て次は見たくないんやろ?そんな事ワザワザ言わなくても見なければ良いだけやろ?見るも見ないも自由なんで。

  • まる☆

    6/9 12:40

    OVAはもっと悲惨で悲しいよ

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