高輪ゲートウェイ開業しても今はまだなにもない―今後も 再開発事業は継続で、底堅い街へ

 東京都品川区に位置する山手線高輪ゲートウェイ駅は2020年に開業し、山手線と京浜東北線が利用できます。また、約200メートル先には都営浅草線・京浜急行線の泉岳寺駅もあります。ロボットを利用した運営で、東京で今一番新しいハイテクな駅としても注目を集めています。

 この高輪ゲートウェイ駅も含めた『品川開発プロジェクト』は、2019年に都市計画決定されました。1期の開発はまだ途中段階であり、さらに2期以降の開発も構想され、息の長い開発が予想できます。

 今はまだ正直何もないエリアですが、地位が高く、品川から泉岳寺エリアが急速に賑やかに発展し、東京有数の街に進化しそうです。また、2027年に予定されるリニア中央新幹線の駅が品川に開業予定、地域のポテンシャルがより高まっていくものと予測されています。

 ただ、東京の中でも最先端であり、人々の注目を集める街というだけでは、不動産を購入するポイントとして不十分だと思っています。今だと、価格が高過ぎたり、武蔵小杉であったような天災の影響を受けやすいエリアだったりします。

 そこで、この記事では利便性や暮らしやすさ将来性などについてさらに定量的に解説していきます。最後まで読み、今後の参考にしてみてください。

 

 高輪ゲートウェイは、JR山手線やJR京浜東北線の品川駅と田町駅の中間に暫定開業した新しい駅です。

 同駅があるエリアは、江戸時代に『大木戸』と呼ばれる関所が設けられており、多くの旅人や通行人で賑わう『江戸の玄関口』として機能していました。

 現代でもこの機能性は衰えるどころか、現在進行中の再開発事業により、『世界と東京を繋ぐ玄関口』としてさらなる進化を遂げようとしています。

 今後高輪ゲートウェイ駅周辺は、世界の先進的な企業や人材を招致する予定となっており、日本と世界の親交を深める『国際交流拠点地』として発展するエリアとなるため、さらに地域の潜在能力を活かしたインターナショナルタウンへと変化していくことを期待されている街です。

●1-1.最新技術が導入される最先端の駅舎

 高輪ゲートウェイは、行ってみるとすぐに分かりますが、国内有数の『ロボットと人が共存する最先端の駅』です。同駅内には道案内や手荷物搬送、清掃などさまざまな機能を持つロボットが構内の至る所で稼働しています。

 また、同駅にはAIを活用した無人店舗が設置されており、今後QRコード対応の改札機の導入も検討中です。このように、次々と最新技術が導入されているため、今後『次世代の駅』モデルとしてもさらに注目を集めるのは間違いなさそうです。

 ちなみに、21年現在、これらのロボットの稼働は実証実験中であるため、本格的に高輪ゲートウェイ駅に導入されるのは同駅の本開業となる2024年の予定となっています。

 高輪ゲートウェイ駅で行われているロボットの実証実験はさまざまな企業が注目しているため、将来的に他の駅や商業施設でもロボットの活躍の場が広がるかもしれません。

●1-2.陸路や空路ともに保有している利便性の高い街

 前述した通り、高輪ゲートウェイ駅の近くには、2027年開業予定のリニア中央新幹線の始発駅となる『品川駅』や羽田空港と直結している『泉岳寺駅』があります。

 特に品川駅に開通するリニア中央新幹線は東京から大阪まで約1時間で行くことが可能になるため、現代の日本の交通機関の中でトップクラスの機能性を保有する街となるはずです。

 このため、高輪ゲートウェイ駅周辺エリアの再開発事業やリニア建設計画が進展するにつれて、同駅は陸路や空路ともに揃う非常に利便性の高い街へと進化していき、将来的に国内を代表するターミナル駅になっていくことを期待されています。

●1-3.高輪ゲートウェイの治安は良いのか?

