小川彩佳アナ離婚か。妻を決断させる、不倫発覚後の“許せない行動”とは

<亀山早苗の恋愛時評>

 次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆小川彩佳アナ「離婚へ」との報道も

『NEW23』でキャスターを務める小川彩佳さん(36歳)がついに離婚を決意したと報じられている。「NEWSポストセブン」によれば、夫の不倫発覚から4ヶ月、東京大学医学部卒で医療ベンチャー企業の元代表である豊田剛一郎氏(37歳)とはすでに別居しており、双方代理人を立てて協議しているところだという。

 小川さんは「事実誤認があります」というコメントをTBSを通じて出したものの、「日刊スポーツ」によれば、「事実誤認」という文言は、財産分与が10億円などと報じられた点を指しているとのこと。

◆婚前から二股交際していた夫・豊田氏

 2019年7月に結婚、翌年7月には子どもにも恵まれたふたりだが、豊田氏は2018年12月にある女性A子さんと知り合い、19年2月には男女の関係になっている。その時点で小川さんとはつきあっていたわけで、A子さんは5月には豊田氏の結婚相手が小川さんであることも知らされた。豊田氏の結婚後もふたりの関係は切れず、週に3回は彼がA子さん宅を訪れていたという。

 小川さんが夫の不倫を知ったのは今年2月。出産から3ヶ月で番組に復帰してがんばっている間も、夫は婚前からの他の女性と関係を続けていたことを「週刊文春」2月11日号の報道をきっかけに知ったのだ。報道によれば、彼女は4月には同居していた自宅を出たという。

◆発覚後に「2人が口裏を合わせた」ことが追い打ちに?

 こうして見てみると、A子さん側はつきあっている男性の状況を把握しているのに、妻側は何も知らないままに事態が進行しているのがわかる。夫は妻のことも恋人のこともわかっている。つまり、妻だけがいつも蚊帳(かや)の外。不倫が秘めたる関係である以上、そうなるのはやむを得ないのかもしれない。

 小川さんが夫の不倫を知り、A子さんに電話をかけたとき、彼女は「結婚後は肉体関係はない」と告げたという。だがこれは夫の入れ知恵だった。口裏を合わせるように豊田氏がA子さんに頼んだのだ。「週刊ポスト」2月8日発売号でA子さん自身がそう語っている。

 この「口裏を合わせるよう、夫が彼女に頼んだ」という事実が、小川さんに強烈なインパクトを与えたのではないだろうか。「夫と彼女はそうやって通じ合っている、婚姻届を出して子どもまで産んだ自分のほうが蔑(ないがし)ろにされている」と思っても不思議はない。

 実際、夫に不倫をされた妻が「婚姻届を出して正式な立場なのは自分なのに、あんな紙1枚には何の効力もないと知った」と話してくれたことがある。妻からみれば「紙1枚」なのだ。もっとも、発覚後に別れを告げられたA子さんにしてみれば、「妻という立場はやはり強い」と思っただろうけれど。

 いずれにしても、この一件が小川さんに与えた影響は小さくないだろう。不倫発覚というだけでなく、夫が「口裏を合わせてほしい」と頼み込み、それを受け止めてくれる女性の存在に、「ふたりして私をだました」と思っても不思議はない。妻として、ひとりの人間として軽んじられていると感じればプライドは木っ端(こっぱ)みじんになりそうだ。

◆夫と友人にだまされて

 こうしたことは一般にもときどき見られる。ミズホさん(仮名・33歳)もまた、産後半年ほどで夫が不倫をしていることを知った。しかも相手は、ミズホさんの友人・カナさん(仮名)である。

「何重にもショックでした。彼女は学生時代からの友人だし、私が結婚を決めたとき、真っ先に彼を紹介したほど仲良しだったんです。誰よりも大事な存在だと思っていたのに、結婚直前から2人の関係は始まっていた。

 夫が言うには、結婚直前にカナから連絡があり、『あなたが独身のうちにどうしても一度、ふたりきりで会いたかった』と言われたそうです。そんな言葉に乗る夫も夫ですが……」

 そこから夫とカナさんはつきあうようになり、1年後にミズホさんが出産したとき、夫はカナさんの家にいたとあとからわかった。

「でも出産時に夫は、出張で帰れないと嘘をついていたんです。カナにも知らせたくて連絡したけど、『父親が倒れて、今、実家近くの病院にいる』と。心配していたんですよ。でも親の病気も嘘だった」

 翌日、ようやく病院に現れた夫に、ミズホさんはカナさんのことも告げていた。「お父さん倒れて大変みたい。何かあったら手伝ってあげてね」とも言い添えた。

「バカみたいですよね、私。ふたりが一致団結して私を騙しているのに、私は夫の出張を信じ、カナの嘘を信じ、さらに夫にカナを助けてやってほしいとまで言っていたんですから」

◆夫と友人が、同じ口調で否定した

 ミズホさんが疑惑を抱いたのは、退院直前、カナさんがやってきたときだった。彼女はどことなくやつれていた。ミズホさんは心配したが、「親のことと仕事で疲れ切っちゃって。来るのが遅くなってごめんね」とカナさんは無理に明るく振る舞っているように見えたという。

 そこへ夫がやってきた。その瞬間、親友と夫の視線がねっとり絡みつくように交わされたのをミズホさんは見逃さなかった。

「まさかと思いました。だけどあり得るかもしれないとも思った。退院後、夫を問いただしたら笑い飛ばされました。あるわけないだろって。でもその後、誰かはわからないけど私のSNSにメッセージがあったんです。『あなたの夫はカナと浮気してるよ、ずっと』って。

 カナに電話をかけて聞いてみたら、『あるわけないでしょ』とやはり笑い飛ばしたんです。その言い方が、絶対に否定すると決めていたような感じで、夫が一蹴したときと同じ。ふたりで『絶対に否定しよう』と話あったのではないかと疑いました」

◆妻として、女として、人間としてもバカにされている

 その疑いは当たっていた。意を決して夫の携帯を見たら、ふたりのやりとりが飛び込んできたのだ。夫とカナさんは、もしミズホさんに疑われたら、「そんなこと、あるわけない」ときっぱり言おうと相談していた。

「怒るより前に脱力しました。私の存在って何だろうと。妻として、女として、人間としてもバカにされている。ふたりにどうこうというより、小さいあかちゃんを抱えているので、まずは自分自身をしっかり保つのが優先でした」

 夫はひたすら謝ってきたが、夫の顔を見ると怒りとショックで体が震えるようになった。距離を置こうと別居したものの、どう考えても結婚生活を続けることはできないと結論を出した。現在は離婚協議中で、カナさんと夫、それぞれへの損害賠償も請求する予定だ。

◆親友の手紙に書き込んでから送り返した

「カナからは長い手紙が来ましたが、読んでから送り返しました。カナの謝罪文に、読んだときの私の気持ちを赤ペンで書き入れて」

 もし不倫相手がミズホさんの知らない女性で、短期間のつきあいだとしたら、離婚には至らなかったかもしれないと振り返る。

「でも離婚を決めて、気持ちが落ち着きました。あのふたりによって、私が自分の存在価値を不安に思うなんておかしな話。私は私で子どもと一緒に生きていく。今はそう思っています」

 離婚によって、またひとり「自分らしさ」を取り戻した女性が増えた。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

2021/6/4 15:47

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