魚に付着していた細菌が2ミリの傷から体内に 感染した20歳シェフが左腕を切断(中国)

中国・広西チワン族自治区桂林市臨桂区でシェフとして働くリーさん(20)は先月18日午後、仕事中にさばいていた魚で左手小指を突き刺してしまった。

傷口は約2ミリと小さく、リーさんはすぐに水で洗い流すとさほど気にも留めずにそのまま仕事を続けた。しかし左手は徐々に紫黒色に変色し、その日の夜には大きく腫れあがった。耐え難い痛みに襲われたリーさんはすぐに桂林市人民医院の緊急治療室を訪れると、医師から左手の組織が壊死し始めていることを告げられた。

リーさんは「ビブリオ・バルニフィカス」という感染症に罹っており、次第に左前腕全体が腫れて紫色に変色し、入院から8時間後には敗血症でショック状態に陥った。こうして医師らは、リーさんの命を救うため左腕の3分の2を切断したのだった。

ビブリオ・バルニフィカスとは食中毒の原因となるビブリオ属菌の一種で、温暖地域の海水中やそこに生息する魚介類に付着しているという。リーさんの場合、この細菌が傷口から体内に入り込み手指の組織が壊死。急激に増殖した菌により敗血症を起こし、命が危険に晒された。

同病院のスポークマンは、原因となった魚の種類については公表していないが、ビブリオ・バルニフィカス感染症について次のように述べた。

「ビブリオ・バルニフィカスは、生ガキなどの貝やカニ、エビなどの節足動物に多く付着しています。生の魚介類を取り扱う際に手に傷ができた場合は、きれいな水で洗い流して清潔に保ち、調理を継続しないことが大切です。また調理の際に手袋をつけることも効果的です。」

専門家によると、感染は傷口からだけでなくこの菌に汚染された魚介類を生食することでも起こるという。ただ健康な人が重症化することはなく、注意が必要なのは免疫機能が低下している人、鉄剤を内服している人、肝臓疾患のある人などで、日本では1975~2005年の30年間で少なくとも180件以上の感染が報告されているそうだ。

ちなみに今年初めにはイギリスで、40歳の女性が愛犬に手指を噛まれて感染症に罹り、敗血症で多臓器不全に陥った。女性は両手指や唇、鼻が黒く変色し、手指の切断を迫られていた。

画像は『网易 2021年5月23日付「危急丨临桂一厨师被海鱼扎伤手指,左臂被两次截肢保命...」(每日桂林)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2021/6/5 21:00

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