 2021年現在、高輪ゲートウェイ駅周辺はまだまだ発展途中のエリアであるため、実際に引っ越した場合に住みやすい街なのか疑問を持つ方は少なくありません。

 実際に弊社にも同駅があるエリアへ引っ越しを検討しているお客様から、「注目されているエリアではあるが、治安が良いのか分からず不安」と言った意見を寄せられたことがあります。

 このため、実際の高輪ゲートウェイ駅周辺の治安はどうなのかについて、高輪ゲートウェイ駅を管轄としている『高輪警察署』が発表した『過去5年間の刑法犯の推移』のデータを基に確認していきます。

 まずは、下記のグラフをご覧ください。

 こちらは『過去5年間の刑法犯の推移』内の『5年間総件数』と『粗暴犯』の件数をグラフにまとめたものです。

 

 上記のグラフを見ると、過去5年間で高輪ゲートウェイ駅があるエリアの犯罪件数は年々減少しています。同じ港区に位置する麻布十番駅を管轄とする『麻布警察署』が発表した『過去5年間の刑法犯の推移』と比較すると、麻布十番エリアの20年の犯罪件数は605件となっているため、高輪警察署が管轄するエリアの犯罪件数の方が少ないことが見て取れます。

 これらのことから港区の中でも、高輪ゲートウェイ駅周辺は比較的治安が良く、女性の一人暮らしでも安心して住める地域だと言えそうです。

 21年現在、高輪ゲートウェイ駅周辺では『品川開発プロジェクト(第I期)』と呼ばれる大規模な都市計画が本格的に始動しました。

 具体的には、JR品川駅北側の品川車両基地跡地などを1~4街区に分けて、約85万平方メートルのオフィスや住宅、宿泊施設や商業施設などを整備する予定です。

 このプロジェクトに伴う全体のデザイン構想と4街区のデザインアーキテクトにアメリカの大手建設事務所に所属するピカード・チルトン氏らを起用しているため、国際交流拠点にふさわしいデザイン性の高い街になっていくことが期待されています。

 ちなみに、JR東日本が発表した『品川開発プロジェクト(第I期)』は19年に都市計画が決定しました。この資料によると、20年に工事着工し、24年の竣工を目指して事業が進められています。具体的な、『品川開発プロジェクト(第I期)』の詳細は、下記の画像をご確認ください。

 

 

 また、高輪ゲートウェイ駅周辺にある泉岳寺駅エリアでは、『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』と呼ばれる再開発事業が進められています。具体的には、泉岳寺駅地区の品川駅や田町駅周辺地域の約1.3haの面積に住居や事務所、子育て支援施設などで構成される地上30階、地下3階の高層ビルを建設する予定です。

 品川駅や田町駅周辺地域は、これまで『東京の南側の玄関口』と機能してきており、『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』により、さらにポテンシャルの高い地域へと発展していくことを期待されています。

 ちなみに、『第二種市街地』とは『第一種市街地』の対象地域のうち、『0.5ha以上の面積』で『何らかの災害が発生する危険性が高い』または『防災上重要となる公共施設を早急に整備する必要がある』区域で行われる再開発事業のことです。

 その為、第一種市街地再開発事業は個人や組合が施工者となることが可能ですが、第二種市街地再開発事業は緊急性の高い事業であるため、地方公共団体や都市再生機構などの公的機関しか施工者になることができません。

 『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』では、東京都が施工者として事業計画を進めています。具体的な『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』の詳細は、下記の画像をご覧ください。

 

 『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』は、2023年3月までに東京都が敷地の整備を行い、28年3月の工事完了を目指して進行中です。

 ただし、21年現在、『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』は特定建設者予定者が決定した段階であるため、今後事業計画に変更が生じるかもしれません。

 このため、『泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業』について詳しい内容を知りたい方は、『東京都第二市街地整備事務所 事業課』又は『東京都第二市街地整備事務所 泉岳寺駅地区』に問い合わせるようにしてください。

 高輪ゲートウェイは先ほど紹介した都市計画や周辺地域の再開発事業により、今後ポテンシャルの高い街と変化していくため、将来的に街全体の価値が高まっていくことは間違いなさそうです。

