「働かないおじさん」は幼稚園で習う挨拶から始めるべき。生き残る処世術

 がむしゃらに走ってきた会社員人生もふと立ち止まってみると、先が見え「このままでいいのか」と思うもの。しがみつく、見限る、辞める……働き方が多様化する時代、会社員に与えられた選択肢も多い。そんな中でもしも「しがみつく」を選択した場合、社内でどのような身の振り方をするのが正しいのだろうか?健康社会学者の河合薫氏に聞いた。

◆約9割が「会社を見限った後の方が幸せ」

 会社を見限った経験のある45~55歳の会社員500人にアンケートで「会社の見限りどき」について聞いたところ、Q5「会社を見限った後と前ではどちらが幸せですか?」に対して「見限った後」と回答した人は約9割と、多くが自身の選択に納得している様子だ。

 一方で、Q6「会社を見限った後は何に注力していますか?」という質問には、会社を見限った後「特に何も変化していない」と答えた人が32.4%と最多。具体的な行動がわからず困惑する中高年像が見えてきた。健康社会学者の河合薫氏はこう助言する。

「社内で働かないおじさんと思われている人は、一人の人間として素直な気持ちで他者と向き合ってみては。『おはよう』『ありがとう』といった幼稚園で習うようなコミュニケーションを大切にするんです。ソリの合わない上司に対しては、オフィスで座る場所を自分から変えるなどして距離を取る。能動的に動けば周囲の良い部分を意外と再発見できます」

◆職場にしがみつく中高年は半径3mの“ゆるい人間関係”を大切に

 さらに中高年社員の身の振り方で鍵を握るのが「半径3mの人間関係」だと強調する。

「半径3mの相手とは、職場内に限らず、ご近所さん、趣味友達、定食屋のおばさん、守衛さんなどを含みます。近い将来、役職定年で報酬は下がり、年下の上司が当たり前となる状況で、肩書や属性、過去の栄光がある人は、自尊心が傷つき自信を失いやすい。そのくせプライドが邪魔して新たな人間関係を築けないのですが、前述のコミュニケーションを大切にしながら、半径3mでゆるい繋がりを意識して行動すると、いつの間にか社内外にかかわらず居場所が見えてくるものですよ」

 会社員人生の後半戦は、身近な人間関係の再構築を惜しむな!

【健康社会学者・河合 薫氏】

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。調査研究を進める一方で働く人々の800人超をインタビュー。著書に『定年後の孤独入門』(SB新書)など

<取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/パイルアップ>

―[会社の辞めどき]―

2021/6/6 8:53

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