 しかし、不動産の購入に踏み切るには、再開発の影響も含め、どのように変化していくのかを知ることが重要となります。ここから高輪ゲートウェイ駅周辺が本当に街全体の価値が高まっていくのかについて、それぞれのデータを基に解説していきます。

●3-1.港区全体の人口の推移

 港区が発表した『各年1月1日現在の人口・世帯数』のデータを基に、港区全体の人口を考察していきます。このデータによると、06年以降、一度も減少することなく安定して増加しており、14年間で約83,000人以上も増加していることが分かります。

 今後、高輪ゲートウェイ駅が既述の通り、完成することや品川・泉岳寺周辺地域の再開発事業が進展し、街並みが良化することを考慮すると、将来的に安定して人口が増加していくことを期待できます。

●3-2.港区の全体の人口予測

 

 将来的に港区の人口が増加していくのか、港区が発表した『港区人口統計』のデータを基に考察していきます。上記は、港区を5つのエリア別の将来人口の推移をグラフにまとめたものです。

 このデータによると、高輪ゲートウェイ駅がある高輪エリアは、2030年まで毎年約1,500人増加していくと予測されています。

 さらに、港区が発表した同区ホームページの『第一種市街地再開発』を見ると、麻布十番駅や浜松町駅エリアでも再開発事業による高層ビルの建設計画が進んでおり、どちらの高層ビルにも住居が入る予定となっているため、将来的に街全体の人口が増加していくのは間違いなさそうです。

●3-3.交通機関の乗降率から見る利便性

 高輪ゲートウェイ駅は20年に暫定開業した駅であるため、交通機関の乗車・乗降人数に関するデータが発表されていません。このため、同駅周辺に位置する品川駅と泉岳寺駅の乗降人数のデータを基に、高輪ゲートウェイ駅の利便性を確認していきます。

 まずは、下記のグラフをご覧ください。こちらは、ウィキペディアと関東交通広告協議会が発表した情報を基に、品川駅と泉岳寺駅の乗降人数をグラフにまとめたものです。

 

 上記のグラフを見ると、05年度以降品川駅の乗降人数は一時的に減少している時期もありますが、全体的にJRの利用者は増加傾向です。19年度には約6,000人減少を記録していますが、同年の年度末に発生した新型コロナウイルスの影響を受けて電車を利用する方が減ったことが主な原因となっているため、あまり気にする必要はなさそうです。

 一方で、泉岳寺駅も同様に一時的に減少している時期もありますが、全体的に同駅の都営地下鉄線の利用者数は右肩上がりとなっているため、こちらも安定して上昇傾向だと言えます。

 高輪ゲートウェイ駅が2024年、本格的に『世界と東京を繋ぐ玄関口』として機能することや同駅の周辺に位置する品川駅の乗降客数が上昇傾向にあることを考慮すると、高輪ゲートウェイ駅の利用者は将来的にも増加していくことを予測できます。

●3-4.高輪ゲートウェイの土地の価格の推移

 

 次に、高輪ゲートウェイ駅周辺の土地の価値の推移を確認していきます。上記は、商業地に区分されている『港5-10(東京都港区高輪2-19-19)』と住宅地に区分されている『港-24(東京都港区高輪2-12-51)』のデータを基に、2011年以降の価格をグラフにまとめたものです。

 まずは、商業地に区分されている『港5-10(東京都港区高輪2-19-19)』から確認していきます。データがない時期もありますが、11年以降、価格が減少することなく安定して上昇しており、10年間で208,000円/平方メートル(11%)増加しています。

 次に、住宅地に区分されている『港-24(東京都港区高輪2-12-51)』は16年から徐々に価格が上昇しており、5年間で240,000円/平方メートル(22%)増加しています。

 どちらのエリアも安定して上昇傾向で、今後様々な施設が出来上がるにつれ、この傾向は加速していくものと思われます。

●3-5.高輪ゲートウェイ駅周辺の中古マンションの価格推移

 高輪ゲートウェイ駅は2020年に暫定開業したため、21年現在同駅周辺の中古マンションの価格に関する情報は公開されていません。

 そのため、ライフルホームズが発表している『住まいのインデックス』のデータを基に、高輪ゲートウェイ駅周辺に位置する『泉岳寺駅』周辺の中古マンションの価格推移を確認していきます。

 まずは、下記のグラフをご覧ください。こちらは泉岳寺駅周辺の中古マンションの価格をグラフにまとめたものです。

 

 上記のグラフを見ると、14年4月以降、泉岳寺駅周辺の中古マンションの価格は安定して上昇傾向です。特に大幅な減少は見られず、直近3年間の上昇幅は約15.3%となっており、東京都全体の中古マンションの価格変動の約7%を大幅に上回っています。

 東京都の価格推移の約2倍以上の価格を推移しているため、今後高輪ゲートウェイ駅周辺の街並みや品川駅にリニア中央新幹線が本開業し、実際にその利便性を体感できるようになると、さらに中古マンションの価値が上昇していくことが期待できます。

 不動産購入を検討するうえで欠かせないポイントである『地盤』と『災害』の影響について解説していきます。近年、東京都近郊ではマグニチュード7クラスの首都直下型地震がいつ発生してもおかしくないと言われているため、高輪ゲートウェイ駅周辺はどのような影響を受けるのか不安視する声は少なくありません。

 では、実際に高輪ゲートウェイ駅周辺が受ける影響はどの程度のものなのでしょうか?

 地震情報サイト『JIS』が発表した『東京都港区高輪・地域別危険度』のデータによると『高輪2丁目』は主に海面下での堆積物でできているため、地盤が軟弱だと警告されています。このため、大規模な地震が発生した際は揺れが増幅されやすいため、比較的危険な地域だと言えます。

 また、高輪ゲートウェイ駅の危険性はそれだけではありません。

 『高輪4丁目』は災害が発生した際、救助活動が困難な地域だと警告されています。

 したがって、高輪ゲートウェイ駅周辺の不動産を購入するのであれば、『高輪1丁目、または3丁目の物件』を購入する方が安心だと思います。

●4-1.高輪ゲートウェイの地盤や災害の影響は?

 高輪ゲートウェイ駅周辺が懸念されているのは地震だけではありません。高輪ゲートウェイ駅がある港区は東京湾の近くに位置するうえに、隅田川や新河岸川と隣接しているため、津波や川の氾濫による浸水や液状化が不安視されています。

 港区では、大規模な地震が発生した際や川が氾濫した際、津波や川の氾濫による浸水などを想定してハザードマップを作成しているため、何かを決める前によく確認するようにしてください。

 このハザードマップによると、大規模な地震が発生した場合、高輪ゲートウェイ駅周辺は津波や液状化による影響を受けないと想定されています。

 また、隅田川や新河岸川が氾濫した場合、高輪ゲートウェイ駅周辺はほとんどの地域で影響を受けないと想定されています。場所によって、0.1~3.0メートル浸水すると警告されているため、注意が必要です。

 これらのことから、高輪ゲートウェイ駅周辺の不動産を購入する際は、『浸水による被害を受けないエリア』か、『標高を意識し、3階以上の物件』を購入することをおすすめします。

 これまで見てきたように、約半世紀ぶりの山手線の新駅として国内で注目を集めている高輪ゲートウェイ駅は、現在進行中の都市計画や周辺地域の再開発事業により、さらに『東京の南側の玄関口』として街全体のポテンシャルを高めていくことは間違いなさそうです。このため、今後、問題なく、再開発事業や都市計画が進行すれば、将来的に街全体の価値が上昇していくことを期待できます。

 しかし、場所によっては大規模な地震や川の氾濫が発生した際、なんらかの影響を受けると警告されているため、高輪ゲートウェイ駅周辺の不動産を購入する際は注意が必要です。したがって、高輪ゲートウェイ駅周辺の不動産を購入するのであれば、『耐震性が強化されている3階以上の物件』を検討するようにしてください。

2021/6/6 7:00

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